ハイエース・ワゴン 【1982,1983,1984,1985,1986,1987,1988,1989】

広い室内と快適性を追求した上級1BOXモデル



8/9/10名乗りを用意した3代目の上級ワゴン

 トヨタの最上級1BOXワゴン、ハイエースは1982年12月のモデルチェンジで3代目に移行した。3代目もコマーシャルバン(商業車)のハイエースをベースにしていたが、デザイン面などで差別性を巧みに図り、ワゴンらしさを鮮明にする。
 ワゴンのラインアップは、8名/9名/10名乗りの3シリーズ。8/9名乗りモデルは3列シート仕様でホイールベースが2295mm。4列シート仕様となる10名乗りモデルは2495mmのロングホイールベース設定だった。全長は8名乗りが4495mm、9名乗りは4425mm、10名乗りで4690mm。8/9名乗りの全長の違いはバンパー形状に起因するものでボディそのものは共通である。全幅は全車1690mm、全高は1900mmの標準ルーフを基本として、8名/9名乗りの上級グレードではサンルーフ付きのミドルルーフ(全高1960mm)が選べた。最上級ワゴンとはいえ、ボディサイズは小型車枠に収まっており、取り回し性に優れたミドルサイズといえた。

 エンジンは排気量1998ccの直列4気筒OHVの3Y型(105ps/17kg・m)と、2188ccの直列4気筒OHCディーゼルL型(72ps/14.5kg・m)をラインアップしており、トランスミッションは5速マニュアルと4速オートマチックの組み合わせ。駆動方式は全車FRで、当初4WDの設定はなかった。

縦置き4灯式ライトで重厚な印象を表現

 ワゴンのスタイリングの特徴は、フロントマスクにあった。全車が縦置きレイアウトの角型4灯式ヘッドランプを採用し、コマーシャルバン仕様とは異なる重厚なイメージを発散したのだ。最上級グレードのミドルルーフ仕様のスーパーカスタムでは、クラウンと同一イメージのアルミホイールや2トーンボディカラー、サイドストライプなどを標準装備することで、一段とラグジュアリーな印象を訴求する。

 ワゴンのセールスポイントである室内空間は圧倒的に広いという表現が適切だった。室内長は定員8名乗り仕様で3205mmを実現。3列シート仕様は1BOXワゴンとして初めて、1列目から3列目シートまでをフルフラットにすることが出来た。さらに上級グレードには2列目シートに回転対座機構を採用。シーンに応じて、多彩な室内アレンジが楽しめた。シート自体もリファインされ、ゆったりとしたクルージングを約束する。

 装備は充実していた。最上級モデルにはソアラと同一方式のデジタルメーター、チルト機構付きパワーステアリング、電気式集中ドアロック、電動ムーンルーフを標準装備。オーバーヘッドデュアルエアコンや7スピーカー方式の高級オーディオシステムをオプション設定する。内装のトリムも上質で、快適性はクラウンレベル。フォーマルカーとしてハイエース・ワゴンを選ぶユーザーも少なくなかったという。

ホイールベース短縮によって居住性が向上

 3代目のハイエース・ワゴンは2代目と比較してホイールベースが45mmほど短縮されていたが、これも室内の居住性アップに貢献していた、前輪の位置が後方となったため、その分、1列目シートの足元スペースが拡大したのだ。運転席はシート幅が490mmから520mmに拡大。リクライニングのノッチも細分化され、スライド幅は120mmから150mmに拡大した。専用リアサスペンションの採用も快適性向上のポイントだった。ワゴンにはコイルばねと組み合わせた4リンク方式の足回りを採用。コマーシャルバンの半楕円リーフ式と比べ路面追従性に優れ、しなやかな乗り心地を実現する。

 ハイエース・ワゴンは1985年8月のマイナーチェンジで、ディーゼルエンジンを新世代の2L型に変更。1987年8月にはパートタイム式4WD仕様を加えるなどラインアップが充実。高い人気を保ったまま1989年8月にフルモデルチェンジし、4代目に移行した。