フェアレディZ・300ZR 【1986,1987,1988,1989】

V6 DOHCを積み込んだマッスルZ-CAR



アメリカ市場を瞬く間に席巻

 1969年にデビューした日産フェアレディZは、1983年9月に第3世代となるZ31型へとチェンジされた。先代のS130系からはほぼ5年振りとなるフルモデルチェンジである。開発の目標は、より高度なパフォーマンスの実現と魅力的なスタイリングの創造にあった。すでに、フェアレディZは、世界的なスポーツカーのブランドとして誰しもが認める存在となっていたのである。

 フェアレディZは、もともとアメリカ市場を主なターゲットとして開発されたモデルであった。当時のアメリカ日産の社長であった片山 豊氏は、1960年代半ばからアメリカ市場を見据えたオープンスポーツではない本格的なGTの開発を日産本社に提案、それが具体化したモデルが1969年11月にデビューした初代フェアレディZだった。

 居住性に優れたGT(Grand Touring=長距離旅行用車)となったフェアレディZは、スタイリングの良さと高性能、信頼性の高さ、そして絶対的な価格の安さで、たちまち人気車種となり、「Z-Car(ズィーカー)」のニックネームを奉られ、MGBやトライアンフなど、わずかに生き残っていたヨーロッパ製の小型スポーツのほとんどをアメリカ市場から追い出してしまう。そして、フェアレディZは、事実上のライバル不在のまま、独自の進化を遂げることになる。

ダイナミックさを追求した3代目

 1978年8月発売の弟2世代目(S130系)を経て、フェアレディZは初代からの生産累計100万台超えを達成。1983年9月に第3世代のZ31系へと進化を遂げた。
 3代目の外観上の大きな特徴は、矩形ヘッドライトを用い、空力効果を満たすため半分隠れていたヘッドライトが、電気モーターにより立ち上がる形式を採用していることだった。「パラレルライズアップ」と呼ばれたこのスタイルは、バンパーと一体化されたフロントエアダムとともに、フロントエンドにある種の凄味を与えていた。ボディバリエーションは2座の2ドア ハッチバッククーペと、小さいながら後部座席を備えた2ドア 2+2 ハッチバッククーペの2種が設定され、オープン仕様はなかった。

 1986年10月にマイナーチェンジを施したが、この時のスタイリングデザインは日産北米デザインセンター(NDI)が手掛けたものとなった。

デザインを手掛けたNDIとは?

 NDIはアメリカはカリフォルニア州サンディエゴに、1979年に設立されたデザインスタジオ。2000年には「日産デザインアメリカ」に名称を変更した。Zのマイナーチェンジと同じ年の1986年にデビューした初代テラノや2代目エクサもここから生まれたデザインである。

 グラマラスでしかも空力性能に優れた新フォルムは、3代目Zのスポーツカーとしての価値を一段と高めた。ちなみに日産は世界の主要エリアにデザイン拠点を持ち、アジアでは日産グローバルデザインセンター(神奈川県厚木市)、クリエイティブボックス(東京都渋谷区)、日産デザインチャイナ(中華人民共和国北京市)、欧州では日産デザインヨーロッパ(イギリス ロンドン パディントン)がある。日産ではグローバルにデザインの開発力を高めることを目指していて、「世界をリードするデザインで強いブランドを確立すること」をビジョンとして掲げている。世界中で約900名ものスタッフがデザインに従事している。

300ZRは自然吸気DOHCを搭載

 1986年10月のマイナーチェンジで誕生した300ZRは、自然吸気型ながら十分なパフォーマンスを持った排気量2960㏄V型6気筒DOHC24バルブ(VG30DE型、出力190ps/6000rpm)を搭載。このVG30DE型エンジンは、結局、市販に履いたらなかったが、ミッドシップレイアウトの4WDスポーツカー、MID4用として企画された強心臓。スポーツカー用として最適な高回転まで一気に回る鋭いレスポンスと、十分なパワーを実現していた。

 VG30DE型エンジンの投入とともに、マニュアルトランスミッションは新開発ユニットに変更された。これは自社製のFS5R30A型で、従来と同じく5速MTだが、操作性のアップや静粛性の向上が図られた。なかでもシンクロ容量のアップが目を引くポイント。シンクロ径の拡大が行われ、1速と2速では57%のアップ、3速と4速では26%大きくなり、5速でも4%大きくなった。これは従来から要望されていた内容を具現化し、走りの楽しさを追求したものだった。シフトをリバースに入れる際に、クラッチを切った直後に操作すると発生したギア鳴り解消も課題だったが、ここにも防止策が施されている。VG30DE型およびFS5R30Aの新型トランスミッションの投入により、3リッターSOHCターボは4速ATのみのラインアップへと切り替えられた。

300ZRデビューと同時に各部を改良

 300ZRが登場した1986年10月のマイナーチェンジでは、既存グレードのラインアップ変更など各項目で見直しが図られた。まず、2リッターは、V6SOHCターボ(VG20ET)がラインアップから外れ、直6DOHC24Vターボ(RB20DET)のみに。直6DOHC24Vターボ(RB20DET)搭載の2by2 200ZR-IIには5速MTのほか4速ATも選べるようになった。ルーフの変更も行われ、ノーマルルーフは200ZR-Iのみとなり、その他のグレードは新設の300ZRも含め、全車にTバールーフが標準装備となっている。

 このほか、バネ定数やダンパー減衰力の見直しなどサスペンションも強化された。ブレーキは全車に4輪ベンチレーテッドディスクを投入。300ZXのフロントブレーキはツインピストンキャリパーへと格上げされた。