コロナ 【1992,1993,1994,1995,1996】

使いやすさと基本性能を追求した10代目

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デザインの基調はショートノーズ&ハイデッキ

 9代目(U13系)ブルーバードの発売からほぼ4カ月後、長年のライバルとなるトヨタのミドルクラスサルーンの雄、コロナがフルモデルチェンジを受けた。10代目となる新型は、1992年2月7日に発表され、同日から発売となった。
 登場した新型コロナは、「“美しさ”と“高い機能”が調和したコンフォート・デザイニング」が開発コンセプトとなる。ボディタイプは、オーソドックスな4ドアセダンと、SFを名乗る大きなテールゲートを備えた5ドアモデルをラインアップした。

 エクステリアの基本造形は、ショートノーズ&ハイデッキ。水平基調の従来モデルのエクステリアからは大きく変貌を遂げた。ワンモーションフォルムに大きなキャビンを収めた躍動的なフォルムで、力感あふれるデザインが特徴。ボディのフロント部分は、セダンと5ドアのSFで共通。ウィンドウグラフィックはセダンが4ライト構成、5ドアSFは6ライト構成だ。スリーサイズはセダンと5ドアSFともに同スペックで、全長4520mm×全幅1695mm×全高1410mm。先代と比較すると、40mm長く、5mmワイド。全高は40mmも高くなった。2580mmのホイールベースは、旧型に比べて55mm長い。居住性を重視した合理的なパッケージングを追求しながら、空力特性にも力が注がれ、Cd値は4ドア、5ドアSFともに0.31というハイスペックをマークした。

先進デジタルメーターをオプションで用意

 ホイールベース延長や全高アップは、広いキャビンを生み出す。有効室内長は先代に比較して55mm長く、室内高は20mmの拡大。1950mmの室内長は、クラストップ級で、クラウンの1970mm(HTロイヤル系)に迫った。トランクルーム容量もゆとりあふれるものだった。545リッター(VDA)の容量を誇り、4名分のゴルフバッグと手荷物を余裕で収納可能な広さ。セダンの上級グレードには分割可倒式リアシートを備え、5ドアSFにはダブルフォールディング式の分割可倒機構を採用していた。

 インパネデザインも機能的に仕上げていた。大きなスピードメーターを中心にした3眼メーターパネルを採用。上級グレードにはスピードメーター部分をデジタル化した仕様がオプション設定された。スイッチ類が整然と並ぶセンター部分には機能が集中され、ドアミラーの調整スイッチ類はドライバー近くのドアインナーハンドルの後ろに独立してレイアウトされた。シートは、セダンが快適性と機能を重視したシンプルなデザイン。5ドアSFは、サポート性を重視したスポーティーシートを装備する。

ガソリンは3種のハイメカツインカムを用意

 設定されたパワーユニットは、3つのハイメカツインカムと1つのディーゼルユニット。先代では搭載されたスポーツツインカム(3S-GE型)はスペシャルティモデルのコロナEXiV専用となり、ラインアップから落ちた。新たにシリーズ最強ユニットとなった3S-FE型は2リッター直列4気筒DOHC16Vで、140ps/6000rpmの最高出力と、19.0kg-m/4400rpmの最大トルクを発揮。4WDにも同ユニットを搭載し、そちらは135ps/18.5kg-mというスペックだった。
 そのほかのガソリンエンジンは、1.8リッターの4S-FE型(125ps/16.5kg-m)、1.6リッターの4A-FE型(115ps/15.0kg-m)。ディーゼルエンジンは2リッターの2C-III型(73ps/13.5kg-m)となっていた。

1994年、細部の意匠と内装色をリフレッシュ

 デビューから2年が経過した1994年2月4日、コロナはマイナーチェンジを受けた。デビュー時から高い完成度を誇っていた関係だろう、改良ポイントはごく限られた項目で実施された。エクステリアではフロントグリルの外周部をメッキタイプからボディ同色タイプに変更。リア回りでは、ナンバープレートがバンパー部分から左右リアコンビネーションランプ間に移され、同時にリアガーニッシュは廃止となった。またサイドプロテクションモールはカラードから全車ブラックへと切り替わった。インテリアでは引き締まったブラックで重厚なムードを持っていた内装色が、シャドーグレーに変更。キャビンの雰囲気に明るさが加わった。そのほか、ボディーカラーではブラックメタリックなどが新たに採用。ボディサイズなどに変更はなく、エンジンラインアップも従来どおり継続された。

 実用性の高さをイメージさせる外観や、想像以上に広いキャビン、そして実用的なラゲッジスペースなど、10代目コロナは史上最も優れたコロナと言えるだけの優れた実質機能を誇る1台であった。トヨタが良心が光るFFサルーンの名車である。