歴代アコード研究 【1976〜】

世界戦略車として進化し続ける先進ミディアムクラス車

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シビックの兄貴分として誕生した初代モデル

 1976年5月、本田技研工業は新開発の上級小型車を市場に放つ。新しい時代に調和する=アコードと名づけられたクルマは、一般的な国産ファミリーカーとは少し趣を異にしていた。当時の国産ファミリーカーといえば、3ボックススタイルの4ドアセダンが一般的。一方、アコードはシビックの兄貴分とも言うべき2ボックスの3ドアハッチバックを採用していたのである。ボディサイズは全長4125×全幅1620×全高1340mmで、搭載エンジンはロングストロークのEF型1599cc直列4気筒OHC(80ps)。もちろん最新のCVCC機構でクリーンな排出ガスを実現していた。1978年9月のマイナーチェンジでは、搭載エンジンをEK型1750cc直列4気筒OHC(85〜90ps)に換装。1977年10月には4ドアセダンのサルーンを追加した。

 1981年9月になると、2代目アコードがデビューする。新時代のクオリティカーと称した第2世代は、ボディサイズの拡大や内外装の質感アップ、車速応動型バリアブルパワーステアリングなどの先進機構の採用が訴求点で、ボディタイプはハッチバックとセダンを設定。搭載エンジンはEP型1601cc直列4気筒OHC(90ps)とEK型1750cc直列4気筒OHC(97ps)という2機種の進化版CVCC-IIユニットを採用した。

先進機構を満載した3代目アコード

 1985年6月、第3世代のアコードがベールを脱ぐ。キャッチフレーズは“時代を抜きさるもの”。ボディタイプは4ドアセダンとハッチバックの2タイプを設定し、ビュレットフォルムを採用したハッチバックは「エアロデッキ」という専用ネームを付けていた。メカニズム面ではFF車としては世界初となる4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションに新設計の軽量・高剛性モノコックボディ、新開発のB18A型1834cc直列4気筒DOHC16V(130ps)/B20A型1958cc直列4気筒DOHC16V(160ps)エンジン、4輪アンチロックブレーキ=4wA.L.B.などのハイテク機構を積極的に盛り込む。また、1988年4月には米国工場で生産する2ドアクーペを輸入し、「アコード・クーペ」の名で販売した。

 4代目のアコードは、“90's ACCORD”のキャッチを冠して1989年9月に市場デビューを果たす。ボディタイプは当初4ドアセダンに1本化。そのうえで、ボディサイズは従来比で全長を115mm、全高を35mm、ホイールベースを120mm延長して広い居住空間を確保した。搭載エンジンはF20A型1997cc直列4気筒DOHC16V(150ps)と同OHC16V(110〜130ps)、F18A型1849cc直列4気筒OHC16V(105ps)を設定する。また、1990年3月には2代目となる米国製のアコード・クーペを日本でリリース。1991年4月にはこれまた米国製で、F22A型2156cc直列4気筒OHC16Vエンジン(140ps)を搭載するアコード・ワゴンを発売した。

ワールドカーの性格を明確化

 1993年9月になると、“新時代のベストセダン”を目指して開発した5代目を市場に放つ。トピックは、ボディの3ナンバー化(全長4675×全幅1760mm)と安全性への積極的な取り組みで、とくに安全性については主要部材の剛性アップと衝撃吸収構造の採用などによって全方位安全設計ボディを実現した。搭載エンジンはH22A型2156cc直列4気筒DOHC16V・VTEC(190ps)を筆頭に全4機種を設定する。また、1994年2月には米国製のアコード・ワゴンとクーペが新型に移行。2ボディともに内外装の質感と走りが大きく向上していた。

 1997年9月には、6代目が登場する。最大の特長はセダンとワゴンを明確に作り分けたことで、これによりセダンは“国内ベストサイズ”を標榜する5ナンバー規格に回帰。日本製としたワゴンは、走りのイメージとユーティリティ機能を美しく融合する3ナンバー規格の“グラッシーエアロフォルム”に変身した。搭載するVTECエンジンはセダンにF20B型1997cc直列4気筒のDOHC16V(180〜200ps)とOHC16V(145〜150ps)、F18B型1849cc直列4気筒OHC16V(140ps)を、ワゴンにF23A型2253cc直列4気筒OHC16V(158〜160ps)を設定。2000年6月に追加したユーロRには、220psを発生するH22A型2156cc直列4気筒DOHC16V・VTECエンジンを採用した。

“New Quality Tourer”をコンセプトに据えた7代目アコード

 2002年10月には、“New Quality Tourer”をコンセプトに据えて企画した7代目を市場に放つ。ラインアップはセダンとワゴン。ともに上質さを追求した。エンジンはi-VTECユニットで、セダンにK24A型2354cc直列4気筒DOHC16V(200ps)とK20A型1998cc直列4気筒DOHC16V(152〜155ps、ユーロR 220ps)、ワゴンにK24A型(160〜200ps)を採用した。
 2008年12月になると、“Advanced Quality”をキーワードに開発した第8世代が登場する。ボディタイプは従来と同様にセダンとワゴンを用意するが、ワゴンの車名はツアラーに刷新。剛性を高めたボディには、前ダブルウィッシュボーン/後マルチリンクのシャシーをセット。パワートレインにはK24A型2354cc直列4気筒DOHC16V・i-VTEC(206ps)+パドルシフト付5速ATを採用した。

ハイブリッドモデルに進化した9代目

 2013年6月には、ハイブリッドモデルに移行した第9世代が日本デビューを果たす。パワートレインの呼称は“SPORT HYBRID i-MMD”で、アトキンソンサイクルのLFA型1993cc直列4気筒DOHC16V・i-VTECエンジン(143ps)、同軸に並べた走行用と発電用の2モーターを内蔵したエンジン直結クラッチ付きの電気CVT、高効率のリチウムイオンバッテリーで基本システムを構成。走行時はEV/ハイブリッド/エンジンの3種のドライブモードを、最も効率のいい状態で自動選択する。また、大容量のリチウムイオンバッテリーを組み込んだプラグインハイブリッドも設定した。2016年5月になるとマイナーチェンジを行い、リチウムイオンバッテリーの軽量・小型化やモーターの小型化・高出力化、エンジンへの排熱回収システムの組み込みを実施。さらに、先進の安全運転支援システムであるHonda SENSINGの標準装備化や高度化光ビーコンを使用する信号情報活用運転支援システムへの対応を実施した。