レオーネ・ツーリングワゴン 【1984,1985,1986,1987,1988,1989】

4WD+ワゴン=新世代ドライバーズカーの公式を確立

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スバル独自のドライバーズカーのデビュー

 1984年10月、セダンより3ヵ月遅れてレオーネの中心車種に成長する2代目ツーリングワゴンがデビューする。1981年7月に登場したレオーネ・ツーリングワゴンはスバル独創の4WDシステムと、優れたスペースユーティリティの融合でパッセンジャーカーの新スタイルを提示。瞬く間に人気モデルの座を獲得する。2代目は初代のコンセプトを踏襲しながら、先進技術を注ぎ込むことで新世代ドライバーズカーとして開花した。

 2代目のスタイリングはシャープな印象でまとめていた。ボディ前半はセダンと共通なものの、後席上部からルーフを高めたプロポーションは堂々とした印象で、全長4410mm×全幅1660mm×全高1455mmのサイズ以上に大きく見えた。レオーネ伝統のサッシュレス式ドアとピラー回りのブラックアウト処理によって、キャビン部分をグラッシーに仕上げていたのも特徴だった。ワゴンがまだまだ商業ライトバンの派生車種と考えられ、パッセンジャーカーとして完全な市民権を得ていなかったなかで、レオーネ・ツーリングワゴンだけは別格と言えた。

4WDと先進メカニズムが融合した新時代の走り

 2代目のバリエーションは、排気量1781ccの水平対向4気筒OHCターボ(135ps)を搭載したGTターボを筆頭に、1781ccの自然吸気・水平対向OHC(100ps)を積むSTとSGの計3タイプ。トランスミッションはGTターボが3速オートマチックのみ、STは3速オートマチックと5速マニュアルの2種、SGは5速マニュアルのみの設定だった。

 駆動方式は全車が4WDで、オートマチック仕様はAUTOボタンを押しておくと降雨時、ブレーキング時、急加速時の3条件で自動的にFFから4WDに切り替わる世界初の機構を組み込んでいた。5速マニュアル仕様はFF/4WDハイレンジ/4WDローレンジを切り替える信頼性を重視したパートタイム式である。

 足回りも先進的だった。全車ともフロントがストラット式、リアがセミトレーリングアーム式の4輪独立システムを採用しただけでなくGTターボでは車高調節機能付きのエアサスペンションを組み込んだのだ。エレクトロ・ニューマチックサスペンションと命名されたGTターボの足回りは、日本初の電子制御タイプで、4輪独立オートレベリング、2段階ハイトコントロールに加えバネレートとダンパーの減衰特性を走行状態に応じて自動的に調律する先進システムになっていた。4WDの卓越した走行性能をしっかりと支えるエレクトロ・ニューマチックサスペンションは、レオーネ・ツーリングワゴンの行動半径は広げる大きな武器だった。

卓越の走り。GTターボのオールラウンド性が光る

 GTターボの走りは優れたものだった。135ps/5600rpm、20.0kg・m/2800rpmのパワーは1160kgの重量級ボディを軽々と走らせ、高速クルージングの信頼性は国産車トップ級。雨や雪など走行条件が悪化しても優れたスタビリティはいささかも揺らぐことがなかった。さらに悪路では、車高を前30mm、後35mmも高めることができたので本格派オフローダー並みに頼りになった。まさにGTターボは高速道路から道なき道まで、安全で快適な移動を約束するミラクルワゴンと言えた。しかも高級ワゴンらしく乗り心地に優れていたのも印象的だった。

 装備はロングツーリングへの心配りを満載していた。なかでもオーダーメイド感覚で最適なドライビングポジションが採れたのが魅力だった。平面バネとコイルスプリングの組み合わせで優れたサポート性と乗り心地を両立した新設計シートには、ヘッドレスト前後調節/ランバーサポート/シートリフター/細分ピッチ式リクライニング&スライド機構を採用。

 さらにチルト式アクセルペダル、チルトステアリング、フットレストの組み合わせで、どんな体格のドライバーにも理想のドライビングポジションを提供した。ドライビングポジションを大切にする姿勢は、走りを重視するSUBARUらしさの現れと言えた。

行動の自由を約束したアクティブな個性派

 ワゴンの本分であるラゲッジスペースのユーティリティも一級品と言えた。ダブルホールディングタイプの後席を畳むと広大なフラットスペースが出現。さらにカーゴルームのフロア下部には容量50Lものサブトランクも備えていた。専用トノカバーやリアクオーターポケットなどユーザーの立場に立った気配りも満載され、その使い勝手の良さは大きな魅力だった。

 2代目レオーネ・ツーリングワゴンは、行動の自由を約束するクルマ。ユーザーのライフスタイルをアクティブに変える力を秘めていた。日本車では珍しいはっきりとした個性の持ち主だった。