日産デザイン13 【1993,1994,1995】

上質とゆとりを追求した1990年代中盤の上級車

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“室内から発想”したローレルの誕生

 1990年代初頭に新型車のデビュー攻勢をかけた日産自動車。しかし、販売成績はそれほど伸びなかった。要因は「エクステリアデザインにある」と当時の自動車マスコミは指摘した。突飛か地味かの両極端で、トヨタ車のように万人ウケしないスタイリングだったのだ。打開策として開発陣は、ユーザー志向をいっそう踏まえた車両デザインの刷新を実施する。上級サルーンのカテゴリーにおいては、上質さやゆとりを徹底追求する方針を打ち出した。

 開発陣の創意工夫は、1993年1月デビューの7代目ローレル(C34型)から具現化される。“室内からの発想”をテーマにした車両デザインは、ボディサイズを拡大したうえでグリーンハウスを広く取り快適なキャビンルームを創出。また、ボディ形状はセンターピラーを設けた4ドアハードトップに刷新してボディ剛性をアップさせた。スタイリングは“家庭にある大きなテーブル”をイメージし、乗員を包み込む優しさや安心感を表現する。また、存在感を高めたフロントグリルに端正にまとめたヘッドランプ、新しいシャープさを追求したサイドビュー、大型フィニッシャーを配したリアセクションなどによって、3ナンバーの車格感を持つプレステージフォルムを演出した。
 インテリアについては頭上や肩まわり、膝元といったスペースを広げるとともに、凹凸や継ぎ目を極力少なくした仕立てのいい室内デザインとすることで上質かつ新鮮な居住スペースを創出する。

8代目スカイラインのテーマはと、“本流GT”

 1993年8月になると、“本流グランドツーリングカー”をキーコンセプトに開発された9代目スカイライン(R33型)が市場デビューを果たす。ボディタイプは4ドアセダンと2ドアクーペの2タイプをラインアップし、サイズは全車ともに3ナンバー化。また、ホイールベースの延長(+105mm)や室内レイアウトの最適化による“コンフォータブルパッケージ”を構築した。

 スタイリングは、4ドアセダンと2ドアクーペの後部デザイン差別化したことが特長で、セダンは上質感や安定感を、クーペはスポーティ感や躍動感を強調する。フロント部には開口面積を広げたバンパーやGTオートスポイラーなどを採用。クーペにはボディ一体造形のリアスポイラーを装備した。インテリアは、ドライバーを中心にレイアウトしたインパネデザインに接地感とホールド性を高めたフロントシートを配置していた。

マキシマとの統合によりFFに変身した2代目セフィーロ

 1994年8月には、国際戦略車の2代目マキシマを国内向けに仕立てた2代目セフィーロ(A32型)をリリースする。“新世代コンフォートサルーン”を謳う2代目は、駆動レイアウトをFF方式に一新。また、ボディタイプは3ナンバー規格の4ドアセダンに変更した。

 エクステリアは広々とした居住空間を実現したうえで、上級サルーンの風格を表現する。具体的には、横桟基調の大型グリルを配した存在感のあるフロントマスクに水平基調で安定感のあるサイドビュー、上下2分割のガーニッシュおよびリアコンビネーションランプを組み込んで華やかな印象を与えたリアセクションでスタイリングを構成した。室内デザインについては、“クルマに乗る快適さとは何か”を徹底追求して各部をアレンジ。開放感のあるキャビンルームをベースに、上質かつ機能的なインパネや新世代のエルゴノミックシート、フルオートエアコンなどを採用した。

高級ドライバーズカーへと進化したセド・グロ

 1995年6月には、日産製高級サルーンの真打となる4ドアハードトップモデルの9代目セドリック/10代目グロリア(Y33型)を市場に放つ。“高級ドライバーズカー”としての特性をより進化させた新型セド・グロは、従来型と同様にラグジュアリー系のブロアムとスポーツ系のグランツーリスモという2シリーズを設定。また、ブロアムは新造形のメッキグリルに異形角型2灯式ヘッドライトを、グランツーリスモは内部をブラックアウトした新造形グリルに丸形4灯式ヘッドライトを採用し、それぞれの個性を打ち出した。

 外装デザインについては、ボディサイズの拡大を活かした伸びやかで安定感のあるフォルムを基本に、滑らかな面構成や流れるようなサイドライン、高品質な装着パーツなどを取り入れて洗練された新しい高級スタイルを構築する。インテリアは、ドライバーとクルマの緊密で円滑なコミュニケーションが図られるように各部をアレンジ。また、フロントシートには逆S字カーブに沿って骨盤から腰椎を連続的に支持する新形状のエルゴノミックシートを配する。さらに、新開発のバーチャルビジョンメーターやバードビュー表示のカーナビゲーションシステム、トータルコーディネートした室内照明などの先進アイテムを豊富に装備していた。