ステージア 【2003,2004,2005,2006,2007】
先進技術で鍛え上げたワゴン専用モデル
日産が、3ナンバーサイズのステーションワゴンとして1996年10月に発売したステージアは、2001年10月にフルモデルチェンジを受けて第2世代へと進化した。車名のステージア(Stagea)とは、英語で舞台を意味するステージ(Stage)と先進性を意味するアドバンス(Advance)を組み合わせた造語で、高級な装備とレベルの高い走りの性能を併せ持ったツーリングワゴンをイメージしていた。
乗用車系のシャシーコンポーネンツを流用し、実用性の高いステーションワゴンに仕上げるという、きわめて常識的な成り立ちを持ったステージアは、第1世代に流用されたシャシーコンポーネンツが、同社のスカイラインおよびローレル・シリーズのものであったことから、性格はスポーティな走りと豪華な装備、さらに高い実用性を併せ持ったものとなった。
第2世代のステージアは、全く新しいFMプラットフォームを採用する。このFM系シャシーはスカイラインにも使われているものだった。ボディサイズは全長は旧型より35mm短縮して4765mmへ、全幅は5mm拡大されて1760mmへ、全高は20mm伸ばされて1510mmとなった。ホイールベースは130mm延長された2850mmである。スタイリングは旧型に比べて空力的な洗練度を増したものとなり、ドイツ車的な雰囲気を感じさせるものになった。ホイールベースが延長されたことに伴って、前後のオーバーハングは短縮されており、バランスに優れたスタイリングを生み出している。
ラジエターグリルは横長となり、独立した大型の矩形ヘッドライト、バンパー一体型スポイラーを持つ。バンパー下部からサイドシル、リアバンパー下部までボディーを一周する黒色のプロテクトガーニッシュは、衝突安全性確保のために高くなったサイドラインを低く見せる効果を持っていた。リアゲートは上下にヒンジを持つ2枚分割型。上側のゲートはルーフ部分にまで切れ込んでおり、大型の荷物を積み込みやすくしている。また、開閉できるガラスハッチもあり、小物の積み込みにも便利だった。
ラインアップは、RXシリーズ、RSシリーズ、そしてAR-Xの3つのシリーズで構成。RXシリーズはプレミアム性を追求したモデルで、ベージュを基本としたインテリアを採用し、運転席パワーシートを標準装備。RSシリーズは、スポーティな個性を備えており、ブラックのインテリアカラーに加え、スポーツシートを採用した。
もうひとつの個性、AR-Xは4WDのみの設定で、180mmの最低地上高を持つなど、ステーションワゴンにSUVの魅力を注入したクロスオーバーモデルとなっている。
搭載されるエンジンは排気量や仕様の違いで3種あるが、いずれもV型6気筒DOHCのVQエンジンとなった。排気量は2495cc(VQ25DD型、出力215ps/6400rpm)、および2987cc(VQ30DD型、出力260ps/6400rpm)、さらに、トップグレードのRS系にはインタークーラー付きターボチャージャー装備の2495cc(VQ25DET型、280ps/6400rpm)を組み合わせる。トランスミッションはマニュアルモード付き電子制御5速オートマチックのみの設定でマニュアル仕様はない。
駆動方式は伝統となったフロント縦置きエンジンによる後2輪駆動が基本だが、電子制御4輪駆動システム(アテーサE-TS)を搭載したモデルも用意した。ブレーキはスカイライン系と同様、前後輪ともベンチレーテッドディスクとなる。
ワゴン専用モデルならではのテクノロジーを紹介しよう。ポイントとなる新開発マルチリンクリアサスペンションは、スプリングとショックアブソーバーを分離タイプとしたうえで、ショックアブソーバーのアッパー取り付け位置を従来型車と比べて270mmダウン。結果、ラゲッジルームへのサスペンションの張り出しを抑えることが可能になり、5名乗車時のVDA容量は、従来型の475Lから500Lへと拡大した。
価格は268万円から356万円まで。単にスカイラインのワゴン仕様ではなく、独立した多用途車として独自のマーケットを開拓したステージアは、カメラマンやデザイナーなど、クリエィティブな職種の人たちにも好まれた。日産がステーションワゴンにも新しいジャンルがあることを社会に知らしめたモデルとして、記憶に残るクルマである。