キャラバン 【1980,1981,1982,1983,1984,1985,1986,1987】
荷室が広く、使い勝手に優れた傑作ワンボックス
1980年8月に登場した2代目キャラバンは、初代の美点を継承した傑作ワンボックスだった。商用車登録のライトバンと、3列シートの豪華ワゴンであるコーチ、そして定員15名のマイクロバスなど豊富なラインアップを誇ったが、設計の基本はビジネスユースのライトバンだった。
2代目キャラバンも初代と同様に、虚飾を排したクリーンなスタイリングと、圧倒的なスペースユーティリティ、そしてユーザーの側に立ったさまざまな親切設計で高い人気を誇った。ちなみにプリンス系販売ディーラーで販売されたホーミーは、キャラバンと基本的に共通の兄弟車である。
2代目キャラバンの個性は、優れた使い勝手にあった。ライトバンは2350mmの標準仕様と2690mmのロング仕様の2種類のホイールベースが選べたが、全長はそれぞれ4350mm、4690mmの小型車枠に収まっていた。
幅は全車1690mmで、全高は1925mmの標準ルーフと2220mmのハイルーフの2種を設定していた。
ライトバンの生命線ともいえる荷室スペースは標準仕様でも長2730mm×幅1530×高1335mmと広大で、ロングホイールベース仕様では荷室長が3070mmに拡大。ハイルーフ仕様を選ぶと荷室高は1615mmにもなった。2代目キャラバンは取り回しのいいボディサイズからは想像できないほど広い、クラス最高水準のフリースペースを確保していたわけだ。
しかも大型リアゲートだけでなく、ボディサイドに長1060mm×高1345mmの開口部を持つスライドドアを配置し、自在に荷物の積み卸しが可能だった。ちなみにスライドドアはボディ左側だけでなく右側にも装着が可能。ユーザーニーズに合わせてきめ細かく最適な仕様が選べた。
2代目キャラバンはユーザーサイドに立った気配りも満載だった。3名掛けとなる前席シートの中央部分はバスの補助席のように折り畳みが可能で、折り畳むと前席から荷室へのウォークスルーができた。
雨などの悪天候時でも濡れずに荷室に移動できるのはユーザーに取ってありがたいことだった。それだけではない。内側からリアゲートが開閉できるインサイドバックドアハンドルや、荷物固定フック、荷傷みを防ぐフロアマットなど、広い荷室スペースを使いこなすためのアイデアが多彩だったのだ。
1列または2列式の後席も装備することができ、前席を含めて6名または9名の乗員と大量の荷物を運搬することができるのも魅力だった。
スタイリングは直線を基調としながら、ボディパネルに張りを持たせボリューム感を演出したもので、丸型4灯式ランプがハンサムな表情を演出した。左折時の不幸な巻き込み事故を防止するため左側ドアに大型のセーフティウィンドーを装備し、サイドミラーも大型サイズとするなど安全面の配慮も万全だった。
パワーユニットはガソリン2種、ディーゼル1種の計3タイプる。主力は排気量1982ccの直列4気筒OHVのH20型(92ps/16kg・m)だったが、経済性に優れた排気量2164ccの直列4気筒OHVディーゼルSD22型(65ps/14.5kg・m)の評価も高かった。ちなみにベーシックユニットは排気量1567ccの直列4気筒OHVのJ16型(80ps/12.8kg・m)だった。
トランスミッションはガソリン車が4速コラムシフト、ディーゼル車は5速コラムシフトのマニュアルで、オートマチック仕様は未設定だった。
足回りは信頼性を重視した前がダブルウィッシュボーンとトーションバースプリング、後ろは半楕円リーフ・リジッドを組み合わせていた。荷物を満載した状態でも強力な制動力を発揮させるため上級グレードではフロントにベンチレーテッドディスク・ブレーキを採用したのも特徴だった。
2代目キャラバンの主軸となるライトバンは、豪華な装備こそなかったが、機能を磨き込んだ本物のプロツールだった。幅広い職種のユーザーから高い評価を集めた事実が、高い実力をなによりの証明していた。