サニー 【1977,1978,1979,1980,1981】

使い勝手を重視した等身大モデル

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徹底したキープコンセプト思想

 1966年にトヨタ・カローラより半年早く登場した日産自動車のサニーは、1977年11月に第四世代へ発展した。当時は未だダットサンのブランドを使っていたため、正式なネーミングは「ダットサン・サニー」となる。
 第4世代のサニーは、1977年10月末の第22回東京モーターショーで発表され、同年11月21日から発売された。4年5か月の時間を経てフルモデルチェンジされた新型サニーは、ライバルであるトヨタ・カローラとは異なり、従来からのファミリーカーのマーケットを守ることを目標としていた。分かりやすく言えば“等身大のサニー”だ。このころ、カローラはすでにその中心的なモデルを1600ccクラスに移しており、1200〜1300ccのクラスには基本的な車種があるのみとなっていた。サニーは1200ccと1400ccの2本立てで、あえて大排気量エンジンはラインアップに加えていない。サニーがその排気量のジャンルを動かなかったのは、カローラとの積極的な競合を避けて、サニーとして独自のマーケットを確立しようとしていたからに他ならない。使いやすいファミリーモデルとして、このクラスを必要とするユーザーは決して少なくなかったからである。

シャープな造形と信頼のメカニズム

 フルチェンジされたスタイルは、当時の日産らしいシャープなラインを生かしたもので、ボディバリェーションはセダンが2ドアと4ドア、ハッチゲートを持つファストバッククーペおよび2ドア、4ドアのバン、そして遅れて登場したカリフォルニアを名乗るワゴンの6種があった。シャシーは全車に共通したもので、ホイールベースは2340mmでセダン系とクーペ系で全長は数センチの違いがあるだけだ。サスペンションは前がストラット/コイルスプリング、後が4リンク/コイルスプリングの組み合わせとなっている。ブレーキはグレードによってディスクとドラムを使い分けている。

 エンジンは全車ともシングル・キャブレター仕様の直列4気筒OHVで、排気量1237㏄のA12A型(最高出力70ps/6000rpm、最大トルク10.2㎏・m/3600rpm)と1397㏄のA14型(80ps/6000rpm、11.5㎏・m/3600rpm)の2種が設定されていた。ハイパフォーマンス仕様が無かったのは、排気ガス浄化規制に対応したものであった。翌年にはインジェクション仕様のA14型(95ps)もラインアップに加わった。
 トランスミッション4速および5速のマニュアルと3速オートマチックがあるが、バンは4速マニュアルのみの設定だった。

クラス水準を抜く贅沢装備を満載

 ファミリーカーの上級車種としての存在を明確にしたサニーと言うこともあり、室内の装備は極めて充実したものとなっていた。最上級車種であるSGXでは、エンジン回転計や電圧計、油温計までが備わり、メーター類の照明が透過光方式とされ、FMとAMの2バンド付きのラジオ、電動リモコンミラー、熱線入りリアウィンドー、リアウィンドー・ワイパーまでが標準装備となっていた。安全面では、ELR(自動巻き込み装置)付きフロントの3点式シートベルトが標準化されている。ステアリングの形状が、乗降性の向上のために横にわずかに長い楕円形となっているのは注目される。

 価格は2ドアセダンのセミ・デラックス(何と時代かかった言葉だろう)の73万7千円からクーペ1400SGXの106万4千円までとなっていた。
 強烈な個性は無いが、性能と価格のバランスに優れ、スタイルも良い真のファミリーカー、サニーは相応の成功を収めることになる。メカニズム的に凝った面はないが、信頼性が高く使い勝手に優れた“中庸のクルマ”が支持されたことは、ある意味で日本のモータリーゼーションの成熟化を物語っていた。