ドミンゴ 【1994,1995,1996,1997,1998】

軽1BOXをベースにした7シーターワゴン

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実用1BOXワゴンを求めるニーズに応え誕生

 軽自動車規格のコンパクトな1BOXモデルは、狭い道でも持て余すことが少なく、しかもサイズを感じさせない広い室内空間を持った、究極の実用車の1台である。しかし軽自動車のため、定員は4名に制限され、エンジンもアンダーパワー気味。実用性が高いのは事実だが、乗用ユースのパッセンジャーカーと考えると役不足の面があった。「広い室内空間を生かした3列/7名乗りで、高速道路でも気持ちよく走る軽自動車ベースの小型1BOXワゴンが欲しい」というユーザーの声は、軽自動車の1BOXモデルの完成度が上がるほど強くなっていった。

 1983年10月に初代モデルが登場したスバル・ドミンゴは、そんなユーザーニーズに応えた小型1BOXワゴンだった。軽自動車のスバル・サンバーをベースにしており、室内には3列シートを配置。フロントシートの回転対座機構や、2−3列目のフルフラット機構などで多彩に使える7シーターに仕上げていた。リアエンドに搭載したのは、実用トルクを重視した排気量997ccの直列3気筒エンジン(48ps/5000rpm)。初代ドミンゴは、使い勝手に優れたミニ1BOXワゴンとして一定のファンを獲得する。

2代目はインジェクション仕様1.2リッター採用

 1994年6月、ドミンゴはベース車を5代目のサンバー・ディアス(1990年デビュー)に改めてフルモデルチェンジした。大型サイズのクオーターウインドーを持つクリーンなスタイリングをサンバー・ディアスから受け継ぎながら前後の大型バンパー、カリフォルニアタイプの大型ドアミラー、フロントのガードバーを備え、独自の存在感を訴求。ボディサイズは全長3525mm×全幅1415mm×全高1925mmの小型車サイズ。ただし1885mmのホイールベースはサンバー・ディアスと共通だった。パワーユニットは1189ccの直列3気筒OHCである。電子制御マルチポイントインジェクションとの組み合わせで61ps/5600rpm、9.8kg・m/3600rpmを発揮し、トランスミッションは5速マニュアルとCVTの2種から選べた。駆動方式はRRと、ビスカスカップリング方式のフルタイム4WDが設定された。

 室内は2名+2名+3名掛けの3列シートの7シーター。初代で好評だったフロントシートの回転対座機構や、2−3列目フルフラット機構を盛り込んだのはもちろん、2−3列目を折り畳んだBIGラゲッジモードや、2列目テーブルモードなど多彩なアレンジを盛り込み、ワゴンらしい使って楽しく、快適な室内に仕上げていた。とくに最上級グレードのGVサンサンルーフ仕様では、頭上から降り注ぐサンシャワー効果もあり、とても軽自動車ベースとは思えない広々感に溢れていた。ちなみに室内寸法は長さ2380mm×幅1250×高さ1320mmである。

 装備も充実していた。上級グレードには電動パワーステアリング、ツインエアコン、後席ヒーター、集中ドアロック、電子チューナーオーディオなどを標準装備。ふたクラス上の1BOXワゴンと同等だった。

優れた走り、だが販売は低迷!!

 ドミンゴは実際の走りの面でも実力が高かった。フレーム構造のシャシーを採用していたためもあって、コンパクトサイズながらしっかりとした印象があった。しかもエンジンをリアエンドに搭載していたことで、エンジン騒音が室内にこもらず、高速走行時でも静粛性が高かった。1トンを超える車重に対して61psのパワーだったから、動力性能的には目覚ましくはなかったが、それでもベース車のサンバー・ディアスと比較すると数段はパワフル。実用上十分なパフォーマンスの持ち主だった。日常ユースでの欠点は、短いホイールベースと高い車高の影響で横風に弱いこと程度である。

 ドミンゴはコンパクトサイズの7シーターモデルとして、高い完成度を誇った。しかし販売は伸び悩む。2代目がデビューした1990年代半ばは、乗用車ベースの国産ミニバンの黎明期。5ナンバーサイズの3列シート車、ホンダ・ステップワゴンを筆頭にさまざまなミニバンがデビューした。最新のライバルと比較すると、軽自動車のサンバー・ディアスをベースにしたドミンゴの劣勢は明らか。確かにコンパクトサイズという優位性はあったものの、総合力の面で大差をつけられていた。結局、ドミンゴは軽自動車が新規格に移行する1998年末までに、静かに表舞台から去ることになった。