コルサ 【1986,1987,1988,1989,1990】

個性的な“リトラ”をラインアップした3代目

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3代目はエンジン横置きFF方式を採用

 コルサは、1978年の初代以来、スターレットよりやや上級で、カローラよりカジュアルなFFコンパクトカーとして進化してきた。1986年5月に登場した3代目もポジショニングはそのままだった。ただしメカニズム面では、従来のエンジン縦置きFFレイアウトから、一段とスペース効率に優れたエンジン横置きFFレイアウトに進化。日本だけでなく世界のライバルとも戦える合理的な設計となっていた。

新型移行はハッチバックのみ、セダンは旧型を改良

 ボディバリエーションは3&5ドアのハッチバックと、4ドアセダンの3タイプ。このうちエンジン横置きの完全な新型に移行したのはハッチバック系のみ。4ドアセダンは2代目モデルのマイナーチェンジ版を継続販売した。これは4ドアセダンの販売ボリュームがハッチバックより少ないため開発費を節約したのと、4WDモデルをラインアップするための処置だった。3代目コルサが登場した1986年当時、まだまだエンジン横置きFFベースの4WD開発には技術的な挑戦を必要とした。コルサではその挑戦を避け、すでに4WDメカニズムが熟成の域にあった先代の4ドアセダンを継続することにしたのである。ちなみにコルサは、先代と同様にターセル、カローラIIと兄弟車の関係にあった。この3台は販売ディーラー別にネーミングを変えただけで基本的に同一のクルマと言えた。ただしカローラIIのラインアップはハッチバック系のみで、セダンは設定していなかった。

リトラクタブル式ヘッドランプを採用した“リトラ”登場

 3代目コルサの個性は3ドアハッチバックにあった。5ドアモデルと共通の角型ヘッドランプを採用した通常モデルに加えて、クラス初のリトラクタブル式ヘッドランプを採用したスポーティ仕様、その名も“リトラ”を設定したのだ。リトラクタブル式ヘッドランプは、精悍な低いノーズを実現するために本格スポーツカーが採用するものと相場は決まっていた。そんなリトラクタブル式ヘッドランプを合理性を持ち味とするコンパクトハッチバックが採用するのは異例中の異例。それだけにリトラの個性は強烈だった。

 リトラと通常の3ドアモデルの違いはフロント回りのみ。リトラではフォグランプを組み込んだアンダースポイラー付きの大型バンパーを採用。ボンネット前端にリトラクタブル式ヘッドランプを組み込んでいた。通常モデルとリトラのノーズ高はさほど変わらなかったが、巧みな造形によりライト格納時のスタイリングは明らかにシャープに見えた。リトラにはルーフスポイラーやボディサイドのサイドシルプロテクターを装備し、さながら“スープラの弟分”というイメージが漂った。

エンジンは基本3種。ターボ仕様も後に追加

 ボディサイズは、通常モデルが全長3865×全幅1625×全高1370mm。リトラも共通の全長3865×全幅1625×全高1370mm。2360mmのホイールベースも同一である。搭載するパワーユニットはリトラが排気量1456ccの3E型・直列4気筒SOHC12V(79ps/6000rpm)の1種。5ドアハッチバックを含めた通常モデルはリトラと共通の3E型と、排気量1295ccの2E型・直列4気筒SOHC12V(73ps/6000rpm、パーシャルリーン仕様は67ps/6000rpm)、そして燃費性能を重視した排気量1453ccの1N型・直列4気筒SOHCディーゼルターボ(67ps/4700rpm)をグレードによって積み分けていた。トランスミッションは4&5速マニュアルと、3速&4速オートマチックの4種である。

 3代目コルサは、デビュー当初はリトラの設定こそあったが、比較的おとなしいラインアップ構成でスタートする。その後1986年9月に排気量1456ccの3E-TE型・直列4気筒SOHC12Vインタークーラー付きターボ(110ps/5600rpm)を積むターボグレードを新設。1988年5月にはターボの最高出力を115psにアップすると同時に、88psの最高出力を発生する3E型の電子制御インジェクション仕様(3E-E型)を加えるなどアクティブに発展。ヤング・アット・ハートなユーザーの期待に応えた。