レジーナ 【2011】

スズキの技術を結集した“次世代グローバル・コンパクトカー”

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「小さなクルマ、大きな未来」を支える意欲作

 スズキは2011年開催の第42回東京モーターショーにおいて、「小さなクルマ、大きな未来」を出展テーマに据える。いまのクルマ、近い未来のクルマ、その先の未来のクルマを披露することで、「小さいからこそ、燃費が良い」「小さいからこそ、手軽に乗れる」「小さいからこそのアイデア」「小さくても、キビキビ走れる」「小さくても、イキイキとした形」という、スズキの“小さなクルマ”が切り拓く“大きな未来”を紹介する内容とした。

 数ある出品車のなかで最も観客の視線を集めたのは、“次世代グローバル・コンパクトカー”を謳うコンセプトカーの「レジーナ(REGINA)」だった。レジーナは徹底した軽量化と空力性能の追求、高効率パワートレインの採用などを行うことで、JC08モード走行燃費32km/L以上、欧州複合モードCO2排出量70g/km以下を実現する。さらに、車両のデザインコンセプトに“大人が似合うエレガント”を掲げ、従来のエコカーとは一線を画す未来的かつ実用性に富む内外装に仕立てた。

“次世代グローバル・コンパクトカー”の中身

 レジーナの特長を見ていこう。プラットフォームについては、素材や部品を徹底的に見直すことにより既存のAセグメント車比で100kg以上の軽量化を達成する。車両重量でも軽自動車並みの730kgに抑えた。従来は直線で構成されていたプラットフォーム構造を、より強度のある曲線を取り入れて剛性を引き上げたこともトピックである。
 一方、肝心の動力源には新開発の800ccターボチャージャー付き3気筒直噴ガソリンエンジンを採用する。組み合わせるトランスミッションは専用のCVT。駆動レイアウトはFFで、減速エネルギー回生機能付きアイドリングストップシステムも装備した。

 スタイリングについては、空力性能の向上と居住性のバランスを両立させた個性的なルックスに仕立てる。前部ではフロントガラスを立てることで、ドライバー前方の開放感を確保。そのうえで前方からの風を上だけでなく横方向へもスムーズに流すことで、優れた空力特性を実現した。同時に、乱気流を攪拌して整流するCピラーガーニッシュやクルマ後方へ流れる風を整えるリアコンビネーションランプなど、細部に渡る空力処理を実施。結果的にCd値(空気抵抗係数)は、既存のAセグメント車比で10%以上の低減を成し遂げた。
 もう1点、レジーナのスタイリングには大きな特長がある。類型化したエコカーのデザインと決別し、懐かしさも併せ持たせたオリジナリティあふれるルックスに仕上げたことだ。デザインのモチーフには、かつてのスズキの名車である「フロンテ800」。フロンマスクや4灯式テールランプ、タイヤ上方を覆うようにしたリアフェンダーなどに、往年のアレンジが窺える。単にレトロ調ではなく、未来も感じさせるエッセンスを踏まえた点に、スズキの次世代コンパクトカーに対する主張が見て取れた。

内装にフローティング・インターフェイスを採用

 インテリアに関しては、未来のドライビングシーンを想起させるスタイリッシュなデザインがトピックとなる。最大の注目点は、センター部に配置した“フローティング・インターフェイス”だ。上部では走行スピードのほか、回生ブレーキの作動状況や燃費などの各種情報および警告を表示。中央部にはナビゲーション画面やオーディオ、空調スイッチなどが映し出される。また、走行・検索履歴からドライバーの好みを自動的に推測して行き先や音楽などを提案するリコメンド機能や近くを走る家族や友人らを地図上に表示してルート情報を共有できるコミュニケーションドライブ機能も装備した。

 スズキ渾身の次世代グローバル・コンパクトカーは、2012年3月開催のジュネーブ・ショーにも出品された。ただし、車名はレジーナから「G70」に変更された。理由は明快。欧州マーケットで重視されるCO2排出量が“70”g/km以下である事実をネーミングで示したのだ。コンパクトカーの新しいあり方を、日本のみならず欧州においても意欲的に提案する。そんなスズキの積極姿勢が、レジーナ=G70に込められているのである。