日産デザイン16 【2001.2002,2003,2004,2005,2006,2007,2008】

パフォーマンスの新表現。新世代スポーツ登場

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独立車種として企画された第3世代の「GT-R」

 2001年の第35回東京モーターショー(TMS)において、日産は「GT-Rコンセプト」と名乗るデザインスタディの参考出品車を公開する。GT-Rコンセプトは、従来のスカイラインGT-Rとは一線を画すデザインテーマを採用していた。ひとつの塊としてのオリジナリティ性あふれるスタイリング——そんなムードが漂っていたのである。エクステリアで脚光を浴びたのは、その斬新なフロントビューだった。大型ブラックアウトグリルに縦型ヘッドライトベース、さらにボディ下回りのエアロパーツなどが作り出す独特の顔は、次期型GT-Rのパワフルさを予感させた。一方で丸型4灯式のリアコンビネーションランプやエンブレムのデザインには、栄光のGT-Rの遺伝子がしっかりと受け継がれていた。

 2005年開催の第39回TMSでは、より完成度を増したデザインスタディの「GT-Rプロト」が披露される。そして2007年開催の第40回TMSで“新次元マルチパフォーマンス・スーパーカー”を謳う市販版を公開し、12月からR35の型式を付けた「GT-R」の販売を開始した。

R35GT-Rは鍛え抜かれたアスリートのような美しさを表現

 R35型GT-Rは高次元のドライビングプレジャー実現のため、ボディ全体から細部の造形に至るまで空力性能と機能に裏づけられた最新のスポーツカースタイリングを創出する。エクステリアは、鍛え抜かれたアスリートのような美しさを表現。フロントセクションに関しては、シングルパワーインテークを取り入れて空気を乱すことなく後方に流しながらエンジンルームを効率よく冷却する構造に仕立てる。サイドビューについては、ボリューム感あふれるリアフェンダーやスロープしたルーフラインを持つエアロブレードキャノピー、スウォードエッジと称する屈曲したCピラーなどによって、ボディ後方への空気の流れを整える形状としながらGT-Rの血統を感じさせるデザインとした。リア部は大胆にカットしたシャープなボディ後端に、伝統の4つのリング型テールランプをセットしたことが特徴。

 インテリアについてはドライビングのための機能を徹底追求する。コクピットはドライバーを囲むようなレイアウトで構成し、そのうえでメータークラスターからセンターのマルチディスプレイ、ドアミラーまでの高さを水平に揃えた配置とすることで高速走行での視線移動が少ないデザインに仕立てた。フロントシートにはホールド感を高め、かつクッション前方のサイドの張り出しを弱めることによりロングツーリング時に膝から前を自由にしてリラックスできる専用デザインのバケットタイプを採用。また、2名掛けのリアシートは左右を明確に分割するとともに、センターコンソールからの連続感を持たせることで高い剛性感を演出した。

“超魅惑・超洗練・超高性能”を標榜したV36型スカイライン クーペ

 2007年10月には、“超魅惑・超洗練・超高性能”の実現を開発コンセプトに据えたCKV36型スカイライン クーペがデビューする。車両デザインは「艶やかで躍動感のあるスタイリングの構築」がテーマ。フロント部はヘッドランプ内側まで絞り込んだフェンダーラインや強い抑揚のあるエンジンフード、彫刻的な輝きをみせるフロントグリルで構成し、サイドビューはクーペならではの流れるようなラインと面の美しさを基本に、力強くかつ優雅にカーブするフェンダーやシャープにカットしたシルなどで躍動感を表現する。リアセクションはショルダーやリアエンドにボリューム感を持たせることで、特徴のあるワイドなシルエットを演出した。

 インテリアは、「走る楽しさに満ちた、高品質で快適な空間の演出」をテーマに掲げる。囲まれ感を創出したコクピットと、インパネからドアトリムへとスムーズに流れながら豊かな面を持つアシスト側とで前席まわりを構成し、スポーティかつ高品質な居住空間に仕上げた。

「全ては走りのために」をキーワードとした6代目フェアレディZ

 2008年12月になると、第6世代となるZ34型フェアレディZが市場に放たれる。開発キーワードは「全ては走りのために」。
 スタイリングに関しては、Z伝統のロングノーズ&ショートデッキのFRプロポーションを踏襲しながら、「アスリートの肉体のような有機的機械」の具現化を目指す。フロント部はブーメランモーションのヘッドランプや抑揚のあるボンネットおよびフェンダーラインなどで鋭く引き締まった精悍な顔つきを演出。サイドビューはヘッドランプからウエストへとアーチを描きながら駆け抜けるダイナミックなキャラクターラインが目を引く。リアセクションは駆動輪を強く感じさせるグラマラスなリアフェンダーやヘッドランプと同一イメージのリアコンビネーションランプなどを特徴とした。キャビン空間については、ヒップポイントの低下やステアリング傾斜角の最適化、ペダル間の段差の縮小などを実施し、スポーツドライビングに適した運転席ポジションを創出する。そのうえで、大径の回転計を中央に配した多層化メーターやZらしさを継承する3連サブメーター、ショルダー部にワイヤーフレームを追加してホールド性を高めた新形状シートなどを組み込んでいた。