クラウン・エイト 【1964,1965,1966,1967】

国産初のV8高級サルーン



ワイドボディで風格がアップ

 日産自動車が1963年10月に大型乗用車のセドリック・スペシャルを、翌1964年4月にプリンス自動車がグランド・グロリアを発売し、日本でもオーバー2リッターエンジンを装備した、大型高級車の時代が始まった。
 セドリック・スペシャルは排気量2825ccの直列6気筒エンジンを、グランド・グロリアは排気量2493ccの直列6気筒エンジンを搭載していた。当然、トヨタもこの種の大型乗用車を開発していた(後にセンチュリーとなる)のだが、細部の開発に手間取り、前出の2車に遅れをとることになった。そこで急遽開発されたのが、新開発となる排気量2599ccのV型8気筒OHVエンジンをクラウンRS40のボディと組み合わせたモデルだった。これが1964年4月に発売されたクラウン・エイトである。しかし、横幅の大きいV型8気筒エンジンは、そのままではRS40系のボディには入らない。そこで、ボディとシャシーを全幅で150mm、ホイールベースで50mm拡大したのだ。なんとも乱暴な話だが、この改造によって、トレッドが160mm広がり、全長も110mm長くなったため、走行安定性は大幅に増したという。怪我の功名(?)である。ただし、ほとんどすべてが新設計のパーツになったという。

新エンジンは軽量なオールアルミ製

 新開発のエンジンは、国産乗用車用としては初めてとなるオールアルミニウム製V型8気筒OHVのレイアウトを採用、2599ccの排気量を持ち、9.0の比較的高い圧縮比と2バレルキャブレターを備え、115ps/5000rpmの最高出力と20kg-m/3000rpmの最大トルクを発揮する。トランスミッションはトヨタの独自開発によるトヨグライド2速オートマチックが標準装備となる。車重は1390kgと、この種の大型車としては軽く、最高速度150km/h、0→400m加速20.8秒となっていた。

多種多様な自動化が目指される

 最高級大型乗用車だけあって装備は充実しており、前後ドアの3角窓を含め、サイドウインドウはすべてパワーウインドウとされ、夜間に対向車のヘッドライトを感知して自動的にヘッドライトを切り替えるコンライト、自動的にドアをロックするマグネットドアロック、熱線吸収ガラスなどが標準装備となっていた。オプション部品としては、オートドライブやパワーシート、フロアシフト(マニュアル4速トランスミッション)などが設定されていた。価格は、165万円だったが、当時としては国産車中最も高価なクルマのひとつだった(セドリック・スペシャルも同価格)。それは、1300ccクラスのファミリーカー2台分よりもさらに高価だったのだ。たとえば、いすゞ・ベレットの1300は56万3000円だった。
 このV型8気筒エンジン搭載のクラウン・エイトによって、大型高級乗用車の市場が少なからず存在することを確認することになったトヨタは1967年11月に、満を持して大型高級車の看板モデル、センチュリーを登場させるのである。そして、同じくV型8気筒エンジンを搭載した日産のプレジデントとともに、日本の大型高級車市場を確立するのである。