スターレット 【1989,1990,1991,1992,1993,1994,1995,1996】

メカニズムと質感を磨き上げた小さな大物



多彩なバリエーションを誇った4代目

 トヨタの最小型モデルのスターレットは、1989年に第四世代へと進化した。当時のトヨタが積極的に展開するワイドバリエーション化は、スターレット漏例外ではなかった。エンジンは4種、ボディスタイルが2種、トランスミッションはマニュアル型とオートマチックが2種ずつの4種、装備の違いによるグレードは10種に及ぶ。これに10種のボディカラーが加わるのだから、車種バリエーションは膨大になる。ちなみに、スターレット(Starlet)の車名は、「小さな星」を意味する英語で、スターになることを約束された少女という意味もある。なかなか洒落たネーミングだ。

 第四世代のスターレットは、旧型のコンセプトを踏襲し、さらに洗練させたといえるもので、スタイリングは、全体に丸味を持たせたソフトなイメージとなった。基本的な車形は3ドアハッチバックと5ドアハッチバックの2種である。両車はボディサイズはほとんど変わらず、2300mmのホイールベースも旧型に等しい。ラジエターグリルの意匠もスッキリしたものとなった。

レカロシート&モモ製ステアリングが選べたGT

 インテリアのデザインは一新され、半円形の大型メータークラスターを中心としてスポーティーさを強調したものとなり、ステアリングは3本スポークの小径で、各スイッチ類とともに操作性に優れる。各部の質感クラス標準を抜き出ており、さすがトヨタの作品と言えた。GTグレードなど一部のスポーティー車にはオプションでレカロシートの装着も可能となった。

 上級グレードにはABS(アンチロック・ブレーキング・システム)がオプション設定され、安全性を高めている。本当は全車種標準装備としたいところだが、コストの面からは値段の高い上級車種への装備が優先されるのは仕方のない時代であった。

最強ユニットは過給圧切り替え可能なターボ

 スターレットは3世代目から縦置きエンジンによる後輪駆動方式から横置きエンジンによる前輪駆動方式へと大きな変化を遂げるのだが、第4世代になりフロントに横置きされて、前輪を駆動するエンジンは一部の車種では新設計のものが採用された。

 標準仕様となるのは電子制御キャブレターを組み合わせた直列4気筒DOHC16バルブの1331ccの4E-F型(82ps)だが、上級車種には電子制御インジェクション仕様の4E-FE型(100ps)、そしてそのターボ版である4E-FTE型(135ps)のDOHC16バルブの直列4気筒エンジンが採用された。エンジンはさらに1453ccのディーゼル仕様1N型(55ps)を含んで4種があり、自然吸気型が2種、ターボチャージャー搭載型が1種となる。

 最強のインタークーラー付きターボチャージャー仕様では電子制御燃料噴射装置と8.2の圧縮比を持つ4E-FTE型は過給圧の切り替えが可能でHiモードで135ps/6400rpm、LOモードで125ps/6400rpmの最高出力を発揮。一方ディーゼル仕様はSOHCヘッドと過流室式ディーゼル方式により、1453ccの排気量と22.0の圧縮比から55ps/5200rpmの最高出力を得ている。車両重量は800〜870kgで性能的には十分なものとなっていた。

キャッチコピーは“青春のスターレット”

 スターレットは、若いユーザーをメインターゲットにしたフレッシュな存在だった。それを端的に表現していたのが“青春のスターレット”というキャッチコピーである。スターレットはビギナーがドライブすることを想定し運転のしやすさと経済性を磨いたのが魅力だったが、もうひとつライバルに対しての個性はスポーティーさだった。上級版のGTターボは1.6リッタークラスを凌駕する135psのパワーの持ち主で、足回りには走行状況に応じてマイコンがダンパーの減衰力を自動調節するTEMSを組み込んでいた。コンパクトながら走りにこだわった贅沢なメカニズムを持った逸材、それがスターレットのもうひとつの顔だった。

 スターレットの完成度も高く、きわめてユーザー層の広いモデルとなった。高性能の割には価格も安価だったから、販売台数を大幅に伸ばす。トヨタの隠れた人気車種だった。