カムリ 【1986,1987,1988,1989,1990】

DOHC16Vをポピュラーにした新世代FFサルーン



本質的なクルマの価値を追求した3代目

 1986年4月にモデルチェンジし、3代目に進化したカムリ(そして兄弟車のビスタ)はトヨタの新世代技術を満載した意欲作だった。
カムリはカローラより一回り上級のミドルクラスサルーンで、2代目はトヨタで初めてエンジン横置き式のFFレイアウトを採用。クラウンに迫る広い室内スペースが好評を博した。3代目は定評の室内ユーティリティに磨きを掛けると同時に、メカニズムからスタイリング、装備の細部に至るまでに上質に仕上げたのが特徴だった。開発コンセプトは「本質的なクルマの価値を追求した、知的で優美なFF最上級サルーン」である。

 カムリのボディタイプは4ドアセダンのみ。兄弟車のビスタには新たに4ドアハードトップが設定されたが、カムリには未設定だった。販売ディーラーがトヨタ・カローラ店系列だったこともあり、実直なセダンが好まれたのである。

実用性能を追求した新開発DOHC16V登場

 3代目の新しさはエンジンに現れていた。主力となる排気量1998ccユニットをすべてDOHC16V仕様に進化させたのだ。しかも実用性能を重視した3S-FE型と、スポーティな性格の3S-GE型の2種を用意する。

“ハイメカツインカム”を名乗る3S-FE型は完全新設計で、DOHC16Vユニットらしい高出力とともに、燃費や心地いい音色まで追求した新世代ユニットだった。3S-FE型の特徴はヘッド回りにあった。インテークカムシャフトに配したギアによりエグゾーストカムシャフトを駆動する独特の方式の採用で従来型ツインカムと比較して大幅に軽量&コンパクトなヘッド回りを実現したのだ。

 燃焼効率を重視したペントルーフ型燃焼室形状や、各気筒4バルブレイアウト、そしてつねに最良の空燃比を実現するEFI-D型燃料噴射システムなどの高出力設計を盛り込みながら、実用車用エンジンに求められる信頼性、コンパクトさを実現したトヨタの自信作だった。

 性能スペックは120ps/5600rpm、17.2kg・m/4400rpm。2000rpmですでに最大トルクの90%を発揮するトルクフルなチューニングが施され、実用燃費の指針となる10モード燃費も12.8km/Lとクラストップを誇った。3S-FE型は従来スポーティモデルの特権だったDOHC16Vエンジンを、一般ユーザーに開放した民主的なDOHC16Vだったのだ。DOHC16Vらしい爽快な回転フィールと充実したパワーは、カムリの進化を象徴し多くのユーザーを魅了した。

豊かさを増した高級感たっぷりのスタイリング

 スタイリングは豊かさを増していた。2代目の直線的な印象から一変しマークIIにも似た柔らかで張りのある面で構成したジェントルなプロポーションは美しかった。ドアフレームの幅を細く仕上げガラスとの段差を抑えたフラッシュサーフェス処理を徹底するなど新しさも十分に感じさせた。ホイールベースは先代と共通の2600mmで、足回りも先代と同じ前後ともストラットだった。ちなみに足回りは形式こそ共通だったが各部の剛性を高めた新設計である。

 室内は先代以上に室内長&幅を拡大すると同時に質感のリファインを徹底する。全グレードにソフトな触感の一体成形ドアトリムを採用。使用頻度の高いスイッチ類はステアリングホイール周囲に集約し、しかも照明付きスイッチにグレードアップした。後席はトランクスルー型の分割可倒式である。
 3代目カムリは、1987年4月にV6ユニットを積むプロミネント・シリーズ、同年10月にはフルタイム4WDモデルを加えるなどラインアップを増強し魅力を高める。販売も好調で、カローラの兄貴分としての地位を確立する。ファミリーカーの主役がセダンであった時代の傑作の1台である。

ワールドカーとして羽ばたいた3代目

 3代目カムリは日本だけでなく世界を見据えた新世代サルーンだった。とくにアメリカ市場で好評を博した。合理的なFFレイアウトによって得た広い室内空間はふた回り以上大型のアメリカンモデルと同等で、しかも優れた燃費性能と圧倒的な信頼性を誇ったからだ。

 スケールの大きなアメリカでもパフォーマンスは十分なレベルで、まさにファーストカーとして満足できるクルマだったのだ。カムリはホンダ・アコードやフォード・トーラスと販売台数を競い、しばしば月間販売台数首位をマークした。海外マーケットにはセダンとともにスタイリッシュなワゴンを用意し、幅広いユーザーニーズに応えたことも好評の要因だった。V6エンジンの追加も日本以上にアメリカ市場からの要望が強かったからだった。