テラノ 【1995,1996,1997,1998,1999,2000,2001,2002】
オールラウンド性を高めた全地球対応SUV


全方位で走りの性能を磨いた逸材だった。
ビルトインフレーム方式の
軽量で強靱なモノフレームボディ、
路面を選ばないオールモード4×4機構、
パワフルでスムーズなエンジン群……、
厳しい大自然のなかはもちろん、
都会でもスマートさを失わないダンディな存在。
2代目は大きく進化していた。

1970年代末にアメリカに始まったミニバンに代表される新たなクルマを求める大流行は、次のステップとして4輪駆動システムを備えたSUVへと進んだ。SUVとはスポーツ・ユティリティ・ヴィークル(Sport Utility Vehicle)のイニシャルであり、スポーツ万能車と言った意味合いのクルマを指す。オンロードの走行に加えて、本格的なオフロード走行をも得意とする4輪駆動車である。
SUVの流行に沿って、日本でいち早く登場したのが、1986年8月にデビューした初代の日産テラノで、ダットサン・トラックのシャシーコンポーネンツを流用し、スタイリッシュなワゴンボディを組み合わせたモデルだった。テラノ(Terrano)の車名は、地球を意味するラテン語のTerraと言葉を強調するためにNOを加えた合成語である。
ドライバーの意思によって、2輪駆動と4輪駆動を切り替えることの出来るパートタイム式4輪駆動システムを備え、ターボチャージャー付きディーゼル・エンジンのパワーによる豪快なオフロード性能とがっちりしたサスペンションによるオンロードでの高性能な走りを兼ね備え、しかも比較的安価なSUVとして、高い評価を獲得していた。

初代テラノは、9年間のライフスパンを保った後1995年9月にフルモデルチェンジされて第2世代となった。すでに、市場には多くのライバルが登場しており、テラノも大きく進化する必要があったことは言うまでも無かった。初代のコンセプトを受け継ぎながらも、第2世代のテラノはフレーム構成をモノコック構造のボディ内に組み込んだ、モノフレーム構造を採用、軽量化と強度の向上を図った。ホイールベースを50mm延長するなど、ボディサイズは僅かに大型化されている。
スタイリングは基本的に初代と同じテールゲート付きワゴンスタイルで、2列シートの5名乗車が可能となっていた。3列シートとしないことで、ランドクルーザーやパジェロなどの大型4輪駆動車とは違う乗用車的な雰囲気を持たせたのだ。

エンジンはインタークーラー装備の2.7ℓのターボチャージャー付きディーゼル仕様の直列4気筒OHV(出力130ps/4000rpm)および3.3ℓ自然吸気型ガソリン仕様・V型6気筒SOHC(出力170ps/4700rpm)の2種。レイアウトはフロント縦置きエンジンによる4輪駆動である。駆動方式は、4速オートマチックに2速トランスファーを持つ電子制御によるトルクスプリット型のフルタイム4輪駆動(日産ではオールモード4×4と呼ぶ)となったが、一部グレードでは旧型同様パートタイム4輪駆動方式もグレードにより選ぶことが出来た。
2代目テラノのパワートレーンは、この種のSUVとしては最強力なものの一つとなった。サスペンションは前がストラット/コイル・スプリング、後が5リンク/コイル・スプリングで、乗り心地の良さと悪路走破性能の高さ、操縦安定性に優れていることは定評があった。ブレーキは前がベンチレーテッドディスク、後がドラムの組み合わせだったが、性能的には十分なもの。装備もセダン並みに充実しており、オートエアコンディショナー、集中ドアロック、パワー・ウィンドウにパワーステアリング、さらに運転席エアバッグ、ABSなどが標準装備となっていた。これも高い人気の理由である。
テラノは、2002年8月に次世代SUVのエクストレイルに後を譲って生産を中止した。国産車では画期的なSUVの1台であった。