館長日記11 スズキ・クロスビー 【2021】

「くまもん」にちょと似ているSUVに乗りました!

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名車文化研究所の館長は、もちろん無類のクルマ好き。
得意なのは「ちょっと古いクルマ」だけではありません。最新モデルも興味シンシン。現在でも自動車専門誌「CAR and DRIVER」の編集委員としてバリバリ取材をこなしています。
その日常を「館長日記」としてご紹介します。今日はファニーフェイスのSUVです。
名車文化研究所・館長 横田宏近/写真 小久保昭彦
最新モデルは安全装備が充実。個性的なスタイルに変更はありません

 クロスビーがマイナーチェンジしました。クロスビーはハスラーの兄貴分的キャラクターのスズキのSUV。「くまもん」にちょっと似たファブーフェイスの持ち主です。
 今回の改良ポイントは安全機能の充実。中級グレード以上に車線維持支援機能と、全車速対応のアダプティブクルーズコントロール、そして夜間の歩行者も検知するデュアルカメラブレーキサポートを標準化しました。ラインアップは充実装備のハイブリッドMVを追加。好評の内外装とメカニズムに変更はありません。試乗車は最上級グレード、ハイブリッドMZの4WDです。

 パワーユニットは1ℓ・3気筒直噴ターボ(90ps/150Nm)とモーター機能付き発電機(3.1ps/50Nm)の組み合わせ(つまりマイルドハイブリッド)。トランスミッションは6速ATです。

走りは軽快な印象。エンジンはフラットトルクです

 1ℓ・3気筒ターボエンジンは、なかなか力強い印象でした。日常領域の静粛性/滑らかさは高水準。「SPORTモード」を選ぶと、瞬発力が増します。街中はもちろん、長距離ドライブに連れ出しても満足感はハイレベルでした。
 モーターは発進時や加速時に最長30秒アシストを行います。その役割はあくまでも補助的なもので、モーターによって加速力がグンと増すといった設定ではありません。しかし、発進や追い越しでアクセルを踏み込んだ瞬間の「ツキのよさ」「滑らかさ」といったメリットは明らかです。軽快で心地よい走りにプラスをもたらしていると思いました。

 これで、エンジンがもうちょっと高回転域で伸びのあるフィーリングだったら最高でしょう。低速域からトルクフルな事はいいのですが、いささかフラットな特性のため、回しても楽しくないのが玉にキズ。せっかくのパドルシフト付き6速ATとの組み合わせですが、アクティブな走りにトライしようとは、あまり思いませんでした。

 4WDシステムはビスカスカップリング方式。ジムニーのような本格派とはいえないものの、スキーや渓流釣り、あるいはキャンプ好きといったユーザーに大いにオススメです。4WDと大径16㌅タイヤ、180mmの最低地上高がもたらす悪路走破性は魅力的。急な下り勾配を安全にクリアーできる「ヒルディセントコントロール」、雪の登り坂や泥濘地で威力を発揮する「グリップコントロール」を装備している点も安心ポイントです。通常の雪道やオフロードはもちろん、ちょっとした「冒険」にもトライできそうな走破性の持ち主だと感じました。

愛着がわく造形。行動的なライフスタイルに似合います

 ボディサイズは全長×全幅×全高3760 ×1670×1705mm。コンパクトで、狭い道でも取り回しは優秀。最小回転半径は4WDでも2WDと同じ4.7mと小回りがききます。日本だと、やっぱりこれぐらいの大きさがベストですね。
 キャビンは十分なスペースを確保しています。ドライビングポジションはアップライト。フロントウィンドウ/ピラーがかなり前方に位置しているので、広々感と落ち着き感の両方を感じ取ることができます。前席も後席も居心地はハイレベルです。

 新装備の車線維持支援機能と、アダプティブクルーズコントロールは、長距離ドライブ時に役に立ちました。ただし制御は少し粗め。状況によっては不自然な印象を受けたのは事実です。ケースbyケースで使うのがベターでしょう。
 クロスビーは遊び心に満ちています。「どこかに行きたい!」「なにかやりたい!」とオーナーを行動的にさせる。楽しく、便利なSUVだと思います。個人的には,もうちょっとスタイリッシュだったら、と感じる面もありますが、愛着が湧くクルマである事は確かです。