スカイライン2000GT-B(後期型) 【1966,1967,1968】

速さを磨いた初代“赤バッジ”。羊の皮をかぶった狼

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サーキットで本領を発揮した最終版GT-B

 1964年5月の第2回日本グランプリでポルシェ904と激闘をくり広げ、“スカG神話”を樹立した初代スカイライン2000GTは、その後も進化を続けた。とくに日産自動車との合併後の1966年10月に登場した最終バージョンの1967年型S54型2000GT-Bは、市販状態のままでサーキットでのタイムアタックが可能な硬派な存在に成長する。

 初代スカイライン2000GTの中でもウェーバー製キャブレターを3連装した “赤バッジ”のGT-Bを選ぶユーザーは、生粋のスポーツ派揃いだった。実際にレースに参戦する強者も珍しくなく、ユーザーはとにかくGT-Bに速さを求めた。GT-Bはトップスピード180km/hのハイパフォーマンスで期待に応えたが、最終版ではその高性能を安定して発揮できるよう各部を一段とリファインしていた。

5速ミッション採用で加速力アップ!

 最終型はトランスミッションを変更する。従来の4速から5速になったのだ。新搭載の5速ミッションはエンジンの高回転域をキープしやすいクロースレシオ設定で、これにより0→400m加速タイムは従来の17.8秒から17秒フラットに改善された。1速がノンシンクロだったため操作には相応のテクニックを必要としたが、GT-Bを選ぶオーナーにとってはそれも魅力のひとつだった。

 1988ccの排気量から125ps/5600rpm、17.0kg・m/4400rpmを発揮するG7型直列6気筒OHCユニットの高いポテンシャルをフルに引き出せる5速トランスミッションは大きな武器と言えた。同時に大容量ラジエターの採用も最終型GT-Bの特徴だった。最終版GT-Bはラジエターを大型化し、レーシングスピードでの長時間走行でも十分な冷却性能を確保。信頼性を大幅に高めたのだ。最終型GT-Bは長時間のハード走行でも息切れしないタフなスーパースポーツに成長していたのである。ちなみに燃料タンクは大容量99L入りの大型タイプだった。

リアフェンダーはレーシングタイヤ装着に対応

 シャシー面のリファインも的確だった。ステアリングはギア比15.2対1のシャープな設定になった。タイトなコーナーでも一段とリニアな反応を示すようにリファインしたのだ。ステアリングの変更とともに、リミテッドスリップデフの採用により、駆動力の伝達を一段と確実にしたのも朗報だった。もともとGT-Bは前後サスペンションにアンチロールバーを組み込み、リアアクスルにはトルクロッドを組み込むなどスポーツ性の高い足回りを誇っていた。それをステアリング回りのリファインとリミテッドスリップデフにより一段と高い次元へとリファインしたのだ。

 ワイドなレーシングタイヤの装着を想定して後輪のフェンダーフレアを広げ装着を容易にしていたのもマニアには嬉しい改良だった。フレア拡大により全幅は従来の1490mmから1510mmへと20mm拡大していた。GT-Bの後継となるGT-Rもワイドタイヤ装着のためリアのホイールハウスが拡大されていたが、それはファッションではなく、実戦を想定してのリファインだったのだ。
 ちなみに最終版GT-Bは他のスカイライン・シリーズと同様の新形状グリルでイメージを一新していた。しかしリアビューは角形ライトを導入した1500とは異なり、従来と共通の丸形ライトを採用していた。GT-Bにとって走りのリファインは重要項目だが見た目の変更は最小限で構わなかったのである。インテリアも精悍なブラックにカラーリングを変更した以外、大きな変更は加えていない。しかし前席にシートベルト(2点式)を加えるなど、走りをレベルアップする部分のリファインには積極的だった。シート形状もサポート性を増すために小改良が加えられていた。