ランティス 【1993,1994,1995,1996,1997,1998】

スポーツカーの走りを持つ個性派モデル



マツダらしさ溢れるスポーティなスタイリング

 開発者自身がクルマ好き、そんなマツダらしさ溢れるスポーティなコンパクトカーが1993年8月に誕生したランティスである。ポジショニング的には伝統のファミリアより上で、3ナンバーへと上級移行したクロノスの下。トヨタ・カリーナや日産プリメーラなどをライバルとする販売ボリュームゾーン攻略を目指した重要なモデルだった。

 ランティスはカタログで「このセダンはスポーツカーでもある。このスポーツカーはセダンでもある」と謳うように、はっきりと走りを指向していた。ボディラインアップは4ドアセダンと4ドアクーペの2種。しかし4ドアセダンとはいってもサッシュレスドアを採用し、ルーフラインをクーペ調に寝かしたスポーティデザインを採用していた。4ドアクーペはさらに大胆な造形で、張りを強調したフェンダーラインと短い前後オーバーハングが躍動感を演出する個性派だった。リアに大型ハッチゲートを備えるなどユーティリティも高かったが、それ以上にスポーツライクなプロポーションが訴求ポイントだった。ちなみにランティスのスタイリングはマツダ欧州デザインスタジオの作品である。

目指したのはトップアスリートの肉体!?

 ランティスの走りへのこだわりはまずは強固なボディに込められていた。求めたのはトップアスリートの研ぎ澄ました肉体。剛性を重視しながら軽量化にも意を注いだスポーツボディにより、ライバルを圧倒する自然なハンドリングと優れた快適性、そしてハイレベルな安全性を実現したのだ。とく前後サスペンション取り付け部の強化は入念で上級モデルではタワーバーも標準で装着していた。ボディ剛性アップが走りにプラスをもたらすことはよく知られていたが、ランティスはそれを徹底的に行っていたわけだ。ボディ剛性は欧州製スポーツモデルを凌ぐほどで、乗ると即座にしっかりとした感触が実感できるレベルに達していた。

 こだわりの第2ポイントはパワーユニットだった。パワフルさとともに回す楽しみを追求したもので、上級グレード用が排気量1995ccのV6DOHC24VのKF-ZE型(170ps/18.3kg・m)、ベースモデル用は排気量1839ccの直4DOHC16VのBP-ZE型(135ps/16.0kg・m)を採用していた。

 V6のKF-ZE型にはエンジン回転数に応じて共鳴管を4段階に切り替えるVRIS(可変共鳴過給システム)、もう一方のBP-ZE型では可変慣性吸気システムを組み込み、全域でのパワーと良好なレスポンスを実現する。とくにV6ユニットは入念なサウンドチューニングを施し、回すほどに澄みわたる快音でドライバーを虜にした。開発者によるとBMWを参考に仕上げたサウンドといい、国産車のエンジンでは珍しい官能的な味わいを持っていた。トランスミッションは2種のエンジンともに5速マニュアルと4速ATから選べたが、あえて5速マニュアルを選びたくなるエンジンだったのだ。

上級モデルはワイドな50偏平タイヤ装着

 走こだわりの第3のポイントはソリッド感溢れる足回りである。サスペンションの形式は前後ともにストラット式と、とくに凝ったところはなかった。しかし各アーム長を長くとり、ダンパーのチューニングを入念に行うなど、ドライバーをその気にさせる足回りに仕上がっていた。さらに全車にフロントがベンチレーテッド、リアがソリッドの4輪ディスクブレーキを標準装備し、タイヤも上級モデルはワイドな50偏平サイズを採用するなど、まさにスポーツカーレベルの仕立てだった。卓越した走り実現のためにすべてが徹底していた。

 ドライバーを取り囲む形状なスポーティなコクピットを含め、ランティスは見ても、乗ってもスポーティそのものだった。さまざまな要因から販売成績は、メーカーの期待値に届かなかったが、実力的には超一級品。マツダらしさ溢れる気持ちのいい1台である。

走りとともに入念な安全設計ボディが自慢

 ランティスは1994年4月から施行される新安全基準に適合した国産第1号だった。先進のコンピューター解析を導入したストレートな箱形断面フレームを配置した衝撃吸収ボディを持ち、クロスメンバー断面積拡大や、各ピラー&サイドシルなどの取り付け部の強化を実施。新レイアウトのサイドインパクトバーやリアシート・サイドインパクトボックスの採用でドア全体の強度を高めていた。また後部からの追突でも燃料漏れを防止するように配慮。全方位からの衝撃に対応する安全設計ボディの持ち主だった。ランティスは走りだけでなく安全性でも秀でた存在だった。