エブリィ・ワゴン 【1999,2000,2001,2002,2003,2004,2005】

便利で豪華な軽セミキャブオーバー型ワゴン

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軽ワゴン需要の高まり

 軽自動車は1998年10月に、衝突安全性の向上を図る目的の規格改定が実施される。660ccのエンジン排気量はそのままに、ボディサイズは全長3300×全幅1400×全高2000mmから同3400×1480×2000mmに拡大された。この改定は、結果的に小型車との差をさらに縮めることとなる。同時に、小型車に設定されているRV志向のモデル、具体的にはキャブオーバースタイルのワゴンを軽乗用車にも求める声が、次第に高まっていった。

 市場の要請に対して軽トップメーカーのスズキは、新規格に移行した軽商用バンの4代目エブリイをベースとするセミキャブオーバースタイルのRVワゴンを企画する。そして、1999年6月に“バリューボックス”のキャッチコピーをつけた「エブリイ・ワゴン」(DA52W)を市場に放った。

商用バンをベースに豪華装備のワゴンを企画

 エブリイ・ワゴンのボディは商用バンと基本的に共通で、3分割フレーム構造の軽量衝撃吸収ボディを採用する。また、左右のAピラーをつなぐA・Aパイプやドアビームなどの補強部材を組み込み、キャビン部の剛性を引き上げた。パッケージングに関しては、フロントタイヤを前席前にレイアウトした効果による自然な感覚のドライビングポジションや適度に高めのシート座面位置、バン比で90mm後方に設置したうえでリクライニング機構を備えたセンターアームレスト付きリアシート、荷物の積み下ろしが楽に行えるちょうどいい高さの荷室地上高(670mm)などを特長とする。

 スタイリングの演出にも工夫を凝らし、各種エアロパーツやフォグランプ、アルミホイールなどを組み込んだスポーティ仕様をラインアップ。また、装備面に関しても抗菌処理タイプのエアコンや抗菌インテリア、UVカットのフロントウィンドウガラス、スモークタイプのリアドア&クオーター&バックドアウィンドウガラス、フルロジックのカセットデッキ、キーレスエントリーシステム、電動サンルーフ、運転席&助手席SRSエアバッグ、4W-ABSといった豊富なアイテムを設定した。

 ミッドシップ搭載するエンジンはF6A型657cc直列3気筒OHCインタークーラーターボの通称“Siターボ”で、60ps/8.5kg・mのパワー&トルクを発生する。トランスミッションには5速MTと3速ATをセット。駆動機構には2WDとドライブセレクト4×4(パートタイム4WD)を採用した。

走行性能の向上と車種設定の強化を実施

ハイルーフ形状のJOYPOPターボとJOYPOPエアロターボというシンプルなグレード展開で始動したエブリイ・ワゴンは、優れたスペースユーティリティや取り回しのよさ、充実した装備などによって市場から好評を博す。人気を維持しようと、開発陣は積極的に車種設定の強化と中身の改良を実施していった。

 1999年11月には、走行性能や実用性を高める改良を敢行する。搭載エンジンは64psにまで出力アップし、一部エンジン部品やマウント類なども変更。また、組み合わせるATは4速化、4WD機構はフルタイム化する。外装面ではメッキガーニッシュの採用やバンパーデザインの変更、防錆鋼板の使用部位の拡大などを実施。内装面では後席スライド機構やリアパワーウィンドウ、オーバーヘッドボックスなどを採用する。車種構成はJOYPOPターボとJOYPOPターボL、JOYPOPターボSの3グレード展開となった。
 2000年5月になると、存在感をいっそう強調するためにフロントグリルやボンネット、バンパーなどのデザイン変更を実施。エンジンに関しては、ノックセンサーおよび過給圧制御装置の追加、インタークーラーの改良により、主に高速域での性能を向上させた。

 2001年9月には、エンジンの換装や新機種の追加などをメインメニューとしたマイナーチェンジを実施する。エンジンについてはオールアルミDOHCのK6Aユニット(658cc直3DOHC)に切り替わり、ターボ仕様の最大トルクは10.8kg・mへと向上。また、49ps/6.3kg・mのパワー&トルクを発生するNA仕様のJOYPOPグレードを新たに導入する。ほかにも、ロールーフのJOYPOPターボや最上級グレードのJOYPOPターボPZの設定、乗用ワゴンとしての商品価値をいっそう高めた。
 セミキャブオーバースタイルのワゴンモデルの設定によって、乗用ユースの顧客層を惹きつけたエブリイ・シリーズ。より幅広いユーザーにアピールする商品展開は、2005年8月に登場する5 代目にも引き継がれることとなった。