スプリンター 【1987,1988,1989,1990,1991】

洗練と上級感を訴求した6代目モデル



ハンサムなエクステリアが魅力

 今回の主役である6代目スプリンターの先代にあたる、1983年に登場した5代目(E80型系)スプリンターセダンは、兄弟車であるカローラとは異なるボディラインを採用。直線基調のカローラに対して曲線を主体にし、サイドウィンドウ構成に6ライト式を取り入れるなど、より上質な個性を盛り込んでいた。6代目スプリンターセダン(E90型系)においても、トヨタは、カローラとの差別化というテーマを貫いた。

 個性の明確化は、開発段階でのリサーチで、スプリンターのほうがカローラよりもユーザー層がやや若く、個性を求める傾向にあったことに起因するようだ。フロントまわりから見ていこう。6代目スプリンターは、横桟基調のグリルを持ち、ボンネット先端にエンブレムを装着。Aピラーのデザインにはヒドゥンタイプを採用した。サイドセクションでは先代同様に、6ライトのウィンドウ構成が特徴。リアまわりではテールランプに独自のデザインを取り入れ、ボディのディテールの差異により、軽快でスタイリッシュな個性を持たせている。ちなみに7代目(1991年、E100型系)では、リアサイドウィンドウに三角窓を持ったカローラと同一のサイドビューとなり、最終の8代目(1995年、E110型系)では、再び6ライトのウィンドウ構成を採用している。そのほか、6代目では、新たなキャラクターとして、スプリンターシエロが登場する。これは、それまでの5ドアモデルを継承するモデルで、シエロのサブネームが与えられた。ちなみにカローラでは、カローラFX(3ドア、5ドア)が従来の5ドアのポジショニングも吸収する形となり、このモデルから5ドアモデルは姿を消した。

エンジンはハイメカツインカムをメインに搭載

 インテリアはカローラと共通の仕様。違いはステアリングに配置した車名ロゴぐらいである。しかし、その仕上がりはさすがトヨタである。完成度の高い内装を作り上げていた。ボリューム感や落ち着き感を狙ったデザインで、それは先代の5代目と共通するコンセプト。大きなメータークラスターがインパネ上部をまたぎ、上質なシートファブリックを用いたシートとともに、上級感が漂う。インテリア各部の質感は高く、ひとクラス上の上級サルーンのイメージに仕上げている。

 メカニズムでは、新エンジンの投入が話題となった。いわゆるハイメカツインカムが、カローラおよびスプリンターに投入されたのがこのE90系である。新開発の5A-Fおよび5A-FE型エンジンがそれで、ハイメカツインカムの3作目となった。メインユニットは1498cc直列4気筒DOHC16Vで、最高出力94ps/6000rpm、最大トルク13.1kg-m/4400rpmを誇るEFIを組み合わせた5A-FE型。シエロとクーペモデルのトレノに投入されたが、セダンにはキャブ仕様の5A-F型を搭載。5A-F型エンジンは、最高出力85ps/6000rpm、最大トルク12.5kg-m/3600rpmを発揮した。そのほか、セダンには1.3リッター直列4気筒SOHC(2E型、73ps/6000rpm、10.3kg-m/4000rpm)を用意。スポーツツインカムの1.6リッター直列4気筒DOHC16V(4A-GE型、120ps/6600rpm、14.5kg-m/5200rpm)はトレノのほかセダンと5ドアにも搭載した。トランスミッションは、上級モデルが5速MTおよび4速AT(一部に電子制御4速ATを設定)で、そのほかは4速MTおよび3速ATを搭載した(セダンのエントリーグレードは4速MTのみ)。

しっかり感を求めボディ剛性を大幅に向上

 ボディ剛性のアップも6代目の大きなテーマ。骨格部分の強化、各部の断面形状の見直し、接合部の強化などを実施し、サスペンション取り付け部の剛性も大きく向上させた。細部に至るまで入念な剛性アップを行い、先代に比べて、ボディの曲げ剛性は実に60%の向上。ねじり剛性は50%のアップを果たしていた。

 軽快感とエレガントなイメージを融合させたボディに、優れたポテンシャルを秘めた実力派。FFの2世代目となり、完成度を大きく高めた6代目スプリンターは、単なる「カローラの兄弟車」というひと言では片付かないモデルだ。注目すべき名車と言える。