ランドクルーザー100 【1998,1999,2000,2001,2002,2003,2004,2005,2006,2007】

世界最上の走りと上質を手に入れたプレステージSUV

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100は“セルシオのSUV”というイメージを発散

 ランドクルーザーは、世界のトップ・オブ・オフローダー。卓越した走破性と信頼性の高さは、ライバルの追従を許さない。評価は世代を重ねる毎に高まり、ワールドSUVとして揺るぎないポジションを確立した。
 1998年1月に登場した大型サイズの100シリーズは、ランドクルーザーの歴史に“プレステージ”という新たな価値を付加する。

 1990年代後半、ランドクルーザーは、伝統のクロスカントリー性能を磨いた70シリーズ、ミディアムクラスのプラド、そして大型ステーションワゴンである80シリーズと3モデルを揃え、世界中の幅広いニーズに対応していた。100シリーズは80系の後継モデルで、メインマーケットは日本ではなく、アメリカ、そして中近東だった。
 100シリーズは、マルチパーパスな乗用車として使用されるケースが多いアメリカや、石油関連の事業に従事する富豪に愛されている中近東の事情を考慮して開発が行われた。その結果、イギリスのレンジローバーや、アメリカのフルサイズSUVに勝るとも劣らない風格を身につける。イメージ的に、それまでが “クラウンと同車各のSUV”だったとすると、新型は“セルシオ(レクサスLS)のSUV版”という輝きを放った。

ランクル初! ガソリンV8ユニット搭載

 日本仕様のラインアップは、3ナンバーのワゴン系と、1ナンバーとなるバン系に分かれ、それぞれ上級のVXリミテッドと、VXを設定。VXリミテッドにはアクティブハイトコントロール式サスペンション(AHC)や高級オーディオを標準装備するGセレクション仕様が選べた。
パワーユニットはワゴン系がランドクルーザー初の8気筒エンジンとなる排気量4663ccの2UZ-FE型V8DOHC32V(235ps/43kg・m)、バン系は電子制御燃料噴射システムと空冷式インタークーラーを装備した排気量4163ccの1HD-FTE型・直6OHC24Vディーゼルターボ(205ps/44kg・m)。トランスミッションは電子制御4速ATを全車に設定。バンのVXは5速MTも選択できた。

 100は、その豊かな体躯でユーザーを魅了する。ボディサイズは全長5125×全幅1940mm×全高1890mm(VX・Gセレクション)。スタイリングは、従来までの後付けオーバーフェンダー処理から、フェンダーラインそのものでボリューム感を演出する方向に変更。Aピラーを旧型より寝かし各部のフラッシュサーフェス処理により、空力特性対策も徹底して行われていた。Cd値はこのクラストップ級の0.40をマークする。
 室内は、広さと快適さを追及。室内幅は旧型比一挙に70mm拡大。オプティトロン式メーターや各部に配したウッドパネル、そして細部まで徹底した行われた作り込みによって高級車そのものの室内空間を実現していた。ワゴンは3列シートの定員8名、バンは2列シートの定員5名。ワゴンは、3列目シートが取り外し可能で、1-2列シートをフラットに出来るなど多彩なアレンジ機構を備える。Gセレクションでは本革シートがオプションで選べたが、それがよく似合う上質な雰囲気を備えていた。

卓越のオフロード性能。快適にしてタフなワールドモデル

 プレステージが上がったことを認識させたのは、その走りだった。なかでもV8ユニットを搭載したワゴンの快適さは別格だった。エンジンは静粛にしてスムーズ。必要充分以上のパワーをつねに供給すると同時に、ドライバーに無類のゆとりを与えた。足回りも格段に進化していた。フロントがダブルウィッシュボーン式の独立となり、ロードホールディング性能が向上。乗り心地もリファインされていた。なかでもAHC機構を組み込んだGセレクションのフットワークは秀逸だった。
 それでいて、ランドクルーザーの持ち味である卓越したオフロード性能はいっさい犠牲にしていなかった。駆動方式はセンターデフ式のフルタイム。標準でリアのデフロック機構を備え、オプションでリミテッドスリップデフとトラクションコントロールを設定。AHC仕様では路面状況に合わせ前40mm、後50mm車高を上げることができ、走破性は一段とアップした。

 ランドクルーザー100は、オールマイティという表現がぴったりのクルマだった。高級ホテルに乗り付けても様になる風格あるスタイリングと、広く快適な室内。そしてスムーズな走りが見事に融合していた。しかもタフさは従来そのまま。どんな路面状況でもしたたかに走った。まさに地球対応のワールドクラスと呼ぶに相応しい逸材だった。
 ランドクルーザー100は、1998年12月には最上級モデルのシグナスを加え、高級・上質SUVの地位を不動のものにする。そして2002年8月にはATを4速から5速に変更するなどの改良を適宜行い、2007年までのモデルライフを、高い人気を持続したままで全うした。

新機構。アクティブハイトコントロール(AHC)とは?

 100に新採用されたアクティブハイトコントロールサスペンションは、シトロエンのハイドロニューマチックサスペンションとよく似たシステムだった。金属バネの代わりに窒素ガスを封入したガスバネを用い、ダンパーユニットとオイルのやり取りをすることによって緩衝効果を発揮。ガスバネからダンパー系へ電磁ポンプでオイルを出し入れすることによって車高を上げ下げしていた。
具体的には悪路走行用に車高が前40mm/後50mm上がるハイモードと、乗降時に車高を下げるローモードを備え、さらにオートレベリング機能により、大量の荷物を積載しても姿勢を常に一定に保った。車高調節スイッチはコンソール部に配置していた。