キャラバン 【1973,1974,1975,1976,1977,1978,1979】
日産ワンボックスの旗艦
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さらに徐々に浸透し始めた
アウトドア・レジャーによって、
ユーザーは大量の荷物と多人数での移動を
1台でまかなえるクルマを求めるようになる。
日産自動車はその回答策として、
大型ワンボックスの開発を推進した。
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高度経済成長と1970年代に入って本格的に浸透し始めた日本のアウトドア・レジャーは、郊外に向うための足、すなわちクルマに対するユーザーの要求性能にも変化をもたらした。荷物がたくさん積める、その荷物の積み下ろしが楽、そしてたくさんの人が乗り込める−−。これらの要望を満たすモデルとして注目を集めたのが、ワンボックス型のバンだった。
従来は商用ユースが大半だったこのモデル群は、次第に乗用車としてのパフォーマンスが求められるようになる。さらに多人数が無理なく乗車でき、しかも快適に過ごせるキャビン空間の演出も望まれた。この状況に対し、日本の自動車メーカーは従来のバン製作の技術を生かしながら、新しい多目的ワンボックスの開発を押し進めていく。
1973年2月、日産自動車から新種のワンボックスがデビューする。車名は旅行隊を意味するキャラバン(E20型)を名乗った。車種展開はライトバン、長尺ライトバン、ルートバンなどを設定。後にワゴン仕様のコーチやマイクロバスも加わった。
キャラバンのアピールポイントは、何とってもその室内の広さと使い勝手のよさにあった。後席部のスペースはクラス最大級の長さ2470×幅1515×高さ1315mm(ライトバン)を実現。9名乗りの3列シート仕様でも、後部には十分に広い荷室空間(500kg積)を確保していた。使い勝手の面では、970mmの広い開口幅を持つスライドドアや簡単操作の自動ロック付き可倒式リアシート、視界の広いフロントカーブドガラスなどが話題を呼ぶ。シンプルで上品なモノフォルムデザインもユーザーの人気を集めた。
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キャラバンのデビューから約3年後の1976年1月、プリンス店向けにキャラバンの一部内外装の意匠を変えた兄弟車のホーミーが発売される。実はこのホーミーは2代目に当たる。初代は日産との合併前からプリンス自動車が販売していた独立車種のワンボックスモデルであった。
初代ホーミー(B640型)はプリンス製の商用車であるホーマー・バン(V640型)の乗用タイプとして1965年10月にデビューする。合併以降は車名をプリンス・ホーミーから日産プリンス・ホーミーに変更。1970年にはプリンスの名が外れて日産ホーミーと呼ばれるようになった。
ホーミーは1972年8月にマイナーチェンジを実施し、ベース車のホーマーとともに型式をT20型に変更する。そして1976年2月、キャラバンの兄弟車として2代目に移行したのだ。兄弟車とした背景には、排出ガス規制に対応するための開発資金の集中化と車種整理があった。ちなみに初代ホーミーは乗用モデルだけしか用意しておらず、2代目になって初めてバン仕様を設定している。
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アウトドア・レジャーの浸透やバニング・ブームの影響もあって、キャラバン/ホーミーは販売台数を伸ばしていく。ただし、クラスのトップシェアを確保するまでにはいかなかった。最大のライバルであり、乗用ワンボックスとして古い歴史を持つストヨタ自工のハイエースが、確固たる地位を築いていたからだ。
日産はハイエースを追撃しようと1980年8月にキャラバン/ホーミーのフルモデルチェンジ(E23型)を実施する。外観は先代で好評だったモノフォルムを基本に洗練度をアップ。ボディを大型化し、室内空間も拡大した。ワゴンの上級仕様には電動サンルーフや回転対座シートなどの快適アイテムも装備する。
2代目キャラバン/ホーミーはワンボックス・ファンから大注目を集め、デビューから間もなくしてクラスのトップシェアに君臨する。サニーやブルーバードなどではなかなか達成できなかったトヨタ車越えを、ワンボックスのカテゴリーで実現したわけだ。その意味で2代目キャラバン/ホーミーは、日産にとって1980年代初頭を象徴するモデルといえるのかもしれない。