コルト・ラリーアートR 【2006,2007,2008,2009,2010,2011,2012】

チューニングが光る高性能スポーツ5ドア

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コルト・ラリーアートのさらなる進化

 三菱ブランドの新世代コンパクトカーとして2002年11月に発売されたコルトは、2004年10月になると新開発の4G15型1468cc直列4気筒DOHC16・MIVECインタークーラーターボ(147ps/18.3kg・m)を搭載した高性能バージョンの「ラリーアート」を追加設定する。高出力エンジンの搭載に即してボディ剛性のアップやサスペンションのセッティング変更を実施し、同時に専用デザインのスポーティな内外装パーツを纏ったコルト・ラリーアートは、走り好きのユーザーから好評を博した。一方で開発現場では、コルト。ラリーアートのさらなる進化を計画する。目指したのは、本格的なスポーツドライビングを楽しみたいユーザーに、求めやすい価格で高性能コンパクトスポーツを提供すること。この目的を達成するために、開発陣は長年にわたるモータースポーツ活動で培った高度な技術ノウハウを、随所に注ぎ込んだ。

 進化版のコルト。ラリーアートは、「コルト・ラリーアート・バージョンR」の車名で2006年5月に市場デビューを果たす。“使い切る高性能”を具現化したこだわりの本格スポーツハッチは、基本骨格から機構面、さらには内外装の演出まで、すべてに改良を加えた逸品だった。
 パワートレインについては、排気系などをリファインした4G15型1468cc直列4気筒DOHC16Vインタークーラーターボエンジンを搭載する。トランスミッションには従来のINVECS-Ⅲ6速スポーツモード付CVTのほか、ザックス社製クラッチを組み込んだゲトラグ社製5速MTを設定。最高出力は2ミッションともに154ps/6000rpm、最大トルクはMTが21.4kg・m/3500rpm、CVTが18.3kg・m/2500rpmを発生した。

走りを予感させる逞しい造形

 バージョンRのボディは、必要最小限の重量増で最大限に効果を発揮する補強を実施。従来の約1.5倍におよぶスポット溶接の増し打ちやカウルトップの板厚アップ、サスペンション取付部の強化、リアフロアバーおよびリアダンパーガセットの追加、Dピラーリインフォースの追加などを行った。組み合わせるサスペンションは、欧州仕様ターボモデル用を日本向けにファインチューニング。前後ダンパーの減衰力の最適化やコイルスプリングのバネ定数のアップのほか、フロントのロアアームおよびリアのトーションビームの剛性強化を図る。スタビライザーは前後に装備した。

 装着タイヤは205/45R16サイズのヨコハマ製アドバン・ネオバで、ホイールには7本スポークの16インチアルミを装着する。また、制動機構には高摩擦材ブレーキパッドと大径・肉厚ディスクローターを採用した前ベンチレーテッドディスク/後ディスクを、操舵機構にはギア比をクイック化したパワーステアリングをセット。電子制御機構として、アクティブスタビリティコントロール(ASC)を5速MT車に採用した。

 エクステリアについては、エンジンの冷却性アップを狙って開口部を大きくしたグリル一体型フロントバンパーやフロントフード、空力特性の向上を果たすエアロパーツ、大径タイヤを覆う前後オーバーフェンダータイヤを採用したことが訴求点となる。インテリアは、5速MT車に240km/hフルスケールホワイトメーターを、CVT車に180km/hハイコントラストメーターを採用。5速MT車には本革巻きシフトノブやアルミプレート付ペダルをセットする。前席は従来と同形状のスポーツシートを標準装備。後席は従来のシートバックに2名掛けのクッションを組み合わせ、乗車定員は4名とした。

RECAROエディションの発売とマイナーチェンジの実施

 稀少な国産ホットハッチとしてスポーツ派ドライバーから人気を博したコルト・ラリーアート・バージョンRは、デビュー後も数々の話題を提供していく。2007年5月には、特別仕様車の「RECAROエディション」を発売。車名の通りレカロ製フルバケットシートを標準装備したうえで、専用のブラック色インパネやランサーエボリューションと同一の本革巻き丸型シフトノブ(5速MT車)、専用バージョンアップRデカールおよびスカッフプレートなどのアイテムを採用した。

 2007年11月になるとマイナーチェンジを実施し、5速MT車のエンジンの最高出力を163psへと引き上げる。さらに、1本当たり約1.5kg軽量化した新16インチアルミホイールの装着やランサーエボリューションⅩにも採用するレカロ製フルバケットシートのオプション設定などを行った。

バージョンRスペシャルで連続シームレス溶接を採用

 2008年5月には、特別仕様車の「バージョンRスペシャル」を市場に放つ。最大の注目点は、4つのドア開口部に連続シーム溶接を導入したこと。これにより、ベースボディ比で縦方向の曲げ剛性が約10%向上した。ほかにも、ラリーアート製スポーツマフラーや専用のブラック塗装12本スポークアルミホイール、レカロ製フルバケットシート、シルバー色ステッチ入り本革巻きステアリング&シフトノブ、カーボン調センターサイドパネル&エアアウトレットリング、シリアルナンバー入りプレートなどを採用して内外装のスペシャル度をアップさせた。

 限定300台でリリースされたバージョンRスペシャルは、好評のうちに販売終了。再販を望む声に応えて、2010年2月には再びバージョンRスペシャルを限定200台で発売する。同年6月には一部改良を行い、ラリーアート製スポーツマフラーをメーカーオプション設定。そして2012年6月には生産を終了し、惜しまれながらも車歴に終止符を打ったのである。