ジェミニ 【1997,1998,1999,2000】

2代目ホンダ・ドマーニをベースとしたラストモデル

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ベース車の全面改良に対応し5代目に移行

 1992年12月に乗用車の自社開発・生産の中止を発表し、以後はビッグホーンやミューを中心とした“SUVスペシャリスト”を標榜するようになったいすゞ自動車。一方、1993年4月には本田技研工業と商品の相互補完契約を結び、同年8月にはホンダの小型サルーンの「ドマーニ」(1992年10月デビュー)をベースとする4代目「ジェミニ」を発表(発売は同年9月)した。

 1997年1月になるとベース車のドマーニのフルモデルチェンジが行われ、第2世代のMB3/4/5型系に切り替わる。それに伴い、ジェミニも第5世代に移行。1997年2月にMJ4/5/6の型式を付けて市場デビューを果たした。

グリルやウインカーレンズ色などで独自性を強調

 5代目ジェミニはベース車のドマーニと同様の車種ラインアップで構成されていた。グレード構成はドマーニの15E/16G/16X/16G 4WDに対して、ジェミニは1500C/C/1600C/C/1600G/G/1600C/C 4WDのネーミング。VTEC-Eエンジンを搭載する最上級仕様のミッションにマルチマチック(CVT=無段変速機)を、それ以外のグレードに5速MTと4速ATを用意した点も2車で共通していた。

 ボディタイプは4ドアセダンのみで、ジェミニ専用のアレンジとしては、メッキ枠で覆った横格子タイプのグリルに“ISUZU”エンブレム、アンバー色の前後ウインカーレンズ、フロントドアとリアに配した“GEMINI”バッジ、厚みのあるデザインで仕立てたホイールキャップなどを導入した。

 インテリアに関してもベース車を基調とし、上級小型サルーンらしいシックで上質な雰囲気に仕立てる。装備面にも抜かりはなく、モケット地のシート&ドアライニングに高熱線吸収UVカットガラスのフロントウィンドウ&フロントサイドウィンドウ、セレクトレバー回りとパワーウィンドウスイッチ部に配した木目調パネル、ナビゲーションシステム、高性能エアコン、運転席&助手席SRSエアバッグなどを採用した。ジェミニの専用品としては、グレー基調のモケット表地やISUZUロゴを刻んだ4本スポークステアリング等を装備する。

 メカニズムについてもドマーニと共通で、4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションのシャシーに高剛性モノコックボディおよび高効率クラッシャブル構造を採用する。搭載エンジンはD16A型1590cc直4OHC16V(120ps/14.7kg・m)とVTEC-E仕様のD16A型(120ps/14.7kg・m)、そしてD15B型1493cc直4OHC16V(105ps/13.6kg・m)の計3機種を用意。駆動方式はFFとデュアルポンプ式リアルタイム4WDの2タイプ。VTEC-Eエンジンとマルチマチックを組み合わせる1600G/Gグレードは、1.6リッタークラスでトップレベルの燃費性能(10・15モード走行で16.4km/L)を実現した。

最後の「ジェミニ」に……

 市場に放たれた5代目ジェミニは、従来型と同様にいすゞ関連の会社や昔からの固定客がメインユーザーとなり、主に業務車両として使われる。これらの顧客層からは、優れたパッケージングや運転のしやすさ、そしてシックで上品な3BOXスタイルなどが好評を博した。

 デビュー後の5代目は、ベース車に合わせたマイナーチェンジを順次実施していく。1998年2月にはABSを全車標準化するなどして安全性を向上させるとともに、ジェミニ専用のボディカラーを追加。1999年1月には内外装の小変更やLEV仕様の設定(1500C/C LEV)などを行った。
 小規模ではあるが確実に市場に定着していった5代目ジェミニ。しかし、2000年9月になるとベース車であるドマーニが販売を中止し、カタログから外れてしまう。それに伴い、ジェミニのリリースも終了。後継車が設定されることはなく、結果的に5代目がジェミニを名乗る最後のモデルとなってしまったのである。