RENAULT LUTECIA E-TECH HYBRID 【2022】

5世代目ルーテシア初のハイブリッドが登場

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中川和昌
魅力的コンパクトハッチバックにE-TECHを追加。

日本ではルーテシア、フランスではクリオの初代が登場したのは1990年で、初めてルノー・ルーテシアに乗ったのは、1991年7月にサイパンで行われた初の試乗会でした。もちろんその後のルーテシアは、今日に至るまで全てを試乗して、現在では31年が経過、現行モデルは2019年にジュネーブモーターショウ登場した5代目で、日本では2020年から販売が開始された。言うまでもなく、ルーテシアは競争の激しいBセグメントに属するコンパクト・ハッチバックとして、好成績を収め、1991年と2006年にはヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、特に4代目は6年連続ナンバーワンを獲得、さらに現行の5代目は多くの点で高性能なコンパクトカーへと進化をしている。もちろん、多く存在するBセグメントのハッチバックとしてはダイナミックかつスポーティな流れるようなスタイリングも魅力的だ。

先に登場したアルカナと同様、ルノー独自のフルハイブリッド

その5代目ルーテシアに2モーター式のハイブリッドパワートレインを搭載したルーテシアE-TECHハイブリッドが2022年1月に発表され、6月30日から日本でもラインナップに加わった。E-TECHハイブリッドは先に登場したSUVクーペのアルカナと同一パワートレインで、F1で培ったノウハウを活かしてルノーが独自で開発したことで話題になった輸入車では唯一のフルハイブリッドユニットということになる。メインモーターとHSG(ハイボルテージスターター&ジェネレーター)に1.6リットル4気筒自然吸気エンジンを組み合わせ、トランスミッションは電子制御ドッグクラッチによって変速し、モーター側に2つ、エンジン側に4つのギアを備えることで12通りの変速比を持ち、それぞれのパワーは、メインモーターが49ps(36kW)&205Nm、HSGは20ps(15kW)&50Nm、そして4気筒エンジンは91ps(67kW)&144Nmと、アルカナに対して、3ps/4Nmほど、わずかに下回るのみで、パワー&トルクはほぼ同等と思っていい。それに加えて、車重が160kgほど軽く、ギアボックスのレシオはハイギアード化され、よりパワフルな走行性や燃費効率が期待できる。実際、燃費はWLTCモードでガソリン仕様の17.0km/LからE-TECHハイブリッド25.2km/Lまで伸びて、輸入車としてはトップレベルである。

高レベルな運転支援システムのほか、多くの先進的予防安全システムを装備

さらに、特徴的なのは、ルノー・日産・三菱のアライアンスによって設計されたCMF-Bプラットフォーム採用してることで、軽量かつ高剛性、ハイパワーなエンジンに対応し、フランス車らしいしなやかさと正確なハンドリングを実現、NHVと安全性にも対応し、これまでのルーテシアでも、こうした魅力的な走行性を体感できる。それに加えて、ハイウェイ&トラフィックジャムアシストやアクティブクルーズコントロール、レーンセンタリング・システム、360度カメラ、オートハイ/ロービーム、パーキングセンサーなど、先進かつ高レベルな運転支援システムのほか、多くの先進的予防安全システムを備え、Bセグメントとしては多くの点でクラス最高レベルと言える。
 今回試乗したのは、ルーテシアE-TECHハイブリッドのイメージカラーと言えるブルーアイロンメタリックで、15万円のE-TECH専用オプション、レザーパックを装着、ブラックダッシュボードとなる。

快適で魅力的なインテリア

ボディカラーがブルーアイロンMとノワールエトワールMのインテリアは、ブラックで統一され、レザーパックがオプションで、フロントシートにはヒーター機能が付き、運転支援やオーディオ関連のスイッチが付いたステアリング・ホイールが際立ち、リアシートは3人掛けで、コンパクトなボディの割には余裕のある空間が美点である。またセンターには7インチのタッチスクリーンが備わり、Apple CarPlayやAndroid Autoといったアプリを介したスマートフォンとのリンクや、Googleアシスタントを使っての音声入力なども可能となっている。

アルカナを上回るパワフルかつスポーティな走行性能

試乗コースは、横浜、川崎付近市街地と、都市高速で、いろいろなシチュエーションで存分にテストすることができました。ルーテシアはこれまでの5世代すべてのモデルに乗ってきましたが、コンパクトなハッチバックでありながら、多くのライバルに比べて完成度は高く、特に2012年からの4代目、現行の5代目はしなやかかつ剛性感の高い乗り心地の良さや、しっかりとした運動性能など、フランス車らしさが際立ち、これをハイブリッド化すれば、さらに期待することができる。先に触れたように、アルカナと同じ160psのエンジンを搭載して、ギアレシオをハイギアード化、アルカナより車重が160kgも軽く、全高が110mmも低いから重心が低く、パワフルかつスポーティな走行性能を期待できる。
 走り出してまず感じるのは、スタート時から40㎞/h程度まで低速域での市街地走行は、基本的にモーターでの走行で、スムーズかつ俊敏な加速感や軽快感を楽しむことができる。もちろんさらに速度を上げていくとエンジンが始動するが、変速も含めてスムーズな感触に大きな変化はない。メーターパネルの表示を見るとエンジンとモーターの走行状態を確認できます。説明では40km/h以下の低速域はモーター、40-80km/hの中速域はハイブリッド、さらに高速域では加速時にはモーターのアシストが入るが、基本的にはエンジンのみで走る。実際に都市高速で、スロットルペダルを踏み込めば、スムーズに力強く加速していく。もちろん、コーナーでは、前後バランスの良さが際立ちステアリングを切り込むと、ノーズが俊敏に内側を向き、ボディのロールもよく抑えられ、ステアリング・フィールにはダイレクト感があり、ナチュラルで気持ちの良いコーナリングフィールは、素晴らしく、アルカナE-TECHハイブリッドより、はるかにスポーティに感じる魅力的なコンパクト・ハッチバックである。