ソアラ 【1986,1987,1988,1989,1990,1991】

世界に誇る先進技術を満載した高級スペシャルティ

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2代目のソアラは鮮烈なクルマだった。
美しいスタイリングの内側に
超パワフルな新世代エンジンを搭載し、
世界に誇る先進技術を惜しみなく投入していたからだ。
230psを誇った3.0Lターボの豪放なパワーは
4輪ダブルウィッシュボーン式の電子制御エアサスペンションが支え、
メーターには世界初のスペースビジョン式を採用。
新型は日本車の到達点を示す傑作だった。
2代目は世界に誇る最新技術を満載

 世界の頂点を目指して切磋琢磨していた1980年代の日本車のひとつの頂点が2代目のソアラだった。1981年に衝撃的なデビューを飾り、日本に最高級スペシャルティカーのジャンルを創出したソアラのモデルチェンジだけに、エンジンはもちろん足回りやインテリアの隅々まで、トヨタの誇る最新技術が惜しみなく投入された。

なんと2代目ソアラに投入された新技術は101。エクステリアのフラッシュサーフェスキャノピーから、スウェード調の質感を実現したグランベールインテリア、4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンション、七宝製シンボルマークなど多岐に渡ったが、その中には世界初を誇るアイテムが多数存在した。なかでも先進の電子制御技術を駆使したハイテク装備は他の追随を許さなかった。

陶器のような美しさを実現した高品位塗装は圧巻

 スタイリングは一段とソアラの世界観を深化させた端正なクーペフォルム。全てのガラスに三次曲面ガラスを採用し、ボディとガラス面の面一化を図った。球体イメージのフラッシュサーフェスキャノピーを基本としながら、グリル、モール、ヘッドライトなどにクリスタル感のある材質を採用することで高品質感を一段と訴求した。

しかもプレス式の大型ドアのヒンジには、ドアが前方外側へ開き狭い場所での乗降性を高める世界初のイージーアクセスドアを採用。実用性に対する配慮も万全だった。塗装も高品位で、陶器のような趣を実現したクリスタルパールマイカやレッドマイカ、スーパーシルバーIIメタリックなどの新色を設定した。

 インテリアも斬新な印象に溢れている。上級モデルのインスツルメントパネルやドアトリムは、質感の高いスウェード調表皮材でコーディネートしたグランベールインテリアで、メーターは世界初の虚像表示方式を採用したスペースビジョン式だった。スペースビジョンメーターの虚像表示方式とは、表示部をメーターフード内に組み込み、ハーフミラーに反射する虚像を読みとるシステム。実際より遠方に像が出現するので、走行中でも焦点合わせが楽になるメリットがあった。トヨタの人間工学研究の成果を生かした表示法である。

上級モデルのコンソール部にセットしたエレクトロマルチビジョンも注目の装備だった。6インチのカラー液晶パネル上で車両情報/TV/ビジュアルインフォメーションの3つのモードが選択でき、軽く手を触れるだけで情報が呼び出せるマルチコントロールパネルとなっていた。なかでもビジュアルインフォメーションは、専用カセットROMを挿入すると車両の取り扱い説明や、高速道路案内などを画像と音声で表示する仕組み。情報メディアがカセットROMという点には時代を感じるが、各種情報を車内のモニターに表示させる考え方は斬新だった。

日本最強の豪放230psで走り鮮烈

 メカニズムも意欲的である。サスペンションは新開発の4輪ダブルウィッシュボーン式で、上級モデルには、走行条件に応じてばね常数、減衰力および車高を自動制御する世界初の電子制御エアサスペンション機構を導入する。

最上級モデルのパワーユニットは2954ccの直列6気筒DOHC24Vエンジンに空冷式インタークーラー付きターボを組み合わせた新開発7M-GTEU型。高精度かつ小型・軽量の光学式カルマン渦エアフローメーターの採用などにより効率を高め、クラス最強の230ps/5600rpm、33kg・m/4000rpmをマークした。さらに5ナンバー規格に収まる1988ccシリーズにはツインターボ仕様の1G-GTEU型を設定。こちらも185ps/6200rpm、24.5kg・m/3200rpmの強力パワーで圧倒的なパフォーマンスを約束した。

 数々の先進機能と、贅を尽くした快適装備、そしてとびきりスタイリッシュで走りに優れた2代目ソアラはまさにヒーローだった。幅広い年齢層から熱い視線を集め、憧れの存在として君臨した。クルマ好きはソアラを通して輝かしい未来を実感し、明日への活力を見いだした。

COLUMN
世界の夢がソアラにかなう。カタログに込められた大きな自信。
 2代目ソアラのカタログは、世界の頂点に立とうとする日本の自信を表現したものだった。ページをめくると“世界の夢が、ソアラにかなう。−テクノロジー日本ノ、先駆ノ英知。−”というキャッチが出現。向かいのページのヘッドランプを点灯したソアラのフロントビューと“このクルマのテクノロジーは、すべてのクルマの進歩のために。”というコピーへと続く。 写真の下には「誰よりも速く、誰よりも美しく、そして誰よりも快適に走りたい。世界のクルマたちが追う数々の夢に、いま、技術の国、日本の技と誇りがあざやかに回答する」という文章を配置していた。カタログは2代目ソアラが日本の先進技術を結集したスーパーGTであることを高らかに宣言したのである。 1986年は円相場の急騰(200円→150円)で、製造業の海外移転が本格化。産業の空洞化が叫ばれはじめていたが、それでも経済は絶好調。日本は世界に先駆けて数々の先進テクノロジーを実用化していた。ソアラはその日本の象徴的な存在。自信溢れるカタログ表現がそれを証明していた。