RENAULT ARKANA R.S.LINE E-TECH HYBRID 【2022】

F1テクノロジーを活かしたルノー独自のフルハイブリッド

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中川 和昌
輸入車唯一のフルハイブリッドモデル

ルノージャポンは今年、2022年1月14日の東京オートサロンで、導入を予定するSUVクーペのアルカナR.S.ラインE-テック ハイブリッドを日本初公開、その後2月24日に輸入車唯一のフルハイブリッドモデルとして5月26日発売を発表した。
 アルカナは2018年にコンセプトモデルを発表し、2019年ロシアで販売開始、さらに、2020年に韓国のルノーサムスンが独自仕様のアルカナXM3を発表、パワーユニットは1.3Lターボで、2021年半ばからスポーティなR.S.LINEなどを送り出して、販売してきた。そのアルカナの新型車として日本へ導入されたのがアルカナR.S.ラインE-テック ハイブリッドということになる。もともとのダイナミッククーペSUVとしてのスタイルはそのまま継承して、1.6リットル直列4気筒NAエンジンに、駆動用のメインモーターとHSG(ハイボルテージスターター&ジェネレーター)の2基のモーター、そして電子制御ドッグクラッチマルチモードATで構成される革新的なシステムを搭載、ルノーがF1で培った技術を応用して、軽量、コンパクトでドライブフィールの優れた独自のハイブリッドシステムを搭載している。因みにArcana(アルカナ)はラテン語で秘密や神秘を意味するArcanumの複数形で、人の知恵では計り知れないといった意味がある。

ダイナミックなSUVクーペ

R.S.ラインの魅力的なスタイルも、クーペらしいスタイリッシュなルーフラインや力強いフェンダーラインが際立つボディサイドなどエレガントさとスポーティさが融合して都会的なフォルムにまとめられ、さらに200mmもの最低地上高を持ち、ボディーサイズは全長×全幅×全高=4570×1820×1580mmでホイールベースは2720mmとCセグメントの同クラスのSUVに対して個性的で、フロントのF1タイプのエアインテークブレードや赤いアクセントの入った専用デザインのホイールも精悍さが際立っている。注目すべきは、プラットフォームでルノー・日産・三菱とのアライアンスにより開発され、キャプチャーやルーテシアと共通のCMF-Bプラットフォームを採用していることで、スポーティかつしなやかな走行性能を期待できる。

高度な構成が際立つE-テック ハイブリッド

独自のE-テック ハイブリッドのスペックは1.6リットル直列4気筒エンジンが94ps&148Nm、メインモーターは36kW&205Nm、HSGは15kW&50Nmで、トランスミッションは電子制御ドグクラッチマルチモードATで構成され、駆動方式はFFのみ、一般的なクラッチやシンクロナイザーを省略し、軽量コンパクト化を実現して、ギアはモーター側の2つとエンジン側の4つ組み込まれ、これまでにない全速度域でスムーズかつレスポンシブで、効率の良い走行性を実現して、燃費性能も優れ、WLTCモードで燃費は22.8km/リットル、と記され、またスタート時の走行モードは100%EVモードで、低速域ではモーター駆動で、静粛性と、高燃費な走行性を実現している。

ルノー・スポールならではのインテリア

インテリアはルノー・スポール由来のデザインが採用され、R.S.ラインということで、カーボン調パネルが用いられ、レッドラインのアクセントが添えられている。インパネにはカーボン調パネルや赤いラインを入れ、レザー×スエード調の6ウェイ電動フロントシートや、ヒーター付きのレザーステアリングホイール、レッドステッチ入りのシートベルトなども特徴的で、メガーヌR.S.を思わせるスポーティな雰囲気だ。またセンターには7インチのタッチスクリーンが備わり、Apple CarPlayやAndroid Autoといったアプリを介したスマートフォンとのリンクや、Googleアシスタントを使っての音声入力なども可能となっている。
 さらにアルカナは、スポーツライクだけでなく多くの運転支援システムや予防安全技術も備えている。その代表的な装備は、アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)とレーンセンタリングアシストを組み合わせたハイウェイ&トラフィックジャムアシストや、4つのカメラが車両周囲を俯瞰映像で表示する360°カメラ、自動でステアリング操作を行うイージーパーキングアシストなどで、予防安全についても先進で、歩行者や自転車検知機能付のアクティブエマージェンシーブレーキをはじめ、車線逸脱警報付きのレーンキープアシスト、車両検知警報表示するブラインドスポットワーニングやセーフティディスタンスワーニングなどが標準で装備され、ドライビングサポートについても完ぺきと言える。

ルノーらしい高度なドライビングが際立つ。

SUVとしてはエレガントかつダイナミックなクーペスタイルの魅力を強調するのが、ボディカラーで、ホワイト系のブラン ペルレM、ブラック系のノワール メタルM、ブルー系のブルー ザンジバルM、そしてオレンジ系のオランジュ バレンシアMの4色がラインナップされる。今回試乗したのは、ブラン ペレルMで、メインカラーであるブラック系のノワール メタルMとは正反対に、スタイリングの細部が強調され思ったよりシルエットが明確で躍動感を感じる。
 走り出してみると、発進時はエンジンを使わずモーターが駆動するが、30km/h、40km/hと速度が上がるとエンジンが始動するが、エンジンの始動にはあまり気づかない。その瞬間に、音や振動を感じることはなく、スタート時からの力強さはモーターの得意とする領域だ。そして中速域ではエンジンとモーターが連携してシリーズハイブリッドとなり、高速域ではエンジンがメインとなり、加速時はモーターがアシストしてレスポンスの良さを発揮、E-テック ハイブリッドのメリットが際立つ。ドライブモードは、個別設定が可能なMy SenseとSport、Ecoの3つで、Ecoモードは、アクセルペダルから足を離してブレーキングするとエンジンを停止して回生ブレーキが作動、Sportモードにすると、エンジンは常時作動するほか、レスポンシブになる。
 もちろん、シャシーもルノーらしく、軽量かつ高剛性、しなやかさや正確なハンドリングなど、ワインディングを存分に楽しませてくれる。高速でも運転支援システムが作動してスムーズかつ快適で、安心感の高いドライビングができる。F1のノウハウから誕生した多くの先進システムが、ルノー・スポール的な要素を発揮して、ぜひとも乗ってみたいSUVであることは確かである。