東京モーターショー2011/マツダ 【2011】

「環境の先にある、走る歓びを」をアクティブに展開

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「走る歓び」を革新する技術と新マツダデザインを披露

 2011年12月に開催された第42回東京モーターショーでマツダは「環境の先にある、走る歓びを」という出品テーマを掲げてブース展開をした。
 マツダは2007年3月に「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」を策定し、その具体的な方策として、2010年10月に“走る歓び”と“優れた環境・安全性能”を高次元で両立した次世代技術群の「SKYACTIV」(スカイアクティブ)を発表する。
 第42回ショーでは、このSKYACTIV技術を全面的に採用したコンセプトカーと量産モデルを出展。マツダが考える革新の“走る歓び”を、来場者に披露した。

SKYACTIV技術と魂動デザインを採用したコンセプトカー

 世界初公開のコンセプトカーは、「雄(TAKERI)」の車名で雛壇に上がる。訴求ポイントは2点。新デザインテーマの“魂動(こどう)〜Soul of Motion”の採用とSKYACTIV技術のフル導入だ。

 魂動デザインはマツダがこれまで模索し続けてきた“動き”のある造形の集大成。生物が見せる一瞬の動きの美しさや強さをクルマのデザインに昇華させることを念頭に置いている。キーワードはSpeed(前進感)/Tense(緊張感)/Alluring(艶やかさ)。スピード感を生む骨格に、研ぎ澄まされた緊張感を持ったフォルム、そして味わいや艶っぽさを感じる質感の具現化をデザインテーマに据えていた。雄(TAKERI)においては、「誰もが直感できるセダンらしさ」と「エモーショナルで突き抜けた魅力」を、高次元でバランスさせることによって、ミドルサイズセダンのデザイン革新に挑戦。そして、このクラスにふさわしいパッケージレイアウトのなかで「しなやかに力を溜め、その瞬発力で一気にスピードを生む動き」を、より力強く際立たせることに注力していた。

 メカニズム面では、クリーンディーゼルエンジンのSKYACTIV-DをはじめとするSKYACTIV技術を全面的に採用したことがトピック。さらに、「i-ELOOP」と称する独自の減速エネルギー回生システムも導入した。従来のクルマはエンジン動力の約10%をオルタネーターでの発電に回し、それをバッテリーに蓄電して必要な電装品を動かしていた。i-ELOOPでは、電気二重層キャパシタ(EDLC)を使った減速エネルギー回生システムによって電装品を動かす電気を補う。エンジンは駆動力以外の発電の負担から解放されるため、効果的に燃料消費の削減が実現できる仕組みだ。ちなみに、i-ELOOPはマツダの“ビルディングブロック戦略”のステップ2となる電気デバイス技術で、ステップ1はi-stop、ステップ3はモーター駆動技術と位置づけていた。

SKYACTIV技術をフルに導入した初の量産モデルを出品

 量産モデルでは、SKYACTIV技術を全面採用した第1弾の商品となる「CX-5」の国内仕様を初公開した。
 組み込まれたSKYACTIV技術は多岐に渡る。まずクリーンディーゼルの「SKYACTIV-D 2.2」2188cc直4DOHCディーゼルターボは、世界最高の低圧縮比14.0による燃費改善や2ステージターボチャージャーの装着によるスムーズでリニアなレスポンスと大幅なトルク向上、高価なNOx後処理装置なしでグローバルの規制をクリアする高い排出ガス性能を特長とする。

 主要技術としては、優れた可燃混合気を生成するマルチホールピエゾインジェクターや暖機中の空気温度上昇に貢献する排気VVL(可変バルブリフト機構)、大小2個のタービンを運転領域によって使い分ける2ステージターボチャージャーなどを採用。また、シリンダーブロックのアルミ化やシリンダーヘッドの肉厚低減、エグゾーストマニホールドの一体構造化、クランクシャフトのメインジャーナル径のダウンサイズなどを行い、エンジンの軽量化と機械抵抗の低減を図った。次に次世代高効率直噴ガソリンエンジンの「SKYACTIV-G 2.0」1997cc直4DOHC。このエンジンの最大のトピックは、高圧縮比の実現とノッキング対策、そして低中速トルクおよび燃費の大幅な向上にある。圧縮比は同クラスの量産用ガソリンエンジンとしては最高レベルの13.0を実現。そのうえで高圧縮比エンジンの課題であったノッキングを4-2-1排気システムやキャビティー付きピストン、マルチホールインジェクター、緻密な燃焼制御などで克服した。

 トランスミッションには「SKYACTIV-DRIVE」電子制御式6速ATを組み合わせる。また、高張力鋼板の使用比率を引き上げると同時に基本骨格のストレート化および連続化やマルチロードパス構造などを導入して高剛性と軽量化を両立した「SKYACTIV-BODY」、新開発のサスペンションや電動パワーステアリングなどを組み込んでドライビングプレジャーを引き上げた「SKYACTIV-CHASSIS」を採用し、新世代SUVならではの優れた走行性能と安全性を実現した。

 ショーデビューを果たしたCX-5は、2カ月ほどが経過した2012年2月に販売をスタート。魂動デザインを取り入れた先進のスタイリングやSKYACTIV技術による高性能な走りが好評を博し、たちまちクラスのベンチマークの1台に据えられたのである。