セレナ 【2005,2006,2007,2008,2009,2010】

5ナンバー・ミニバンのリーダーとなった第3世代

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新型5ナンバーサイズミニバンの開発

 2000年代初頭の日本の自動車市場は、多人数乗りミニバンがファミリーカーの定番として定着した時期だった。なかでも高い人気を誇ったのが5ナンバークラスのセミキャブ型ミニバンである。ホンダ・ステップワゴンとトヨタ・ノア&ボクシー、そして日産セレナという御三家がトップシェアを懸けて販売競争を繰り広げていた。各メーカーの技術陣は、研究開発に注力。とくに業績回復のための中期計画である“日産180”を推し進めていた日産自動車は、クラストップの座を目指した次期型セレナの開発に鋭意取り組んだ。

 新しいセレナを企画する際、開発スタッフは商品コンセプトとして“SHIFT_capacity ミニバンの可能性をシフトする”を掲げる。具体的には、「あらゆる生活シーンに対応し、休日の楽しみを満喫できるミニバンの創出」を目指した。特長として“見てBIG”=BIGな居室空間/BIGな荷室空間/BIGなサイドウィンドウ、“さわってEASY”=EASYな乗り降り/EASYシート操作/EASYドライブ、“使ってFUN”=FUNなシートアレンジ/FUNアイテムの実現を目指した。

広い室内空間とフレンドリーな装備を実現

 新型セレナのスタイリングは、 “アクティブ&スペーシャス”をテーマにデザインされた。ステップのある特徴的なキャラクターライン“シュプールライン”と安定感のあるモダンなキュービックボディを基本にデザインする。インテリアは“アクティブ&ルーミー”をテーマにアレンジ。大きな窓と低いウエストライン、広がりのあるインパネによって明るく開放的な室内空間を創出する。各部のデザインにも工夫を凝らし、2段構成のダッシュボードやスイッチおよび操作ダイヤルを集中させたセンタークラスター、スクエアで厚みのあるシート、大容量のラゲッジアンダーボックスなどを装備した。

 新型のコンセプトである “見てBIG”については、クラストップレベルの足もとスペースとヘッドルーム、サードシート使用時でも十分なスペースを確保した荷室空間(最大時はマウンテンバイク3〜4台の積載可)などで実現する。“さわってEASY”は大開口両側スライドドアや低いステップ高による乗り降りのしやすさ、少ない力で撥ね上げられるイージーアップサードシート、操作力を軽減させる電制パワーアシストシフトなどで達成。そして“使ってFUN”は、多彩なシートアレンジを筆頭にインカーホン/インストクールトレイ/パーソナルテーブルといった機能的なアイテムによって成し遂げた。

 搭載エンジンは日常域でのパフォーマンスを徹底追求したMR20DE型1997cc直4DOHCユニットを採用する。ミッションはエクストロニックCVT。駆動機構には2WD(FF)とオートコントロール4WDの2タイプを設定した。

国内で販売する日産車の最量販モデルに成長

 3代目となる新型セレナは、2005年5月に発売される。キャッチフレーズは「BIG! EASY! FUN! ボックス」。車種構成は“都会的で個性的”なフロントマスクを持つ20RX/20RS、“上質で落ち着きのある”イメージの20G/20Sという4グレードを2WDと4WDのそれぞれに設定し、計8グレードで展開した。

 3代目セレナは、発売1カ月で月販目標の3倍超の受注(1万8062台)を記録。この勢いを維持しようと、メーカー側は積極的に車種ラインアップの拡大と装備の充実化を実施した。2006年6月にはスポーティ仕様のハイウェイスターを、同年12月には20G HDDナビエディションをリリース。2007年12月になると“SHIFT_family ties 家族の絆をシフトする”と称したマイナーチェンジを行い、内外装のデザイン刷新やシート地の変更、ファインビジョンメーターの標準採用、世界初の新技術である“アラウンドビューモニター”や“インテリジェントエアコンシステム”の組み込みなどを敢行した。努力の甲斐もあって3代目セレナは好セールスを維持し続け、結果的に2007年から2009年まで3年連続でミニバン販売台数の第1位を獲得したのである。

セレナをベースとするドクターカーの開発

 3代目セレナの登場から5カ月ほどが経過した2005年10月、日産自動車は横浜市立大学(神奈川県)とセレナをベースとするドクターカーを用いた新たな救急医療体制の共同研究を本格開始したと発表した。

 この研究は政府が推進する第7次交通安全基本計画の重点施策である「救助・救急体制の整備」のうちドクターカーの活用推進について取り組むもので、「新型ドクターカー導入による救急医療体制の高度化研究」をテーマに横浜市立大学付属市民総合医療センターならびに横浜市消防局と共同でプロジェクトを実施した。具体的な研究内容は①医師現場派遣に即応した機動性の高いドクターカー仕様の明確化と製作②国内外のドクターカー運用システムの現状調査③医師現場派遣の対象となる事案を特定する緊急度識別方法の完成④緊急度識別方法に基づく医師現場派遣の有効性の検証という4項目。研究は2006年2月末まで行われた。