カローラ 【1970,1971,1972,1973,1974】

熟成と上級化を果たした2代目

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余裕を武器にベストセラーに成長!

 1961年6月に発売された「パブリカ」は、完成度の高さや合理的な設計思想とは裏腹に、トヨタが期待したほどの成功とはならなかった。エンジン排気量が小さかったこと、実用上は十分であったが、自家用車としての豪華な雰囲気に欠けていたことなどが販売不振の理由となっていた。当時、日本のモータリゼーションは小型実用車も高級車的な存在感や高性能を求める傾向が強かったのである。

 1966年にデビューした初代カローラは、ユーザーニーズにフルに応えたフレッシュモデルだった。排気量1077ccの水冷直列4気筒OHVエンジンとセミ・ファストバックのスタイルを採用。数か月先行して発売されていたライバルである日産のサニーに対して、エンジン排気量が僅かに大きいことをセールスポイントに、「プラス100cccの余裕…」と言う有名なキャッチフレーズをぶつける。後出しジャンケンの強みで、カローラ・シリーズは、シェア争いでたちまちサニーを追い落とし、ベストセラーの地位を獲得してしまう。1968年5月にクーペフォルムのスプリンターを加えたカローラ・シリーズは、未曾有の月産3万4000台を超える生産実績を挙げるまでになっていた。

サイズ拡大で再びライバルを圧倒

 カローラ・シリーズは初代のデビューから4年を経た1970年5月にフルモデルチェンジを受けて2世代目へと進化する。小型実用車としての完成度はさらに高められ、日本を代表するモデルになったことは間違いなかった。

 ボディサイズは、旧型に比べて全長で90mm、全幅で20mm、ホイールベースは50mmそれぞれ拡げられ、全高は5mm低くなった。つまり、一回り大型化されたことになる。日産サニーよりもやはり僅かに大きくなり、サニーの使っていた「隣りのクルマが小さく見えま〜す・・・」と言うキャッチコピーを有名無実なものにしてしまった。モデルバリエーションはセダン(2ドアおよび4ドア)、バン(商業車)、そして新設されたスポーティーなデザインのクーペの3車種が揃えられた。

熟成をキーワードにしたメカニズム

 エンジンなどを始めとするドライブトレーンは、旧モデルからのキャリーオーバーであった。エンジンはチューニングの違いで3種あるが、全て水冷直列4気筒OHVの1166ccで68ps/6000rpm、73ps/6600rpm、77ps/6600rpmとなる。トランスミッションは4速マニュアル仕様と、2速トヨグライド・オートマチックが車種によって選択出来た。

 新規に採用された機構としては完全燃焼を促して排気ガスを浄化するPCVシステム、ヘッドレスト一体型ハイバックシート、前席3点式シートベルトがある。ブレーキは標準仕様が4輪ドラムブレーキだが、スポーツ仕様や上級グレードはフロントにディスク・ブレーキを装備。サスペンションは前がマクファーソンストラット/コイル・スプリング、リアはリーフスプリングで吊ったリジッド・アクスルである。

走りの余裕でリーダーカーの地位を明確に

 1970年9月、2代目カローラは新世代1407ccエンジンを搭載する1400シリーズをラインアップに加え上級化を鮮明にする。“パッションエンジン”を名乗る1407ccのT型ユニットはOHVながら、効率のいいクロスフロー式の吸排気バルブを持ち、燃焼室形状も半球形とした性能重視設計が特徴だった。シングルキャブレター仕様と、スポーツ指向のツインキャブレター仕様があり、スペックはシングルキャブが86ps/6000rpm、11.7kg・m/3800rpm、ツインキャブでは90ps/6000rpm、12kg・m/3800rpmを誇った。従来からの1166ccユニットと比較して大幅に増強されたパワーは走りの余裕に直結し、カローラ1400は、大衆車の概念を超えた走りが楽しめた。
 
 T型エンジンは上級モデルのカリーナやセリカにも搭載され、1970年代のトヨタを代表するエンジンへと成長するが、とくに軽量設計のカローラとの組み合わせはバランスが良かった。1400シリーズの登場でカローラのベストセラーカーの地位はさらに盤石になった。