レガシィ 【1998,1999,2000,2001,2002,2003】

国産4WDグランツーリングカーの代表

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モデルチェンジごとに各部を熟成したレガシィ

 国産ステーションワゴンと言えば、その名が真っ先に頭に浮かぶほど、実力、人気ともに群を抜く存在となったレガシィ。初代から、ワゴンとセダンの2つのボディスタイルを用意し、ワゴンが人気を牽引する一方、セダンも根強いファンを獲得していた。1989年1月に初代モデルが発表されたレガシィは、スバルを牽引する存在としてユーザーから高い信頼を集める。そしてモデルチェンジごとに熟成を加えていった。

 1998年に登場した3代目レガシィは、デビュー当時から類い稀な完成度を誇っていた。2代目でもそれまでのキャラクターの継承や熟成などがテーマとなり、正統進化を遂げたが、3代目でもその手法に変化はなく、5ナンバーボディも堅持。3代目はいわば5ナンバーレガシィの究極と言える実力を備えてのデビューだった(2.5リッターモデルも存在)。まず6月にワゴンおよびランカスターがリリースされ、12月にセダン(B4)が追従するという発売スケジュールが取られた。

全車フラットフォー、2.5リッターは可変バルブタイミング採用

 キャビンおよびラゲッジスペースを大きく取り、ボンネットフードを低く抑えた基本フォルムは従来モデルとオーバーラップする。存在感を高めたフロントマスクなどでエクステリアのイメージを一新。またスピードメーターを左に、タコメーターを右に配置した4眼メーターの構成や、空調の操作系をセンター上部にレイアウトした点など、インテリアも従来のデザインを継承しながらも使い勝手をアップ。特筆すべきは質感の向上で、スバルのフラッグシップに相応しい上級感を生み出していた。

 搭載エンジンも熟成を極めての登場だった。4タイプのパワーユニットのすべてが水平対向4気筒で、筆頭は2リッターDOHC16Vツインターボ。最高出力は5速MTが280psで4速ATが260ps、最大トルクは5速MTが35.0kg-mで4速ATが32.5kg-mの強力なポテンシャルを発揮した。2.5リッターのDOHC16Vは、可変バルブタイミング機構(AVCS)をスバルで初めて採用し、167ps/24.0kg-mを発揮。2リッターのNA系は、DOHC16V(AVCS採用)が155ps/20.0kg-m、SOHC16V(リーンバーン)が137ps/19.0kg-mというスペックとなっていた。

セダンはB4のサブネームを付けて登場

 遅れて登場したセダンは、新たにB4というネーミング与えられた。これは、BOXER+4WDを意味する。ワゴン同様、全車4WDの駆動レイアウト。搭載エンジンは2リッターのみで、DOHC16VツインターボとDOHC16Vの2タイプのみを載せての登場で、グレード構成も2種というシンプルなラインアップだった。エクステリアのフロントセクションは、ワゴンと基本的に共通だが、グリルにチタン調の光輝処理を採用。リア回りではコンビネーションランプにダークタイプを用いていた。

 3代目レガシィはメカニズム面で従来のものを熟成し、その完成度を高めていた。しかし当然ながら新開発の機能や機構も採用していた。まず、サスペンションは、フロントは従来同様のストラット式だが、リアはマルチリンク式に進化。ワゴンのGT-VDCグレードに採用したVDC(ビークルダイナミックコントロールシステム)は、エンジン、センターデフ、4輪のブレーキを総合制御し、滑りやすい路面でも車両を安定制御するデバイスだった。またセダンB4のターボモデル(RSKグレード)の4速ATは、マニュアルモードを採用していた(ワゴンには翌年に採用)。

スペック比較で実感する3代目の熟成

 3代目レガシィのボディ寸法は、ワゴンGT-Bで全長4680mm×全幅1695mm×1485mm。2代目のワゴンGT-Bは全長4680mm×全幅1695mm×1490mm。全長と全幅は同スペックで、3代目の全高が5mm低いのみ。3代目は2代目とほぼ完全にオーバーラップするディメンションだった。一方、ホイールベースは2代目より20mm延長され、2650mmとなっていた。

 GT-Bの搭載エンジンは、2代目から踏襲の1994cc水平対向4気筒DOHC16Vツインターボ。5速MTモデルは、最高出力のデータは2代目と共通スペックの280ps/6500rpm。最大トルクでは0.5kg-m引き上げられ、35.0kg-m/5000rpmを発揮した。タイヤサイズは215/45R17と共通。サスペンションは、3代目でも前後ビルシュタイン製ダンパーを採用するが、2代目が前後ともストラット式で、ダンパーは前後とも倒立式なのに対し、3代目はリアがマルチリンク式となり、リアのダンパーはモノチューブの正立式へと変更された。

 水平対向ユニットが生み出す低重心の卓越したフットワーク、そして4WDメカによる走行安定性能、ツインターボユニットをはじめとした動力性能。これら魅力的な走りのエレメントで優れたポテンシャルを生み出すだけに留まらず、キャビンやラゲッジスペースの実用性などにおいても高い次元を追求したレガシィ。歴代レガシィなかでも3代目は、熟成を極めたモデルとして忘れることのない名車である。