コロナ・プレミオ 【1996,1997,1998,1999,2000,2001】

セダンの良さを追求した安全で環境に優しい11代目



正統派を愛するユーザーに向けた伝統モデル

 トヨタの主力モデルとして長い歴史を誇るコロナは、1996年1月に11代目に移行した。11代目の特徴は、ラインアップを4ドアセダンのみに絞り込んだこと、新たに“プレミオ”のサブネームをプラスしたことだった。かつてトヨタの屋台骨を支えたコロナは、ユーザーニーズの変化と、トヨタ自身の車種ラインアップの充実に伴って、しだいに存在感を失っていた。11代目は、幅広いユーザー層にアピールすることよりも、あえて正統派のセダンを愛するトラディショナル層に的を絞って開発したモデルと言えた。セダンの本質を磨き込むことで、コロナの魅力を深化させる戦略を選んだのである。ちなみにプレミオというサブネームはスペイン語で“優れたものに贈られる賞”を意味するPREMIOに由来している。

卓越の安全&環境性能が自慢

 コロナ・プレミオの開発コンセプトは「来るべき21世紀を見据え“安全・環境”に一層の配慮をすることで社会との調和を図るとともに“美しさ、快適さ、楽しさ”というクルマの本質的な魅力を追求すること」だった。安全面ではABS、運転席&助手席エアバッグを全車に標準装備するとともに、GOAと命名した新衝突安全ボディを採用していた。今日で前述の安全装備や安全ボディは一般的だが、それをいち早く標準化したのがコロナ・プレミオだったのだ。

 環境という面では主力エンジンに燃費性能に優れたリーンバーン・ユニットを採用し、クラス水準を超える低燃費実現とリサイクル性を考えた新素材の積極採用が話題を呼ぶ。美しさ、快適さ、楽しさという面でも、端正なスタイリングの採用や、静粛でゆとりある室内空間、さらに実用域で力強さが実感できる設定のパワートレーンで磨きを掛けていた。

 コロナ・プレミオは、完成度の高いクルマだった。クリーンなライン構成を持つ3BOXスタイルは伸びやかで、質感にも優れていた。安全性を高めた新衝突安全ボディもボディ剛性面でプラスをもたらしており、乗る者に安心感を与えた。静粛性や乗り心地という面でも優秀だった。さながらミニ・クラウンとも言うべき味わいがあったのだ。

 とくに主力ユニットとなる1762ccの7A-FE型・直列4気筒DOHC16Vリーンバーン・ユニット(115ps/15.8kg・m)を積んだモデルの経済性と走りのバランスは見事で満足度が高かった。けっして派手な存在ではなかったが、1台のクルマを長く使い込むユーザーによく似合った。まさに開発コンセプトどおりのクルマだったのである。すでにファミリー層の人気はミニバンに移行していたから、コロナ・プレミオの主力ユーザーは子育てが終わった熟年世代が中心だったが、そんなユーザーには扱いやすい全長4520mm×全幅1695mm×全高1410mmの5ナンバーサイズも好評だった。

トヨタ初のガソリン直噴D-4ユニットを搭載

 コロナ・プレミオは、デビュー後も魅力に磨きをかける。1996年12月にはトヨタ初の1998cc直噴ガソリンD-4ユニットを搭載した特別仕様モデルをリリースしたのだ。新開発のD-4ユニット(3S-FSE型)は、空燃比(空気と燃料の質量比)50対1の超希薄燃焼を可能にしたガソリン直接噴射方式のエンジンで、従来モデルと比較して10・15モードで30%もの燃費向上を実現。17.4km/Lの燃費数値は、当時2.0Lクラスの市販車としては世界最高だった。

 しかもD-4ユニットは燃費がいいだけでなくパワフルでもあった。低中速トルクは、従来ユニットよりも10%向上しており、キビキビとした走りが一層際立っていた。この特別仕様はコロナ生誕40周年を記念したモデルだったが、好評により1997年9月には正式カタログモデルとしてD-4エンジンが選べるようになった。

軽量&ロングライフへの真摯なこだわり

 コロナ・プレミオは優れた基本性能を長時間維持できるようボディ各部に高張力鋼板と防錆鋼板を効果的に使用する。高張力鋼板は引っ張り強度が高く、一般的な鋼板と比較して薄くできるため、大幅な軽量化が図れるメリットがあった。一方、防錆鋼板は文字通りサビに強い鋼板で、表面を亜鉛メッキ加工したものである。コロナ・プレミオの高張力鋼板と防錆鋼板の使用部位はボディ全体の87%(重量比)にも及んだ。さらに湿気を受けやすい部位には防錆ワックスを塗付するなど配慮を徹底。軽量化とロングライフへの取り組みは入念だった。

 コロナ・プレミオはトヨタの良心が結実したモデルと言えた。コロナは生活に彩りを与える信頼できる存在として、独自の伝統を築いてきたが、コロナ・プレミオはその伝統を一段と輝かせる名作だった。