カペラ・ワゴン 【1997.1998,1999,2000】

使い勝手を追及した快適クルーズワゴン

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1番快適なワゴンを目指した2代目の個性

 マツダは、ユーザーの側に立ったクルマ作りに長けたメーカーである。1997年11月登場した2代目カペラ・ワゴンは、その事実を改めて実感させてくれた良質車だった。2代目は、約9年半ものロングライフを誇った初代モデルの優れた使い勝手を継承、一段と人間優先設計を徹底する。目指したのは「一番快適なワゴン」。単にラゲッジスペースが広いだけでなく、室内すみずみに快適さを高める工夫を施したのがセールスポイントだった。

 ボディサイズは全長×全幅×全高4665×1695×1510mm(FF)。ホイールベースをセダン比で60mm延長した2670mmに設定し、後席位置を後方にずらしたのが特徴だった。後席には160mmスライド、リクライニング、折り畳み、クッション取り外し機構を内蔵。助手席シートバックは前倒しができ、倒すとテーブルとして使用できた。その結果、前後シートを倒してフラットにした“おやすみモード”、後席を前倒し、クッションを外して身長180cmの大人が仮眠出来るスペースを確保した“シュラフモード”、約2.8mの長尺物が積める、助手席と後席を倒した “ロングラゲッジモード”など、多彩なアレンジを実現。メーカーでは「37の室内を持つワゴン」という表現を使い、カペラ・ワゴンのユーティリティの高さをアピールする。

使い勝手に優れたラゲッジ空間。パワーユニットは計5機種

 通常のラゲッジスペース自体も広く、後席を立てた状態の荷室容量は537ℓ。後席を最後方にスライドさせても484ℓの容量があった。さらにリアガラスのみでも開口する2ウェイリアゲート、ハンガーやロープフックとして使える荷室インナーレール、夜間に便利な3つのラゲッジルームランプなど使い勝手を高めるアイデアを満載。カペラ・ワゴンの機能性は、国産、輸入車を問わず、ライバルより秀でていた。

 当初のパワーユニットは、1991ccの直4DOHC16V(140ps/170ps)、1839ccの直4DOHC16V(125ps)、そして4WD専用の2496cc・V6DOHC24V(200ps)の3種。1998年7月にはクラス初の直噴方式を採用した1998ccの直4DOHC16Vディーゼルターボ(100ps)を加える。トランスミッションは全グレードに4速ATを設定。ベースグレードのみ5速MTも選べた。駆動方式はFFと4WDの2種。サスペンションは前後ストラット式の4輪独立システムを組み込んでいた。

質感の高いラウンディッシュな造形。走りは好印象

 スタイリングはラウンディッシュなイメージ。広いグラスエリアを持つ正統派のワゴンスタイリングは、個性はほどほどだったが、誰からも好感を持って迎えられるように工夫されていた。全車ルーフレールが標準装備され、ベース車種を除き、リア回りのガラスはダークティンテッド仕様。バンパーやサイドモールもボディ同色で仕上げられるなど質感が高かった。
 安全装備は充実しており、運転席&助手席エアバッグ、トラクションコントロール、ABSを装備。頭部保護機能付きSRSサイドエアバッグは上級グレードに標準、他はオプションで設定されていた。

 カペラ・ワゴンは、機能性が高く、ライバルと比較して価格設定がリーズナブルなこともあり、順調な販売実績を残す。走りはしっかりとした印象。ボディ剛性は高く、足回りはロードホールディング性能に優れていた。上級グレードではリアにセルフレベリング機構を組み込んでいたため、荷物を満載しても姿勢が後ろが沈まず、安定したハンドリングが楽しめたのも好印象だった。

 カペラ・ワゴンは1999年10月にマイナーチェンジを実施。フロントマスク形状をリファインすると同時にセダンと共通化を図る。2L車のATはマニュアルモード付きアクティブマチック仕様に進化。なおこのタイミングでディーゼル車がラインアップから外れた。生産終了は2002年4月。初代モデルと比較すると生産期間は短いが、それはマツダの新戦略により、ミドルクラス車を新開発のアテンザに刷新したためだった。カペラ・ワゴンの優れた使い勝手は、新生アテンザ・ワゴンに継承され一段と磨きがかかる。