サバンナ 【1971,1972,1973,1974,1975,1976,1977】

ロータリー・パワーを支えたスペシャルティ



高性能を暗示したスタイリング

 1971年9月に登場した初代サバンナは、コスモ・スポーツ、ファミリア、ルーチェ、カペラに続くロータリーエンジン搭載車としてデビューした。実質的にはファミリアの後継バージョンとなるが、各部をファミリアより上級の仕立てとし、さらにノーズ回りを独自デザインに仕上げることでロータリー専用車としていたのが特徴だった。ちなみにレシプロ・エンジンを積むシリーズはグランドファミリアを名乗っていた。

 当初のボディタイプは2ドアクーペと4ドアセダンの2種で、1972年1月には5ドアワゴンが加わった。スタイリングは4灯式ヘッドランプを持つ立体的なフロントグリルが特徴で、ロータリーエンジン搭載車に相応しいスポーティな印象を訴求した。それまでのファミリアやカペラがどちらかと言うとジェントルな印象だったのから一変。圧倒的な動力性能をスタイリングでも表現した。とくにクーペではリアウィンドー部のエアアウトレットを立体形状とし、リアクオーターに大型グレードエンブレムを配置するなど、ディテール処理もアグレッシブなものとしていた。リアランプは、ロータリー搭載車の伝統にならって丸型デザインが採用されていた。

ワイドトレッドが生んだ高次元の走り

 スタイリングだけでなく、シャシーもロータリーエンジンの大出力に合わせて入念にチューニングしていた。専用設計だったコスモ・スポーツやルーチェ・ロータリーは例外だが、ファミリア、カペラなど基本シャシーをレシプロ・エンジン車と共用するそれまでのモデルは、ロータリーエンジンの圧倒的なポテンシャルに対しシャシーがいささかプアだった。まっすぐ走るのは得意だが、コーナリング時にパワーを持て余し、状況によっては危険でさえあったのだ。

「速さは一級品だが、総合的に見ると走りの実力はそれほどでもない」、ロータリーエンジン搭載車に対してのそんな評価を覆すこと、サバンナ開発陣が徹底的にこだわったのはこの点だった。実現のためエンジニアが採用したのがワイドシルエットである。サバンナのスリーサイズは4065×1595×1335mm。注目は全幅。車格的にオーバーラップする当時のカローラが1505mm、カリーナでも1570mmだったことを考えると、1595mmという数値は群を抜いていた。サバンナは全幅を十分に取ることで前後ともにクラストップ級のワイドなトレッド(前1300mm、後1290mm)を実現、ロータリーの強力パワーを路面にしっかりと伝えられるように工夫していたのだ。

サスペンション形式自体はストラットと、半楕円リーフの組み合わせだったが、サバンナの足回りは確かにしっかりとしていた。さらにリアのダンパーをバイアスマウントとし、上級グレードに国産初の78扁平ワイドタイヤを採用するなどの入念な調律も、サバンナのシャシーに磨きをかけた。

スポーツ性鮮明。マツダの走りの原点

 初代サバンナは当初105ps/13.7kg・mの10A型ロータリーのみを搭載していたが、後によりパワフルな12A型ロータリー(120ps)を積むGTをラインアップに加え、スポーツ派ドライバーを虜にする。

 初代サバンナがロータリーエンジンの速さを存分に披露できたのは、なにより基本シャシーのポテンシャルが高かったからだった。初代サバンナ以降、マツダは日本のメーカーのなかでとくに走りを尊重するメーカーとして発展を遂げる。その意味で初代サバンナは、現在のマツダの原点と言えるかもしれない。

モータースポーツを席巻! 速さを実証

 サバンナはモータースポーツで大活躍する。ポテンシャルが開花したのは1971年12月の「富士ツーリストトロフィー500マイルレース」。このレースはスカイラインGT-Rの公認レース通算50勝が掛かっていたが、サバンナがそれを阻止。見事に総合優勝を飾ってみせたのだ。

 翌1972年5月に開催された「日本グランプリTS-bレース」ではサバンナなどロータリー勢が1〜3位を独占。宿敵スカイラインGT-Rを寄せ付けず、モータースポーツにおけるロータリー時代到来を告げた。ちなみにレースで圧倒的な強さを見せつけたサバンナは、国内仕様の10A型ロータリーではなく、輸出仕様の12A型ロータリーを搭載。後にラインアップに加わるサバンナGTがベースだった。