マツダデザイン7 【1980,1981,1982】

多彩な手法のデザインを導入した1980年代前半

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一大ブームを巻き起こしたFFファミリア

 1979年11月に米国のフォードと資本および業務提携を結び、経営の安定化を図った東洋工業(現マツダ)。車種ラインアップの面では、来るべき1980年代に向けて主要カテゴリーでのフルモデルチェンジを積極的に推し進めた。

 1980年6月には、駆動レイアウトをFFに切り替えた5代目ファミリアがデビューする。車両デザインは、ウエッジを利かせたシャープなハッチバックスタイルを基調に角型ヘッドライトを配した精悍なフロントマスクや広めのウィンドウグラフィックなどを採用。欧州車のような安定感のある2BOXフォルムにまとめた。さらに、4輪ストラット(リアには2本のロワアームと長いトレーリングアームの組み合わせによってトーコントロールを行う“SSサスペンション”を採用)の足回りや新設計のE型系直4OHCエンジン(E5型1490cc/E3型1296cc)、前席フルフラットシートおよび後席リクライニング&分割可倒といった新機構を盛り込む。

 スタイリッシュなルックスと快適性に富んだ室内、そして軽快な走りを実現した5代目ファミリアは、市場で大好評を博す。最も人気が高かったのは電動サンルーフや後席ラウンジシートを装備した最上級グレードの「XG」で、それも赤いボディカラーの仕様。“赤のXG”は当時流行していたサーファーの格好のアイテムとなり、ルーフキャリアにサーフボード、Tシャツを被せたシート、ダッシュボードに置いた人工芝やヤシの木のオブジェなど、定番のドレスアップを施したファミリアが数多く出現した。

個性的な3ボディを設定した新世代スペシャルティ

 ファミリアの企画を進行させる一方で、開発陣は上級車、具体的にはコスモとルーチェの全面改良も進行させる。主要コンポーネントについては、車種設定の強化とコストの削減を狙って2車の共用化を決断。そのうえで、コスモはスペシャルティ感を主張したモデルに、ルーチェはラグジュアリー性を強調する1台に仕立てようとした。

 コスモは、多様なユーザー指向に対応するためにボディバリエーションの拡大を実施。従来はクーペと2ドアセダン“L”の2タイプだけだったが、新型では2ドアハードトップ、4ドアハードトップ、4ドアセダンの3タイプを企画する。このうち4ドアハードトップとセダンは、ルーチェと基本ボディの共通化を図った。エンジンについては、レシプロのMA型1970cc直4OHCと12A型573cc×2ローター、さらにS2型2209cc直4ディーゼルの3機種を設定する。ただし、デビュー当初はレシプロのガソリンエンジン仕様だけを発売。真打ちのロータリーは新機構の6ポートインダクション(6PI)を組み込んだため、そのインパクトを強調しようと、あえてデビュー時期を遅らせる戦略を打ち出した。

矢継ぎ早に新ボディを導入した斬新戦略

 3代目となるコスモの発売は、ボディタイプごとに時期をずらして行われる。まず1981年9月1日に2ドアハードトップが登場。同年10月1日には4ドアハードトップが、その15日後には4ドアセダンが市場に放たれる。さらに11月からは、ロータリーエンジン搭載車が販売された。3代目コスモでユーザーが最も注目したのは、そのスタイリングだった。リトラクタブルライト(ハードトップに装備)を配したV字型のフロントノーズと滑らかにスラントしたボンネット、ウエッジシェイプを基調とするライン構成などで達成した空気抵抗係数(Cd値)は0.32で、世界トップレベルの数値を記録する。また、新開発のステアリングやサスペンション機構、フルアジャスタブルシートなども好評を博した。

 コスモの兄弟車となった4代目ルーチェは、1981年10月に市場に放たれる。ボディタイプは4ドアセダンと4ドアハードトップの2種類をラインアップ。基本ボディはコスモと共用するものの、セダンでは大型の専用メッキグリルやボンネット先端に配したオーナメントなどを、ハードトップでは大型のヘッドライト+小振りのグリルや専用アレンジのリアコンビネーションランプなどを装備し、旗艦モデルならではの精悍さと上質感を主張した。

FFに一新したカペラはクリーンな空力ボディを採用

 1982年9月になると、ファミリアと同様、FFレイアウトに一新した4代目カペラが市場デビューを果たす。FFカペラを企画する際、開発陣は走りの性能を最大限に重視する。他社のFFミディアム車は居住性や直進安定性の向上は果たしたものの、ハンドリングの上質感やコーナリング時のコントロール性に関しては二の次になっているモデルが多かった。走りも楽しめるFFミディアム車に仕上げるには−−。開発陣はまずシャシー性能に磨きをかける。サスペンションは前マクファーソンストラット/後ストラットに一新。前後のトレッド幅も拡大し、上級仕様向けには電子制御減衰力可変ダンパーも組み込んだ。

 新設計のシャシーに被せるボディは、徹底したフラッシュサーフェス化や前面投影面積の縮小などを施した新エアロフォルムを採用する。Cd値は4ドアセダンが0.36、2ドアクーペが0.34と、当時の同カテゴリーのトップレベルを達成した。開発陣は見た目の印象にもこだわり、クリーンでシャープなルックスを演出する。横置き搭載されるエンジンについては、3機種の“マグナム”ユニット、F6型1587cc直4OHCとF8型1789cc直4OHC、そしてFE型1998cc直4OHCを設定した。

 キャッチフレーズに“俊足、FFスポーツ”と冠した4代目カペラは、俳優のアラン・ドロンをイメージキャラクターに据えた広告効果などもあり、好調な販売成績を記録する。スポーツ性を前面に押し出したパフォーマンスも注目を集め、とくにFE型エンジンに走りのアイテムを満載するGT-Xグレードは「欧州志向のスタイルと走りが楽しめるスポーティモデル」として高い評価を受けた。