ローレル 【1988,1989,1990,1991,1992】

パーソナルな印象のスタイリッシュ4ドア

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6代目はシック&ビビッドをキーワードに誕生

 初代デビューから20周年を迎えた1988年、ローレルは6代目に移行する。6代目は従来セダンとハードトップの2形式だったボディラインアップを4ドアハードトップに絞り、パーソナルなイメージを鮮明にした。

 後にバブル景気と呼ばれた1980年代後半は、本物志向の高級車が好まれた。ローレルは、この時代の流れに敏感に反応。旧型までの“ミニ・セドリック”的なイメージを改め、スタイリッシュな上級サルーンというキャラクターを前面に打ち出す。日産には同クラスにスカイラインがあり、さらに1988年9月には新感覚セダンのセフィーロが登場していた。またトヨタには、最強のライバルとしてマークII、チェイサー、クレスタの3兄弟が揃っていた。オーナーカーとして最上級クラスとなる2リッターモデルは、まさに群雄割拠。好景気を背景に旺盛な購買力が背景に存在したとはいえ、強力なライバル群のなかで存在感を主張するには、明確な個性の主張が不可欠だった。

 ローレルが選択したのは、“シック&ビビッド”という新しい価値観だった。ローレルはカタログの冒頭でこう語りかけた「ゆとりがなければ文化は生まれないのかもしれません。そして、そのゆとりを享受できたとき、はじめて豊かさを実感できるのではないでしょうか。成熟へ向かう時代の新しい価値観は、シック&ビビッドという二面性をどうクルマに融合させるのか、だと思います。」と。

イタリアンな雰囲気の内外装でユーザーを魅了

 シックなイメージは、そのスタイリングで表現していた。4ドアピラーレスハードトップ形式のプロポーションは、端正なたたずまいとシャープな印象を巧みに融合したグッドルッキングな仕上がり。全長4690mm、全幅1690mmと大柄ながら、全高を1365mmと低く抑えることで引き締まった印象を訴求した。ストレート基調のボディライン、シンプルに仕上げた前後ランプなど、各部の意匠も統一感があり、日本車では稀な上質なイメージが感じられた。そのデザインは欧州の著名カロッツェリアが協力したと噂された。

 ビビッドさは、室内各部の演出に現れていた。メーターパネル下に配した本木目パネルと、シートと同一素材で統一したインストルメントパッドのコントラスト、まるでマセラティ車のようなアナログ式の時計、そしてシート中折れリクライニング機構を導入したパートナーコンフォタブルシートなど、デザインや装備への細やかな美意識がローレルの個性だった。

 歴代ローレルは、どちらかというとルックス的にも装備面でもアメリカンなクルマ、というイメージが強かった。しかし6代目は、欧州調、なかでもお洒落な印象の強いイタリア車の雰囲気が随所に感じられた。
 ラインアップは、充実装備のメダリスト系、中間グレードのグランド系、そしてシンプルなエクストラ系の3シリーズ構成で、メダリスト系にはホワイトの本革張りインテリアのクラブL、エクセーヌ内装のクラブSも選べた。

パワーユニットは5種。ターボは205psの高出力

 パワーユニットは1998ccの直列6気筒ガソリンがDOHCターボ(205ps)、DOHC・NA(155ps)、OHC・NA(125ps)の3種。1809ccの直列4気筒ガソリンがOHC・NA(91os)の1種。そして2825ccの直列6気筒ディーゼル(94ps)が1種の計5タイプ。パワーユニットは4速ATと5速MTの2種で、上級タイプのATは電子制御タイプだった。足回りはフロントがストラット式、リアにはマルチリンク式を組み合わせる。

 走りは、軽やかなフィーリングに調律され、とくにターボ仕様のパフォーマンスは強力だった。スポーティな味わいという点でスカイラインに勝るとも劣らない高い実力を誇っていた。
 6代目ローレルはハイセンスな内外装と、優れた走りの性能を備えた大人のパーソナルサルーンとして魅力的な存在だった。

高級車としてのこだわり、高品位塗装

 ローレルは、そのスタイリングを一段と際立たせるため塗装にこだわっていた。高い質感と深みを持たせるには、なにより下地が重要との思いからベースに鮮映性に優れたレーザーミラー鋼板を採用。カチオン電着塗装、同系色専用中塗りなどの行程を経て丁寧に仕上げられた。

 さらに表面のコーティングにも配慮を施す。塗装表面に厚さ数十ミクロンのフッ素樹脂クリアーを焼き付け塗装したスーパーファインコーティング処理を設定したのだ。スーパーファインコーティング処理はノーワックスで長期間の撥水性を保ち、紫外線などでの塗装劣化を防ぐのがメリット。グラブL、クラブSに標準。その他の車種にはメーカーオプションで設定していた。