ハリアー 【2003,2004,2005,2006,2007,2008,2009,2010,2011,2012,2013】
ハンドリングと先進の安全性を追求した高級SUV
“スポーツ・ユーティリティ・サルーン”と称して1997年12月に発売されたハリアーは、ラグジュアリーSUVのパイオニアとして大人気を記録する。2000年代に入ると、ライバルとなるクロスオーバー型の高級SUVが、日本はもとより欧米メーカーから相次いで発売された。
先駆モデルとしての優位性が薄れつつあるなか、トヨタ自動車の開発陣は、次期型のハリアーを鋭意企画した。目指したのは“新世代ラグジュアリーSUV”の提案。従来の「高級サルーンの基本性能を備えたSUV」という商品コンセプトをさらに進化させ、高級サルーンを超える1台に仕立てることを念頭に置いた。
第2世代となるハリアーは、2003年2月に市場デビューを果たす。キャッチコピーは“ALL ROUND WINNER”。車種展開は2.4ℓエンジンを搭載する240Gと3ℓエンジンを採用する300Gに、それぞれ2WDと4WDをラインアップ。また全グレードにLパッケージとプレミアムLパッケージを用意し、3ℓエンジン車には電子制御エアサスペンションを備えるAIRSを設定した。
開発陣が重視したハンドリング性能の向上については、新設計のプラットフォームを組み込んだ高剛性ボディや4輪独立懸架の新サスペンションなどによって具現化される。懸架形式はフロントにL型ロアアーム式マクファーソンストラットを、リアにデュアルリンク式マクファーソンストラットを採用。ダンパーのバルブ構造を見直して高応答な特性を得られるようにセッティングした足回りは、操縦性と乗り心地を高次元で両立させた。さらに3ℓエンジン車に用意する電子制御エアサスペンションは、積載条件が変化しても一定に車高を自動調整するオートレベリング機能に加え、ドライバーの意思に応じて選択できる3モード(Loモード/Hiモード/乗降モード)を設定。また、足元には操る楽しさを想定して235/55R18または225/65R17サイズの偏平タイヤとアルミホイールをセットした。
搭載エンジンは1MZ-FE型2994cc・V型6気筒DOHC(220ps/31.0kg・m)と2AZ-FE型2362cc直列4気筒DOHC(160ps/22.5kg・m)の2機種を設定する。トランスミッションは1MZ-FEユニットに5 Super ECT(5速AT)を、2AZ-FEユニットにSuper ECT(4速AT)をセット。駆動機構は2WDとフルタイム4WDを採用し、4WDは1MZ-FEユニットにVSC&TRCを、2AZ-FEユニットにセンターデファレンシャルおよびビスカスカップリング式LSDを組み合わせた。安全性の強化にも抜かりはない。アクティブセーフティではインテリジェントAFSや撥水機能付フロントドアガラス&レインクリアリングドアミラー、そしてミリ波レーダーを使った世界初のプリクラッシュセーフティシステムなどを設定。パッシブセーフティでは、進化した衝突安全ボディGOAや大型化したSRSサイドエアバッグ&SRSカーテンシールドエアバッグ、運転席SRSニーエアバッグ、WILコンセプトを取り入れた前席シート構造などを採用した。
スタイリングは、勢いのある造形に高性能な走りのイメージを調和させた先進のプレステージスタイルを創出する。ボディサイズは従来型との比較で155mm長く、30mm幅広く、15mm高く、ホイールベースが100mm長くなった。インテリアは、全体のスタイリッシュな演出はもちろん、表地の触感やスイッチの操作感覚にもこだわって質感の高いキャビンルームを実現する。また、左右独立温度コントロール機能付オートエアコンや4:2:4分割可倒式リアシート、3枚のワイドパネルによる電動マルチパネルムーンルーフといった新アイテムを盛り込んで乗員の快適性の向上を図った。
発売から1カ月で月販目標の4倍に迫る約9000台の受注を記録し、好調なスタートを切った2代目ハリアーは、デビュー後も着実に車種ラインアップの増強と中身の進化を図っていく。まず2005年3月には、新開発のパワートレイン(3MZ-FE型3310cc・V型6気筒DOHC+前1JM型モーター+後2FM型モーター)を採用した「ハリアー・ハイブリッド」を発売。2006年1月にはV6エンジンを2GR-FE型3456cc・V型6気筒DOHC(280ps/35.3kg・m)に換装し、グレード名を350Gとする。
2009年1月にはハリアーのLEXUS版となるRXシリーズが登場し、ハリアー自体は350G系を廃止して240G系グレードに一本化。同年8月には特別仕様車の240G“LパッケージLimited”を、2011年10月には特別仕様車の240G“Lパッケージ ALCANTARA Selection”をリリースした。レクサスRX登場以降も人気は衰えず、2013年まで生産を継続、その後3代目にバトンタッチした。