パジェロ・ワゴン 【1983,1984,1985,1986,1987,1988,1989,1990,1991】

全地球&全路面対応オールラウンド4WD



新生パジェロの大きな衝撃

 1982年4月にデビューしたパジェロは、新しいモータリングの世界を開拓した。クロスカントリー4WDを“悪路用の我慢グルマ”から、高速道路や含めた“全地球対応のビッグスケール・ツアラー”へと変貌させたのだ。道路状況、天候状態を問わないアクティブで快適な走りは、クラスレスの魅力を発散する。従来スポーツカーや高級サルーンに乗っていたユーザーもパジェロに熱い視線を注いだ。その人気はメーカーの予想以上だった。パジェロに三菱は自信を持っていた。しかしメインターゲットは従来のJeepでは飽き足らない個性派か、雪道や悪路を走る必要のあるビジネスユースと考えていた。だからこそデビュー当初のラインアップは商業車登録の4ナンバーのみだった。

パワフルなガソリンターボ・ワゴン誕生

 1983年2月、パジェロは新たなモデルを生みだす。快適でパワフルな乗用車登録のワゴンである。ガソリンターボXLとディーゼルターボGLがそれで、ともに乗用車にふさわしいスタイリングと上質なインテリア、そして快適な乗り心地を特徴としていた。なかでも上級版のガソリンターボXLは魅力的だった。クロスカントリー4WDとしては世界初搭載となる2.0Lの直4OHCターボはパジェロにスポーティモデルと同等のシャープな走りをもたらした。145ps/5500rpmのパワーと、22.0kg・m/3000rpmのトルクを誇るG63B型ユニットは全域スムーズで、高級サルーンと同等の快適性も身に付けていた。

 ワゴンとしてのユーティリティも卓越していた。たっぷりとしたスペースを確保したリアシートはリクライニング機構付き。もちろん折り畳むと広いラゲッジスペースが生まれた。後席左右には大型ユーティリティボックスを兼ねるアームレストも配置されたいたから長距離クルーズも快適だった。装備は充実しておりパワーステ、高級オーディオ、ブロンズガラス、ラジアルタイヤはすべて標準。パジェロ・ワゴンはかつてない上質で俊敏な走りと、快適性、そして逞しさを併せ持ったスーパーモデルと言えた。文字通りの“魔法のカーペット”だったのである。

ロングボディは3列シートで実用性を追求

 1983年6月にパジェロはさらに進化を果たす。ロングボディのエステートワゴンをラインアップに加えたのだ。エステートワゴンは従来からの3ドアモデルより全長で605mm、全高で120mmも拡大した大柄な5ドアボディを持つユーティリティモデルだった。グレード構成はガソリンターボXLとディーゼルターボGLの2種類。上級版のガソリンターボXLは、3ドアモデルと共通の145ps仕様の2.0リッターユニットを搭載する。さすがに3ドアモデルより大幅に車重が増えたため走りはスポーティとは言えなかったが、スムーズさと静粛性は際立っていた。

 エステートワゴンの最大の魅力は卓越したユーティリティである。シート配置はラゲッジスペースにも折り畳み可能なシートを備えた3列構成で、乗車定員は7名。しかも2列目シートはサードシートとのフルフラットが可能だった。ルーフには大型の電動サンルーフを備え、ワイドなパノラマが楽しめた。エステートワゴンはアウトドアシーンでのベース基地としても頼りになる存在だった。スキー用のゲレンデエクスプレスや別荘に向かう足として最適で、ライフスタイルを大きく広げる“ラグジュアリーツール”と言えた。

人気を不動のものとしたパリダカでの活躍!

 パジェロはデビュー7ヵ月後の1983年、第5回パリ-ダカール・ラリーに参戦する。第5回大会はメルセデス・ベンツがGクラスで本格参戦した大会。テネレ砂漠で激しい砂嵐が起き2輪・4輪の総出場台数304台中、完走わずか98台という厳しいレースだった。そんな中、市販無改造クラスに参戦したパジェロは見事クラス1-2位に入り初陣を飾る。翌1984年の第6回大会は、市販無改造クラスと、激戦の市販改造クラスの2クラスで参戦。両クラスで優勝を飾る。総合でもプロトタイプ勢に迫る堂々の3位に食い込み、パジェロの非凡なポテンシャルを見せつけた。

 挑戦3年目の1985年、第7回大会では2.6リッターの230psユニットを積んだプロトタイプ・クラスのマシンを製作し頂点を目指した。ちなみにこの頃となるとワークスチームだけでなく、プライベート参加のパジェロも増え、その数は37台にも達した。プロトタイプ・クラスのパジェロは前年の覇者ポルシェと激しいバトルの末、見事にトップでダカールに到着。2位も占める大金星を挙げた。その後もパジェロはパリダカに積極参戦を続け、輝かしい戦績を残す。厳しい闘いの中で鍛え上げられたパジェロは世界に誇る名車に成長する。