ミニカ 【1993,1994,1995,1996,1997,1998】

先進4気筒エンジン+4速AT採用の7代目

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女性を意識したキュートなスタイル

 日本の軽自動車のパイオニアの一台である三菱ミニカは、1993年9月にフルモデルチェンジされ、第7世代となった。車名のミニカ(Minica)は、英語で小さいという意味のMiniatureとクルマを意味するCarを組み合わせ、語呂のよくなるように短縮した造語。1962年デビューの初代以来使われていた。

 1970〜90年代は、軽自動車のエンジン排気量やボディサイズの規格が頻繁に変えられ、メーカーはその対応に追われていた。三菱でも1976年1月に施行されたエンジン排気量の拡大により、それまでの360㏄から550㏄仕様へとエンジンを拡大したミニカアミ55を1977年6月に発売。さらに、1990年に改訂されたボディーサイズの拡大やエンジン排気量制限の660㏄への拡大などに対する対応を6代目の途中で行い、1993年に7代目へと移行した。

 7代目のスタイリングは旧型に比べ、全体に曲線を主体として丸味を帯びたソフトなものとなり、特に女性ユーザーにアピールすることを狙ったものとなった。また、左右のドアの幅が、ドライバー側で80㎜短くされており、狭い駐車スペースでの乗り降りを容易なものとする配慮も見られる(3ドアハッチバック)。モデルバリエーションは4人乗り3ドアハッチバックおよび4人乗り5ドアハッチバックで、従来の片側2ドアのモデルは、ミニカトッポに移行している。駆動方式はフロント横置きエンジンによる前2輪駆動およびフルタイム4輪駆動があった。ホイールベースは、6代目に比較し20㎜延長され、室内スペースが広がっている。

最強力エンジンは20Vターボエンジン車

 エンジンは排気量659㏄で、新採用の直列4気筒SOHC16バルブ(4A30型、出力55ps/7500rpm)をメインとし、キャブレター仕様(4A30型、50ps/7500rpm)や、DOHC20バルブとしてターボチャージャーを装備した最強力仕様(4A30型、64ps/7000rpm)があり、加えて従来からの657cc直列3気筒SOHC(3G83型、40ps/6000rpm)も継続された。

 トランスミッションは5速マニュアルとファジー制御の4速オートマチックが上級モデルに投入され、4輪駆動+20Vターボのダンガン-4グレードは5速マニュアルのみの設定。サスペンションは前がマクファーソンストラット/コイルスプリング、後ろは3リンク/コイルスプリングの組み合わせ(4WDは5リンク式)。ブレーキは前がベンチレーテッドディスク、後ろはドラム(ダンガン-4はディスク)でサーボ機構を持つ。タイヤは2輪駆動モデルでは135SR12が基本だが、20Vターボモデルでは155/65R13が標準装備となるなど仕様によって異なる。車両重量は700㎏前後となっていた。

多彩なバリエーションを用意

 おそらく、当時の軽自動車の中では最も進歩的であり、エンジン仕様の違いなどのモデルバリエーションも最も多かった。ボディタイプは3ドアと5ドア、そして3ドアバンを設定。駆動方式はFFと4WD。4WDはダンガン-4や、乗用の3ドアおよび5ドアのほか、バンでも選べた。結果、3ドアに10グレード、5ドアに6グレード、3ドアバンに5グレードのワイドなラインアップを用意していた。

 新機構のファジー制御4速ATは、3ドアでは上級FFスポーティグレードと一部の4WDモデルに採用。5ドアではFFと4WDともに上級モデルへの搭載となった。ちなみにエンジンの実力は、かつての1.3リッターから1.5リッタークラスの水準に迫るものとなっていた。一部には過度な高性能化を危険視する向きもあったが、ABSや高剛性ボディの採用など、安全装備を充実することで、より完成度の高いモデルに仕上げられていた。7世代目ミニカは、数多い特別仕様車を生みながら、軽自動車が新規格に移行する1998年10月まで生産された。