デリカ・スターワゴン 【1979,1980,1981,1982,1983,1984,1985,1986】

快適で力強いでボクシー1BOXの誕生

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初代は1968年にトラックで登場!

 デリカという名のキャブオーバー・タイプ(本来はフルフロンテッド・タイプと呼ぶ)のピックアップ・トラック(600kg積み)が発売されたのは1968年7月のことだった。当時の三菱製主力乗用車であるコルト1100と同じ排気量1088㏄の水冷直列4気筒OHVエンジンを搭載。最高出力は58psだったが、三菱製エンジンの特徴である低回転・高トルク型であり、きわめて扱い易かった。翌1968年4月にデリカ・シリーズは固定ルーフと後部ドアを加えたデリカライトバンとデリカルートバンを加える。
 デリカ(Delica)の名は、英語のデリバリー(Delivery配達)とカー(Car)を組み合わせた造語であるという。デリカは、45万円前後という安価な価格が魅力であり、タフで便利な商業車として大きな人気を獲得することになる。

スクエアなデザインでイメージを一新

 デリカの2代目は1979年6月にデビューする。すでにコマーシャルカーとして、マーケットに確固たるポジションを占めるまでになっていただけに、力の入った改良が施された。新世代ぶりを印象づけたのはスタイリングである。徹底的にユーティリティを追求し、直線と平面で構成した、きわめてクリーンなスタイルとなった。車幅は1690㎜と小型車枠一杯にまで拡げられ、トレッドも広くなったことから、走行安定性は大幅に向上した。
 フロントに縦置きされ、後輪を駆動するエンジンはギャラン系の直列4気筒SOHCのサターン4G33型1439㏄(80ps)および4G32型1597㏄(86ps)の2種があり、トランスミッションは4速と5速のマニュアル仕様のみが設定されていた。

定員9名のスターワゴン・デビュー!

 1980年代を迎えて、多人数が一度に乗れるミニバンの流行がはっきりして来ると、三菱もデリカ・バンをベースとして乗用車的な雰囲気を盛り込んだ3列シートのミニバン的なワゴンを売り出す。これがデリカのフルモデルチェンジと同時期に登場したデリカ・スターワゴンである。定員9名の5ナンバーモデルで、後部の一枚上方跳ね上げ式リアゲートアと左側配置のスライドドアはバンと同じだったが、シートは3列となり、シフトレバーがコラムシフトだったことで最大で9名の乗車を可能としていた。3列シートワゴンは、国産車としては流行を先取りするものだった。バンには前述のように1439ccユニットも設定していたが、スターワゴンのパワーユニットは1597ccユニットのみ。トランスミッションは廉価版のDXが4速、上級版のXL-5はネーミングが示すように5速だった。シートアレンジは多彩で、2列&3列目シートのフルフラットが可能。2列目シートはドア側部分が補助席的な作りとなっており、独立して畳める構造になっていた。もちろん3列目を畳むと広大なラゲッジ空間が出現した。

衝撃的な4WDの本格派ぶり

 デリカ・スターワゴンは1983年にさらに個性を明確にする。4WDシステムを搭載したモデルをラインアップしたのだ。4WD仕様は、しっかりしたラダータイプのサブフレームを組み込み、ジープ譲りの本格的なトランスファーギアを持つパートタイム4輪駆動システムを搭載したもの。フレームが組み込まれたことで車高は高くなり、オフロード性能も十分なレベルに到達していた。エンジンはパワフルな1795cc(100ps)のガソリンを採用し、トランスミッションはフロアタイプの5速。もちろん3列シート仕様で、2列&3列目シートの対座アレンジも可能だった。ワンボックス・ワゴンとして4WDモデルを設定したのはデリカが先駆だった。硬派なイメージの強いデリカのメカニズムやデザインには、永年に渡って培われた三菱の先進性が生きていると言える。