レオーネ1800ターボ 【1982,1983,1984】

水平対向ターボ+4WDの優位性を証明したスバルの原点

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“TURBO”ブームへの対応

 富士重工業(現SUBARU)の中核モデルであるレオーネは、1979年6月にフルモデルチェンジを行い、「ザ・ニューレオーネ」と称した第2世代に移行する。デビュー当初のボディタイプは4ドアセダンのみで、翌7月には2ドアハードトップをリリース。さらに10月には、エステートバンと4WDモデル、そして2BOXスタイルのスイングバックを設定した。1981年6月になるとマイナーチェンジを実施し、内外装の一部を変更。翌7月には2段ルーフを採用したツーリングワゴンを発売し、アウトドア志向のユーザーから高い評価を受ける。そして11月には、国産車初の4WD+ATモデルを市場に放った。

 矢継ぎ早に車種ラインアップの増強や中身の進化を果していったザ・ニューレオーネ。一方で1980年代初頭の自動車マーケットでは、ひとつの先進技術が脚光を浴びる。排気エネルギーを活用する“TURBO(ターボ)”機構だ。日本で先陣を切ったのは日産自動車で、1979年12月に430型系セドリック/グロリアのターボモデルを発売する。既存のエンジン排気量で、約1.5倍の排気量に匹敵するパワーが得られる−−。こうしたターボの特性に、ユーザーは大いに惹かれる。メーカー側もターボ車を積極的にリリースし、やがて市場ではTURBOブームが巻き起こった。

 この流れに乗り遅れまいと、富士重工業の開発現場ではターボエンジンの企画を鋭意推し進める。そして、ターボ車の第1弾をレオーネにすることを決定した。

“劇的な回答”をキャッチに4WDターボATを発売

 1982年10月、スバル初のターボ車となるレオーネ4WDセダン/ツーリングワゴン・ターボが市場デビューを果たす。キャッチフレーズに“劇的な回答”を謳ったレオーネのターボモデルは、他社とは一味違う凝ったメカニズムを採用していた。水平対向ターボエンジン+AT+4WDという独自の機構を組み込んでいたのである。

 エンジンについては、既存のEA81型1781cc水平対向4気筒OHVをベースに、直径約50mmの小径タービンを組み込んだ小型軽量ターボチャージャーユニットをセット。同時に、燃料供給装置には同社初のEGI(電子制御燃料噴射装置)を採用する。さらに、コンピュータが点火時期を自動的に制御するノックコントロールシステムやセルフコントロール機能のオンボード・ダイアグノーシスシステム、動弁系統のメンテナンスフリー化を図るハイドロリックバルブリフターといった先進機構を装備した。圧縮比は自然吸気仕様より1.0低い7.7に設定。パワー&トルクは120ps/5200rpm、19.0kg・m/2400rpmを発生した。

 トランスミッションには、新開発のオールポジションロックアップ3速ATを導入する。最終減速比を自然吸気版用のATよりもハイギアードに設定し、燃費と高速性能を一段と向上させるとともに、低速域からロックアップの効いたレスポンシブな走りが楽しめるようにセッティングした。

走破性を高めたハイトコントロール車を設定

 レオーな・ターボの駆動機構は,現在のスバル各車に定着したエンジンからリアデファレンシャルまでを左右対称に、しかもストレートに結んだ4WDを採用。油圧多板クラッチを組み込んだ4WDシステムは走行中に、しかもボタン操作ひとつでFFと4WDの切り替えができる仕組みだった。
 装備面では、過給圧が+50mmHg以上になると点灯するターボチャージ・インジケーターランプや全面ファブリック地のシート、ゴールド色のバンパー&サイドプロテクトモール、幅広ブラックのウィンドウモール、専用のボディストライプなどを盛り込んでいた。

 1983年10月になると、ターボATに油圧式車高調整機能を持たせたハイトコントロール車を設定する。これにより、ターボATの高速オールラウンドツアラーとしての実力がいっそう高まった。
 オリジナリティあふれるメカニズムを採用し、市場で独自のポジションを築いた2代目レオーネ。その開発姿勢は、1984年7月に登場した第3世代のオールニュー・レオーネにもしっかりと受け継がれていったのである。