スプリンター・トレノ(TE47 & TE61) 【1974,1975,1976,1977,1978,1979】

伝統の2T-Gエンジン復活でその名を轟かせた雷鳴

会員登録(無料)でより詳しい情報を
ご覧いただけます →コチラ


生粋のスポーツモデルとして誕生したトレノ

 1970年にカローラは初めてのフルモデルチェンジを受け、その時に独立したモデルとしてスプリンターが登場した。この2代目カローラ&スプリンターの時代にデビューしたのが、スポーツバージョンのカローラ・レビンであり、スプリンター・トレノである。1972年3月に登場したこれら2台は、ベース車のスプリンターおよびカローラのクーペボディに、スペシャルティモデルのセリカ/カリーナGTに搭載されていた1588cc直列4DOHCの2T-Gユニットを積み込んだホットモデル。855kgのライトウェイトのボディと、115psという最高出力を持ち、パワー/ウェイトレシオは、7.43kg/ps。最高速度190km/h、0-400m加速16.3秒をマークした。

 多くの話題を集めたトレノとレビンは、1974年4月に、カローラおよびスプリンターのフルモデルチェンジに合わせ、2代目のトレノおよびレビンへと生まれ変わった。この時、トレノとレビンで共通の型式(TE27型)だったそれまでと異なり、この2代目ではトレノがTE47型、レビンがTE37型と、違う型式が与えられた。これは、ベース車のスプリンターが40系、カローラが30系として区別されたことに則っている。ちなみに、サブネームのトレノはスペイン語で「雷鳴」を、レビンは英語で「稲妻」を意味する。

電子制御化で見事に復活を遂げたスポーツ心臓

 2代目のデビューから1年半あまりの1975年11月、ツインチョーク型ソレックスキャブレターを2連装した2T-G型ユニットは、昭和50年排出ガス規制をクリアできずに生産中止。搭載するトレノとレビンは、ラインアップから一時的に姿を消すことになる。

 1年2カ月ののち、2T-G型エンジンは生産を再開する。それは、酸化触媒とともに、電子制御燃料噴射(EFI)を採用し、昭和51年排出ガス規制に適合させることに成功したからだ。2T-GEU型となった1600DOHCエンジンのパワースペックは、最高出力110ps/6000rpm、最大トルク14.5kg-m/4800rpm。TE27型のソレックス仕様(最高出力115ps/6400rpm、最大トルク14.5kg-m/5200rpm)に比べ、EFI仕様は5psのパワーダウンとなり、スパルタンという印象から、扱いやすいモダンなスポーツユニットという性格に生まれ変わった。2T-GEU型エンジンは、以降、セリカやカリーナにも搭載され、トヨタのスポーツモデルになくてはならないスポーツユニットとして人気を集めていく。

独自の個性を取り入れたフロントマスク

 2T-GEUを積み込んだトレノは型式がTE61となる(レビンはTE51)。当時からスプリンターとカローラは、ヘッドライトなどフロントマスクは差別化が図られていた。どちらかと言えばオーソドクスなデザインのカローラシリーズとは異なり、スプリンターシリーズのそれは独自の存在感を示すデザイン。当然、トレノおよびレビンも、2ドアクーペのボディースタイルは同じながら、ベース車同様の異なるフロントマスクとなっていた。

 トレノのフロントマスクは、やはりそのヘッドランプ回りがユニークだ。ヘッドライトを奥まった位置に配置しつつ、その周囲はスラント状のデザインである。一見すると、異型ヘッドライトと見間違うが、丸型のヘッドライトが備えられている。独創的でありながら、実に巧みなデザイン処理を行っているのだ。
 ヘッドライトのラインに合わせ、フロントエンドの両端がえぐられた形状となっているボンネットを開けると、1974年のそこにはTE27型のトレノ&レビンやセリカで当時の走り屋たちのハートを熱くした2T-Gユニットが搭載され、1977年からはEFIを装着した2T-GEUが積み込まれた。そのロングノーズの内側の空間は、スパルタンなパフォーマンスの時代と、現代的なポテンシャルの時代の2つの時代を繋ぎ合わせ、クルマ好きの心にしみる感銘を与えてくれた。

2T-GEU型エンジン搭載の2グレード。トレノとトレノGT

 当時のトレノには、2つのグレードがラインアップされた。ひとつがスパルタンなトレノ。もうひとつが装備を充実させたトレノGTである。トレノは、レザー調のスポーツシートをはじめブラックで統一されたインテリアを持ち、185/70HR13タイヤ&GTホイール、ウレタン3本スポークステアリング、タコメーターなど走りに徹した装備のみを厳選して採用した走りの仕様。

 もう一方のトレノGTは、シルバー調カラーリングを施したインパネ、チェック柄フルファブリックシート地、センターアームレスト付き大型コンソール、4本スポークステアリング、OKモニターなどを備え、上級なグランツーリングモデルという位置づけ。エンジンは共通ながら明確に差別化された2つのキャラクターが用意されていたのだ。