ターセル 【1982,1983,1984,1985,1986,1987,1988,1989】
シャープな外観と多彩な装備を備えた実用FFモデル
初代ターセルは1978年8月、トヨタで初めてのフロントエンジン、フロントドライブのFFメカを搭載して登場。カローラ店のネットワークで販売され、トヨペット店扱いのコルサを兄弟車に持った。FFモデルはエンジンを横置き搭載するのが通例だが、ターセルおよびコルサでは、あえて縦置きに搭載。メンテナンスのし易さや、MTトランスミッションの操作感の自然さやトルクステアの少なさなど様々なメリットを求めての縦置き搭載であった。
その初代デビューから3年9カ月の1982年5月に、ターセルは初めてのフルモデルチェンジを受け、2代目へと移行する。同時にモデルチェンジを行ったコルサ、そして新たに誕生したカローラIIとともに、3兄弟としてマーケットに投入された。販売チャンネルは、コルサはトヨペット店のままだったが、ターセルは生まれたばかりのビスタ店に切り替えられ、カローラ店ではカローラIIがラインアップされた。
2代目モデルは、初代と同じく、エンジン縦置き搭載のFFレイアウトを採用。エンジンは、1.3リッターと1.5リッター。1.3リッターは、1295cc直列4気筒SOHCの2A-U(II)型で、最高出力75ps/6000rpm、最大トルク10.9kg-m/3600rpm。1.5リッターは、1452cc直列4気筒SOHCの基本形式は共通ながら、チューニング違いの2タイプがあり、ひとつは3A-U(II)型で最高出力83ps/5600rpm、最大トルク12.0kg-m/3600rpm、もうひとつは可変ベンチュリー型キャブ仕様の3A-HU(II)型で最高出力86ps/6000rpm、最大トルク12.3kg-m/4000rpmを発揮した。
トランスミッションは、4速マニュアル、5速マニュアル、3速フルオートマチックをグレードによって積み分け、ハイパワー仕様の3A-HU(II)型エンジン搭載モデルは、AT仕様の用意はなく5速MTのみを設定した。
エクステリアは、初代の曲線を多用したデザインから一新され、直線基調のシャープなフォルムへと生まれ変わった。角型ヘッドライトと横桟デザインのグリルによるフロントセクション、シャープなプレスラインが刻まれたサイドボディー、そして角型のテールランプなど、そのフォルムは多くに直線を用いていて、誰にも好まれる優れたデザインとなっていた。6ライトのウィンドウ構成を持った5ドアハッチバックを主力とし、4ドアセダンの2つのボディーをラインアップしてデビュー。翌年には、カローラIIに用意された3ドアハッチバックが加わっている。
インパネデザインも直線基調のデザインが施され、優れた操作性を持ち合わせていた。シートのアレンジが実に便利に設えられていて、5ドアモデルでは分割可倒式リアシートとダブルフォールディング機構を装備。ミニワゴンのように使える実用的なラゲッジスペースを備えていた。とくに上級グレードのVEでは、デジタルメーターや電動リモコンミラー、パワーステアリング、チルトステアリング、高級ファブリックシートのほか、アンテナをリアウィンドウにプリント。8段階のリクライニング機構をリアシートに持ち、運転席デュアルハイトアジャスター、時間調整式間欠ワイパーまでも備えていた。