カムリ 【2001,2002,2003,2004,2005,2006】

クラス世界トップを追求した7代目ワールドセダン

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世界で販売する新ワールドセダンの開発

 世界規模での自動車メーカーの合従連衡が盛んになり、同時にワールドワイドで展開する新型車の開発も重視された1990年代終盤から2000年代初頭にかけての自動車市場。この状況下でトヨタ自動車は、100を超える国々で販売するワールドカーのカムリの全面改良を計画する。

 ゆとりと高性能で定評のあるFFミディアムセダンを、21世紀に向けてどのようにリファインしていくべきか−−。綿密な市場調査を行い、多角的に検討した車両コンセプトは、「新世紀 World Major」だった。既存モデルがもつ資質をさらに高めることを念頭に置き、居住性や走行性能、静粛性、安全性においてクラスの世界トップを目指したのである。具体的には、ラージクラスに匹敵する広い室内空間と乗り降りのしやすい着座位置を実現した“ワールドセダン パッケージ”、新プラットフォームや新設計サスペンション、高効率なパワートレインなどがもたらす“ワールドセダン パフォーマンス”、最新の衝撃吸収ボディや充実した安全装備、入念な環境対策などによる“ワールドセダン セーフティ&エコロジー”を開発目標に掲げた。

キャッチフレーズは“World Major”

 初代のセリカ・カムリから数えて7代目となる新型カムリは、2001年9月に日本でのデビューを果たす。キャッチフレーズはクルマの性格を直接的に表現した“World Major”。車種展開は標準モデルとなる2.4Gの2WD(FF)と4WD(Vフレックスフルタイム4WD)、スポーティ系のツーリング(2WD)という計3グレードに絞り、2.4Gには充実装備のリミテッドエディションとリミテッドエディション・ナビパッケージを、ツーリングにはナビパッケージを設定した。

 新世界戦略車であるカムリは、パッケージングと内外装のアレンジが脚光を浴びる。ボディサイズは従来型比で15mm長く(4815mm)、10mm幅広く(1795mm)、70mm高く(1490mm)、ホイールベースが50mm長い(2720mm)ディメンションで構成。そのうえで、最小回転半径は従来型比で20cm小さい5.3mを実現して取り回し性を向上させた。一方、地上からの着座ポイントは従来型比で35mm高い560mmに、前席着座ポイントから後席着座ポイントまでの距離は同35mm長い935mmに設定し、乗降性と居住性の引き上げを図る。さらに、トランク容量は従来型比+69Lの587L(VDA方式)を達成した。ボディ自体はオフセット前面衝突実験を従来の60km/hから64km/hに、フルラップ前面衝突および側面衝突実験を同50km/hから55km/hに引き上げて成し遂げた進化版の衝撃吸収ボディ&高強度キャビン“GOA”を採用する。また、安全装備としてデュアルステージSRSエアバッグとSRSサイドエアバッグ&SRSカーテンシールドエアバッグ、頭部衝撃緩和構造、WILコンセプトシート、EBD付ABS、ブレーキアシストなどを導入した。

内外装は“高品位”をテーマに開発

 内外装は、“高品位”をテーマに仕立てる。エクステリアはクリーンで張りのある面により上質なセダンフォルムを創出。ツーリングには専用グリルやリアスポイラー、16インチアルミホイールなどを装備してスポーティ感を強調した。インテリアは、伸びやかなインパネデザインや部品間の隙間の極小化などによって質感の高い居住スペースを演出。また、2.4Gグレードはベージュ基調の室内色に木目調パネルを、ツーリングはダークグレーのカラーリングに金属調パネルを採用し、それぞれ個性を際立たせた。

 搭載エンジンは大口径ロングポートインテークマニホールドを組み込んだ改良版の2AZ-FE型2362cc直4DOHC16V・VVT-iの1機種(北米向けなどにはV6エンジンも設定)。トランスミッションにはスーパーインテリジェント4速AT(Super ECT)を組み合わせる。環境性能面では、平成12年基準排出ガス75%低減レベルに燃費を引き上げ、リサイクル性の向上などを実現した。懸架機構はフロントにマクファーソンストラット式、リアにデュアルリンクストラット式を採用。また、ツーリングおよび2.4Gリミテッドエディションの2WDには電子制御サスのH∞-TEMSを装備した。

商品力の向上を狙ってマイナーチェンジを実施

 2004年7月になると、2.4Gグレードは高級感、ツーリンググレードはスポーティ感の引き上げを狙ったマイナーチェンジが敢行される。ヘッドランプ形状を彫りの深い4連の円筒形に変更。2.4Gグレードは新造形の9本スポークホイールキャップを装着し、ツーリンググレードはエクステンションやリアランプのブラックアウト処理化を行う。室内ではフロントコンソールへのプッシュ式オープンドアの設定にオプティトロンメーターへのLED照明の採用、ステアリングスイッチや電動ランパーサポートの追加などを実施した。

 車両自体の進化とともに、海外での生産、とくにインドネシアやマレーシアといった東南アジアで生産拠点を増やしていったカムリ。ワールドカーとしてのキャラクターにいっそうの磨きをかけた同車は、その路線を踏襲しながら2006年1月に8代目へと移行していったのである。