アコード・ユーロR 【2002,2003,2004,2005,2006,2007】

新スポーツセダン像を創出した7代目の高性能版

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7代目アコードの走りの可能性を追求

 2000年代前半。本田技研工業は、ワールドワイドで展開するニューモデルを精力的に開発していく。そのなかで主力車種に位置するアコードについては、“New Quality Tourer”をコンセプトに次期型を開発。2002年10月に「全身、全域、Hondaイズム」のキャッチフレーズを掲げた第7世代のCL7/8/9型系を市場に送り出した。

 セダンのアコードは、静・動ともに上質感と躍動感のあるエクステリアデザインが特長で、同時に空力性能もクラストップレベルのCd値(空気抵抗係数)0.26を実現。アコードワゴンに関しては、“積める”“走る”を表現した伸びやかさと豊かさを強調するスタイリングで構成。パワートレインはK24A型2354cc直列4気筒DOHC16V・i-VTECエンジン(200ps)+5速AT(Sマチック)を主力ユニットに据えていた。

 一方でホンダは、7代目アコードに高性能バージョンを設定する。従来型でも好評を博したスポーツセダンの「ユーロR」だ。商品コンセプトは、「アコードの資質を備えながら、走りの可能性をさらに追求した新スポーツセダン」。ユーロRは、内外装の演出からメカニズムまで、緻密かつ徹底したチューニングを実施した。

専用の2L・DOHC i-VTECエンジン+6速MTを採用

 ユーロRのパワートレインは、専用のK20A型1998cc直列4気筒DOHC16V・i-VTECエンジン+6速MTを搭載する。K20A型ユニットは、吸気側にもVTEC機構を内蔵した高回転・高出力型のバルブタイミング・リフトに11.5の高圧縮比、単管等長ショートインテークマニホールド、アルミ材中のシリコン量を増やして熱間強度を高めた非対称ピストンフォーム、高強度材を使用してピン径を拡大した高剛性クランクシャフトを装備。ツインサイレンサーの設定によって排気抵抗が大幅に低減されていた。

さらに、ステンレス製デュアルエグゾーストマニホールドで排気音を精悍に調律。パワー&トルクは220ps/8000rpm、21.0kg・m/6000rpmをマークした。組み合わせる6速MTは、VTECの切り替え回転数に合わせて高出力・高回転が楽しめる専用のクロスレシオ設定。トランスミッション自体は、約20%の重量減を果たした軽量フライホイールの採用をはじめ、ギア/シンクロメッシュ機構/ベアリング/クラッチディスク等の薄型設計などを行い、旧型ユーロR用5速MTよりも軽量・コンパクトに仕立てられた。また、ストロークの短縮化(50mm)やクラッチペダルストロークの最適化を実施。トルク感応型のヘリカルLSDも装備した。

全身スポーティ! 足回りも専用チューニング

 シャシーは、コイルスプリングやスタビライザー、ブッシュ類をハードな方向に設定するとともにダンパーの減衰力特性を見直すことで、走行安定性の向上を実現。同時に、左右連結ストラットタワーバーをフロントに採用し、より俊敏なステアリングレスポンスを獲得する。タイヤには215/45R17 87Wの偏平ワイドタイヤを装着し、傑出した操縦性と走行安定性をいちだんとレベルアップさせた。制動機構については、高剛性キャリパー+16インチ大径ベンチレーテッドディスクをフロントに装着し、低G〜高G領域におけるリニアで剛性のあるブレーキフィーリングを実現。安全装備として、EBD付ABSも標準で装備した。

 内外装のイメージアップにも抜かりはない。エクステリアでは、前後エアロフォルムバンパーやハニカムメッシュタイプのスポーツグリル、ブラックアウトサブリフレクターヘッドライト、ボディ同色サイドシルガーニッシュ(エアロフォルム)、カイザーシルバーメタリック色17インチアルミホイール、チタン調バックレンズなどを装備してスポーティ感を強調する。インテリアでは、レカロ社製バケットシートやMOMO製本革巻きステアリング、アルミ製シフトノブ&スポーツペダル、レッドイルミネーション大径自発光メーターなどを採用して走りの雰囲気を盛り上げた。

最後のスポーツ・アコードに−−

 大人の新世代スポーツセダンとしてマニアックな人気を博したアコードユーロRは、2004年10月になるとヒーテッドドアミラーやステアリングスイッチ照明を追加装備、2005年11月には内外装デザインの一部仕様変更やセキュリティアラームの採用を実施する。しかし、販売台数自体はそれほど伸びず、2008年12月に行われたアコードの全面改良とともにカタログから外れてしまったのである。