スプリンター 【1991,1992,1993,1994,1995】
豪華な内装とプレスドアを採用した上質な7代目
そもそもスプリンターは、カローラスプリンターというネーミングを持ち、1968年にカローラのクーペ版という位置付けでデビューした。ファストバックの流麗なプロポーションは現代でもファンに愛されている。スプリンターは1970年に登場の2代目の途中までクーペのみのラインアップだった。
各世代においてカローラと主要コンポーネンツを共有しながらも、独自の個性を持ち続けたスプリンター。1991年にデビューの7代目は、まずグリルやバンパー、ヘッドライトといったフロントマスクのほか、テールランプ回りのデザインに差別化を図った。スリーサイズは全長4290mm×全幅1685mm×全高1375mm。全幅はカローラと共通ながら20mm長い全長を持つ。
ドア形式も違う。サッシュ式ドアのカローラに対して、スプリンターはプレスドアを採用したのだ。ただし先代の6代目では、スプリンターはピラー部にウィンドウを配置した6ライトのウィンドウ構成を持っていたが、7代目では、カローラ同様にリアドアに三角窓を持つタイプになった。
旧型に対してボディ全長が75mm、ホイールベースが35mm、全幅が30mm拡大したサイズの恩恵も受け、室内長は35mm、室内幅は60mm広がっている。とくにリアシートのニールーム拡大(40mmのプラス)が目を引く。「広がり感を感じさせる造形のダイナミズムとソフト感の融合」というインテリアの開発コンセプトどおり、インパネは大型のセーフティパッドを備え、センター部分は豊かな面で構成。センターコンソールは低く抑え、ここでも空間の広がりを感じさせるデザインとなっていた。
この7代目は、高い質感が特徴。インパネの素材感やシートファブリックの上質さなど、そのクオリティの高さは圧巻と言えるレベルだった。完全にひとクラス上、マークIIなどと同等の質感を携えていた。
7代目スプリンターは、5ドア(シエロ)がラインアップから外れ、セダンのほかはスポーツクーペであるトレノの2シリーズでデビューした(のちに4ドアハードトップのマリノがデビュー)。セダンの搭載エンジンは、1気筒あたり5バルブを採用した新開発の1.6リッター直列4気筒DOHC20V(160ps)を筆頭に、実用性を重視した直列4気筒DOHC16Vのハイメカツインカムユニットを3タイプ。1.6リッター(115ps)、そして主力ユニットとなる1.5リッター(105ps)、1.3リッター(100ps)の3タイプのハイメカツインカム群だ。そのほか、2リッターディーゼル(73ps)を設定し、合計5種類のユニットをラインアップしてデビューした。トランスミッションは、マニュアルとオートマチックの双方を全グレードに設定する。1.3リッターモデルが4速MTで、その他は5速MT。オートマチックは1.6リッターとディーゼル、そして1.5リッターの上級グレードが4速ATで、他は3速ATを組み合わせた。
エクステリアとインテリアでの質感アップで、いちだんと上級化を図った7代目スプリンター。パッケージング面での進化も特筆に値する。日本が好景気だった時代に開発されただけに、高い完成度を誇った傑作の1台だった。