ルーチェ 【1966,1967,1968,1969,1970,1971,1972】

ベルトーネ造形のスタイリッシュセダン



マツダは1963年と1965年の東京モーターショーに、
ルーチェの名を冠したプロトタイプ車を出展。
どちらもベルトーネによるスタイリングで、
1966年、初代ルーチェとして発売。
流麗なスタイリングと、豪華さで注目を集めた。
欧米のデザイナーによる時代

 1960年代、日本車のスタイリングデザインの流れの中で、ヨーロッパやアメリカのデザイナーやカロッツェリアと呼ばれるデザイン工房に依頼することが流行った時期がある。1950年代からの海外メーカーとの技術提携による生産技術の吸収の次は、スタイリングデザインの面でその技術を得ようというわけだ。
 日本車で、海外デザイナーの作品として最初に現れたのは、1960年のイタリアのミケロッティによるプリンス・スカイラインスポーツだ。さらに、1963年には同じイタリアのピニンファリーナによる日産ブルーバード410やヴィニアーレによるダイハツ・コンパーノがデビューした。

ジウジアーロによるスタイリング

 海外デザイナーのブームに乗り遅れまいと、マツダは1963年と1965年のモーターショーに、ルーチェと呼ぶ、ファミリアをベースとした4ドアセダンのプロトタイプを展示した。スタイリングデザインはイタリアン カロッツェリアのベルトーネにいたジョルジェット・ジウジアーロによるものだ。このプロトタイプは大幅な改修を受けて、1966年8月に「マツダ・ルーチェ」として発売された。ルーチェのスタイリングは、このクラスのセダンとして世界的なレベルとなっていた。

クラスを越えた魅力で訴求

 全体の雰囲気は、同時代のBMWを想わせる、すっきりとしたラインを持ち、ヨーロッパ的な雰囲気を漂わせるものであった。フロントに搭載され、後輪を駆動するエンジンは、新設計の直列4気筒SOHCで排気量は1490cc、78ps/5500rpmと11.8kg-m/2500rpmのを発揮。1050kgと比較的軽量な6人乗りボディを、0〜400m加速19.6秒、最高速度150km/hで走らせた。当時の水準からは十分な性能である。ボディバリエーションは3ボックスの4ドアセダン1種、グレードはデラックスとスタンダードの2種で、装備や外装の細部が異なる。価格はデラックスが69万5000円と、同クラスのライバルたちに比べて若干割高となった。

 1967年にはエンジンをツインキャブレターなどで性能向上したルーチェSSが登場、86ps/5500rpmの最高出力で最高速度を160km/hが可能となった。さらに1969年のルーチェ1800を経て、1970年のロータリーエンジン搭載の前輪駆動モデル、ルーチェ・ロータリークーペに至るのである。
 マツダ・ルーチェ。それは、決して数は多くないものの、国産車を語るには忘れてはならない一台といえるモデルである。

COLUMN
ルーチェとマツダ、どちらも名は光が関係
 ルーチェというネーミングは、イタリア語で「光」「輝き」を意味する。マツダという社名(ブランド名)も、光に関する事柄に由来する。マツダは、創業者の苗字からの命名であることは間違いないが、もうひとつ、ゾロアスター教の光の神「アフラ・マズダー」(Ahura Mazda)にも由来すると言われる。自動車産業の光明たらんことを願っての社名。ルーチェとマツダ、どちらも光に関連するネーミングである点は興味深い。