カリーナ 【1988,1989,1990,1991,1992】

曲面スタイルのカジュアルなスポーティーセダン

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5代目はスタイリッシュに大変身

 1970年12月に初代が登場したカリーナは、セリカと共通のシャシーを採用していただけに同じトヨタのミドルサイズサルーンのコロナとは一線を画した進化を遂げていた。落ち着き感を重視したコロナに対して、カリーナはスポーティーなフォルムを一貫して採用。若者層をもターゲットに据えたキャラクターで人気を獲得してきた。車高を抑えたハードトップモデルであるカリーナED(1985年)が、カリーナの派生モデルとしてコロナEXiV(1989年)よりも先に生まれたのも「スポーティーセダン」としての個性を受け継いで来たカリーナの個性を物語るエピソードである。

 駆動レイアウトをFRからFFへとスイッチした1984年に登場の4代目を経て、FF2世代目の5代目カリーナは1988年5月12日にデビューを果たした。
 5代目カリーナは、直線基調のボディーが特徴となっていた3代目および4代目から一転し、曲面を多用したデザインへとスタイルを一新。開発の基本コンセプトは「スポーティー&スタイリッシュ セダン」となっていた。フロントおよびリアをワイド感あるデザインとしながら、曲面を用いて「小粋」なウエッジフォルムを作り上げ、カーデザインの新たな潮流を狙ったスタイリングを目指した。

 5代目はヘッドライトとターンシグナルを一体化したシンプルなデザインのフロント回りと、アクリルガーニッシュで左右のリアコンビネーションランプを繋いだリアビューを持つ。ボディーサイズは、全長4380mm×全幅1690mm×全高1370mm(4WDは1380mm)。4代目(デビュー時)の全長4350mm×全幅1670mm×全高1365mmに比較すると、30mm長く20mmワイドで5mm背が高い。ホイールベースは10mm長い2525mm。ほぼ先代とオーバーラップするサイズで5代目はデビューとなった。

居住性を重視したパッケージングを追求

 インテリアは、ドライバーの操作性を高めたコックピットデザインのインパネを採用。質感の高いトリム類や、キャビン全体の上品なカラーコーディネートで高級感も追求したのが特徴だった。また、20mm拡大した室内幅や、フロントシートバック裏を鞍型として30mm拡大した後席レッグスペースなど居住性を優先したパッケージングも魅力となっていた。

 搭載したガソリンエンジンはトヨタの主流に即したハイメカツインカムを中心にしたオールツインカムラインアップ。トップユニットはスポーツツインカム4A-GE型の1.6リッター直列4気筒DOHC16V(120ps/14.5kg-m)で、そのほか、1.8リッター4S-Fi型(105ps/15.2kgm)、1.6リッター4A-FE型(105ps/14.0kgm)、1.5リッター5A-F型(85ps/12.5kgm)の3つのハイメカツインカム(直列4気筒DOHC16V)をラインアップした。ディーゼルモデルには、2リッターの2C型(73ps/13.5kg-m)を用意した。

伝統のスポーティーな走りを継承

 カリーナと言えば伝統的に足回りの良さが魅力のひとつなっていたが、5代目でもスポーティーな走りが開発の重要なテーマとなっていた。足回りはFFセリカやカリーナEDで好評のストラット式4輪独立懸架のリファイン版。フロント、リアともにスタビライザーを装着し、クイックな設定のステアリングのチューンと合わせて、キビキビした軽快な走りを追求した。「足のいい奴」のカリーナの個性は、このモデルでも確実に継承されることになった。

 爽やかで若々しいニュートレンドのフォルム、「Fun to Drive」を満喫できる基本性能の進化など、魅力を満載して登場した5代目カリーナ。スタイルと走りの良さの初代以来の個性を堅持し続けた歴代カリーナの中で、ボディーの軽快さと内外観の洗練さを併せ持ったモデルとして改めて注目したい1台である。

ワゴンは、カリーナワゴン史上唯一のFFモデル

 カリーナのワゴンモデルは「サーフ」のサブネームを名乗っていた。3代目カリーナのときに、ラインアップに追加となり、セダンがFFの4代目カリーナとなった以降もワゴンはFRモデルを継続販売していた。そのサーフは5代目セダンと同時に新型に移行する。

 6年ぶりのフルモデルチェンジとなったサーフはFFの駆動レイアウトを持ち、2つのガソリンエンジンのみを搭載してデビューした。どちらもセダンと共通のハイメカツインカムエンジンで、1.8リッターが4S-Fi型(105ps/15.2kgm)、1.5リッターが5A-F型(85ps/12.5kgm)。荷室幅は従来に比較して45mmの拡大。後輪ホイールハウス間の幅は140mmワイド化し、リア開口部を低く設計することで積載性をアップした。分割ダブルフォールディング機能やロール式トノカバーなどを装備し、ワゴンとしての魅力も向上してのデビューだった。次世代は、新規モデルのカルディナがそのポジションを継承。カリーナのワゴンの歴史は幕を閉じる。カリーナのワゴンはFRモデルが1世代、FFモデルが1世代という歴史となった。